糸を互い違いに組み合わせて一枚の布地にする「編み」。パーツごとに編み立てる「横編み」の工程に迫る

生地を作る際に欠かせない工程のひとつ「編み」。主に「丸編み」と「横編み」の2種類で構成される「編み」の製法とは? 円筒状の機械を使って大きな筒状の布地を編み立て、それをパーツごとにカットして縫製する丸編みに対し、横編みは、横二列に敷き詰められた鉤付きの針の上を糸が平行移動し、その糸を前後ろから規則的に引っ張ることで、1枚の編み地を作り出していく。横編みのファクトリー「月城ニット」で、コンピュータでプログラミングされた機械による自動化と、人の手による職人技が融合した編みに触れた。

機械による自動化と、人の手による職人技が融合した、ちょっぴり不思議な光景

編み機のパーツが横に並行移動を繰り返す! 編まれたニットは下から出てくる

編みの製法は主に「丸編み」と「横編み」の2種類。丸編みは、円筒状の機械を使って大きな筒状の布地を編み立て、それをパーツごとにカットして縫製する。一方の横編みは、横二列に敷き詰められた鉤付きの針の上を糸が平行移動し、その糸を前後ろから規則的に引っ張ることで、1枚の編み地を作り出していく。コンピュータでプログラミングされた機械を使って、パーツごとに編み立てていくので、機械から出てくる時には、すでに袖や胴などの形となっている。

大阪で「ムーンキャッスル」というブランドを手がける「月城ニット」は、横編みのファクトリー。初めて見た「編み」から製品になるまでの工程は、機械による自動化と、人の手による職人技が融合した、ちょっぴり不思議な光景だった。

機械の天井部には編み糸が取り付けられており、本体の両側面から機械内部に引き込まれる。パソコンを使って取り込まれたパターンに従って糸を動かし、針が糸を規則的に引っ張りながら編み立てていく。この針の先端の大きさがニットのゲージ数を左右する
横編み機に無数に並んでいる針がこちら
特別に見せてもらった横編み機内部。矢尻の形をしたパーツが、外部から引き込まれた糸を左右に並行移動させる。その手前と奥に針が並んでおり、たとえば天竺編みでは手前のみが、リブ編みでは手前と奥が交互に糸を引き込んでループを編み合わせていく仕組みだ

機械で編まれたパーツは、人の手によって製品へ

「月城ニット」では、横編みから製品化までを一貫して行っている。

まず、洗濯乾燥機にかけられた各パーツをプレス機に通して縫いやすい状態にしたあと、ミシンを使って生地同士を丁寧に縫製。そのあと納品前の最終プレスを行って形を整え、ボタンやジッパーが必要であれば、これもまたミシンを使って縫い付けられる。最後に検品を通して納品、という流れだ。最初の横編み機とは打って変わって、職人たちのアナログな作業の賜物だ。

縫製の代わりに用いられる「リンキング」は超繊細な作業!

通常の縫製では、生地を重ね合わせてミシンを使って縫っていくが、「リンキング」は各々の編み地のループとループを手作業で繋ぎ合わせた後に縫製する手法。編み目の細かいハイゲージニットであればあるほど、その工程は素人目には気の遠くなるような作業に見える。しかしリンキングをすることによって縫い代がなくなり、伸縮性も増して着心地は格段に向上するのだ。

(出典/「2nd 2024年5月号 Vol.204」)

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

Pick Up おすすめ記事

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

上質な革を日常に。「INCEPTION」のショルダーバッグは経年変化が楽しみになる相棒だ

  • 2026.06.26

レザーほど、所有者とともに過ごした年月が如実に現れる素材はない。毎日のように身につけるレザーバッグは、なおのことである。“革”に徹底的にこだわるINCEPTIONのショルダーバッグはクラッチマンの相棒として最適な存在だ。 FANNY PACK 腰に巻いて使用することを目的とするファニーパックをショル...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...