今年のイースターは“花まつり”の翌日! 西洋と東洋のお祝いを通して、心は2000年の時をひとっ飛び。

民俗や地域伝統文化のあれこれに没頭しがちなエディターが、あなたの日々の暮らしに、とても小さなときめきをお届けしましょう。

言葉だけは知っている作法や行事、未来をひらく温故知新、興味はあるけどよくわからない民俗のことなどについてわかりやすく紹介します。

カラフルな卵たちを飾り、イエス・キリストの復活を祝う祭り“イースター(復活祭)”。

先日登った、高尾山の登山道のあちらこちらの店頭に、イースターエッグが並んでいた。

なぜなら2023年は、4月9日がイースター(復活祭)だから。毎年その日は動いていて、「春分の日を過ぎた、最初の満月のあとの日曜日」と決められている。

ただし、キリスト教圏のなかでも東方教会の視点では、暦の違いで日程がやや異なっていて(2023年のイースターは4月16日)、大ざっぱに記すと今年の4月前半はイースタームードに浸れる、といってもいいのかもしれない。この日程だけでなく、西方教会と東方教会では、たとえば胸の前での十字の描き方も、そこに込める意味合いも、少し異なってもいる。

イースターの日には、生命の象徴といえる卵の殻にカラフルな色絵を描いたイースターエッグを飾ったり、多産ゆえに繁栄の象徴とされるウサギ(イースターバニー)のモチーフのグッズをそこに添えたり。東京などの都市圏では、この日を祝した有名スイーツ店の限定スイーツに舌鼓をうったりもできる。

日本ではクリスマス(イエス・キリストの降誕祭:誕生日ではなく、生まれてきたことを祝う日)ほどなじみはないものの、イースターはイエス・キリストが亡くなった3日後に復活したことを祝う祭りの日として、キリスト教圏ではとても大切に過ごされている。諸説あるが、宇宙の月の見え方からひも解いた一説では、イエス・キリストが亡くなることになる磔刑(たっけい)は、約2000年前の西暦30年だという。

今年のイースター前日は、色鮮やかな花々に包まれたお釈迦様の御誕生日。

その前日、4月8日(毎年この日だ)。

この日は、花まつり(「灌仏会:かんぶつえ」とも)といって、仏教の開祖であるゴータマ・シッダールタ(釈迦:しゃか)がインドで生まれた日のお祝いである。毎年全国の寺院で祝される仏教行事なので、聞いたことがある人も多いかもしれない。こちらは、花御堂に安置された誕生釈迦仏の像に、釈迦誕生の言い伝えにならった甘露の雨を表した甘茶をそそいで祝いとする行事。

諸説あるためこちらもかなり大ざっぱにいえば、釈迦の生年は、紀元前約500年前後。この世に生まれ、すぐさま7歩歩き、右手を天へ、左手を地へ差して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と喋り、生命や縁の尊さを謳ったといわれている。

この有名な言葉は、小学校で教わってから忘れられないキーワードのようになってしまった。

この世に生まれた釈迦は、北インドのシャカ族の王子だったいう一見恵まれた地位の人間だったが、29歳で出家され、35歳で悟りをひらかれ、「仏陀(ぶっだ)」になられた。

釈迦とキリスト、東洋と西洋のいわばスーパースターの周辺を描いた絵画たち。

釈迦が80歳で入滅されるときのこと。

また別の時期に読んだ文献だったが、釈迦は、頭を北にして顔は西を向かれていた。このときの姿を描いたのが仏画『涅槃図(ねはんず)』で、入滅の姿勢を「頭北面西(ずほくめんさい)」といっている。仏教の葬式で、基本が北枕なのはこちらに由来しているから。

東洋世界にアジア的で多彩な『涅槃図』が誕生し、釈迦の死を悼む表情や仕草の多様な人や生き物が多く描かれた一方、西洋世界には静謐な『最後の晩餐』(イエス・キリストの死の前日を描く)が誕生し、こちらもイエス周辺の多くの人物がとても巧みに数値的に描かれた。

スマホからでもよいので、これらの東西作品を改めて鑑賞してみる行為も、うららかな今、ちょっぴり刺激的なのかもしれない。

最後の晩餐
この記事を書いた人
中川原 勝也
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中川原 勝也

民俗と地域文化の案内人

エディター。地域伝統文化のこと、民俗のあれこれ、古民家・民藝・暮らしのこと、などを当サイトでは担当。これまで日本カルチャーを主なフィールドにしながら、国内の法人・自治体・商品のブランディングにまつわるメディア等を手掛けてきた。温故知新好きが募って、ただいま、月刊古民家誌『じゃぱとら』編集長。
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