機械による自動化と、人の手による職人技が融合した、ちょっぴり不思議な光景
編みの製法は主に「丸編み」と「横編み」の2種類。丸編みは、円筒状の機械を使って大きな筒状の布地を編み立て、それをパーツごとにカットして縫製する。一方の横編みは、横二列に敷き詰められた鉤付きの針の上を糸が平行移動し、その糸を前後ろから規則的に引っ張ることで、1枚の編み地を作り出していく。コンピュータでプログラミングされた機械を使って、パーツごとに編み立てていくので、機械から出てくる時には、すでに袖や胴などの形となっている。
大阪で「ムーンキャッスル」というブランドを手がける「月城ニット」は、横編みのファクトリー。初めて見た「編み」から製品になるまでの工程は、機械による自動化と、人の手による職人技が融合した、ちょっぴり不思議な光景だった。
機械で編まれたパーツは、人の手によって製品へ
「月城ニット」では、横編みから製品化までを一貫して行っている。
まず、洗濯乾燥機にかけられた各パーツをプレス機に通して縫いやすい状態にしたあと、ミシンを使って生地同士を丁寧に縫製。そのあと納品前の最終プレスを行って形を整え、ボタンやジッパーが必要であれば、これもまたミシンを使って縫い付けられる。最後に検品を通して納品、という流れだ。最初の横編み機とは打って変わって、職人たちのアナログな作業の賜物だ。
縫製の代わりに用いられる「リンキング」は超繊細な作業!
通常の縫製では、生地を重ね合わせてミシンを使って縫っていくが、「リンキング」は各々の編み地のループとループを手作業で繋ぎ合わせた後に縫製する手法。編み目の細かいハイゲージニットであればあるほど、その工程は素人目には気の遠くなるような作業に見える。しかしリンキングをすることによって縫い代がなくなり、伸縮性も増して着心地は格段に向上するのだ。
(出典/「2nd 2024年5月号 Vol.204」)
Photo/Hiroto Yorifuji, Rie Nagao Text/Shuhei Takano, Yu Namatame
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