【浅草靴職人の愛用靴】 自分の足にしか表現されない深い皺やエイジングが美しい「WHEEL ROBE」工藤類さんの PLAIN TOE BLUCHER

旧くから履物文化が栄えたことから靴職人が多い台東区浅草。そんな浅草の靴職人のひとりである「WHEEL ROBE」の工藤類さん。靴の輸入卸業の経験もある工藤さんが愛用する靴とはどんなものなのか話を訊いた。

経年変化した靴は自身の人生を映し出す鏡のよう。

「WHEEL ROBE」工藤類さん|靴の輸入卸業から始まり、2010年にアメリカ製のシューズブランドとしてブランドを設立。2014年には生産拠点を日本に移し、現在の体制に。全生産のディレクションを行う。https://wheelrobe.com

靴の輸入卸業を発端にアメリカのシューズ工場にて靴作りのノウハウを学んだという工藤氏。アメリカのホーウィン社の革を筆頭に世界の名だたるタンナーの革を使ったシューズを展開する。

「この靴はホーウィンのクロムエクセルを使用し、現在もブランドの定番としてラインナップするシューズ。本来、染色されていないナチュラルカラーを使った靴ですが、10年もの歳月をかけてここまで色濃く育ってくれました」

オイルを含んだクロムエクセルは染色されたブラックやワインの革だと褪色するのが通常の現象。色濃く変化するホーウィンの革の美しさはあまり知られていない。

「本来この革は傷がどうしても目立ってしまうんです。でもそれがブランドのコンセプトどおり、経年変化する革は自分の軌跡だと思うので、この靴の深いシワや色合いはすごく気に入っています。ただ革のエイジングはすぐに表現できるものではないですからね」

何年も履いたことによって形成されたシューズのエイジング。それは自分を表現するものであり、自身の歩んできた軌跡、靴人生そのものなのだ。

アメリカの名タンナーで知られるホーウィン社のクロムエクセルをマテリアルに使用したブルーチャー。約10年履き込んだシューズは、もともとは染色されていないナチュラルカラーを採用し、時間をかけてゆっくりと色濃くエイジングしてきた。

(出典/「CLUTCH2024年5月号 Vol.95」)

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