経年変化した靴は自身の人生を映し出す鏡のよう。

靴の輸入卸業を発端にアメリカのシューズ工場にて靴作りのノウハウを学んだという工藤氏。アメリカのホーウィン社の革を筆頭に世界の名だたるタンナーの革を使ったシューズを展開する。
「この靴はホーウィンのクロムエクセルを使用し、現在もブランドの定番としてラインナップするシューズ。本来、染色されていないナチュラルカラーを使った靴ですが、10年もの歳月をかけてここまで色濃く育ってくれました」
オイルを含んだクロムエクセルは染色されたブラックやワインの革だと褪色するのが通常の現象。色濃く変化するホーウィンの革の美しさはあまり知られていない。
「本来この革は傷がどうしても目立ってしまうんです。でもそれがブランドのコンセプトどおり、経年変化する革は自分の軌跡だと思うので、この靴の深いシワや色合いはすごく気に入っています。ただ革のエイジングはすぐに表現できるものではないですからね」
何年も履いたことによって形成されたシューズのエイジング。それは自分を表現するものであり、自身の歩んできた軌跡、靴人生そのものなのだ。
アメリカの名タンナーで知られるホーウィン社のクロムエクセルをマテリアルに使用したブルーチャー。約10年履き込んだシューズは、もともとは染色されていないナチュラルカラーを採用し、時間をかけてゆっくりと色濃くエイジングしてきた。
(出典/「CLUTCH2024年5月号 Vol.95」)
Photo by Nanako Hidaka 日高菜々子 Text by Tamaki Itakura 板倉環
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