
作り手の思いを感じる ジャパンメイドが好き。
「日本製だから買う、逆に日本製ではないから買わないということはありませんが、気がつくとかなりの数の日本製の服を着続けています」と語るフリー編集者の小暮さん。工場や職人、デザイナーなど、日本各地でモノ作りの現場の取材を続けてきたので、作り手の思いを自分でも味わいたいと購入した服や靴も多いという。
「メイド・イン・ジャパンのトラッドの特徴は、欧米で創造されたオリジナルに敬意を払いながら、素材から糸一本に至るまで徹底して研究して作られたものも多く、そういうものに興味を覚えます」
しかし日本では欧米のように同じ製品を長年作り続けるという文化がまだまだ根付いていないのも事実、それが残念な点とも話す。
「だから気に入ったものがあると予備用に同じもの、あるいは別色を買い揃えることもあります。何年か後で欲しくなっても買えないことも多いので」と笑う。
1.スティアンコルのネイビーブレザー
VAN出身の三浦俊彦氏がデザインするブランド。3ボタン段返り、ナチュラルショルダーの超トラッドなブレザーだが、素材がニットで快適な着心地。シブい銀色のボタンもお気に入り。06年ごろ、三重県鈴鹿市にあるプライマイツギャラリーで出会い、購入した。
2.サンカのボタンダウンシャツ
10年くらい前にブルーと白、チェックのボタンダウンを購入し着続けている。身幅が広く、着丈が短めというバランスが小暮さんの好み。「オーダーで仕立てたくらい、ジャストフィット」と絶賛する。他のシャツにはない、エルボーパッチ風の肘のデザインも好き。
3.ループウィラーの スウェットパーカ
「LWエキストラライト」という吊り編み素材を用いたジップパーカ。「夏でも着られるスウェットを」と開発された同ブランドで最も薄く軽い裏毛で、着心地は最高。和歌山県に現存する吊り編み機の中でこれを編めるのは3台だけ。かつ1年に1回しか編まれない。
4.ジュンヤ ワタナベ マンのデニムパン
同ブランドはリーバイスとのコラボでも有名だが、これはオリジナルのデザイン。ワイドシルエットで、股下が下がったサルエルパンツスタイル。品質表示には「日本製」の文字に加えて、縫製責任者の名前まで刻印されている。「こんなブランドは他にはないかも」
5.グレンストックのオーダースニーカー
埼玉県蕨市にある靴職人五宝賢太郎が主宰するグレンストックでオーダーしたヴァルカナイズ製法のコートシューズ。ヴァルカナイズ製法は巨大な釜で熱と圧力をかけてソールを接着させるものだが、彼は自分の工房内でこの製法を用 いたスニーカーを作ってしまう。
(出典/「2nd 2023年5月号 Vol.194」)
Photo/Yoshika Amino Text/Masahiro Kogure
関連する記事
-
- 2025.04.01
日本のカジュアルシーンを変えた、レプリカスウェットの生みの親。