常にファッションの本質を追い続けアンテナを張っている洒落者たちが、いまトラッドの定番としてなにを選ぶのか。そして「100年後の名品」、すなわち新定番と合わせて紹介してもらった。
1.【定番】「インディビジュアライズドシャツ」のオープンカラーシャツ|マルベリーブランド ディレクター/フリーPR 柳雅幸さん
フリーPRとして様々なブランドを手掛ける柳さん。前職で深く関わっていたインディビジュアライズドシャツと敬愛するモヒートのコラボを定番として推薦。
「今日着ているのは、モヒートとインディビジュアライズドシャツのコラボと なるアブサンシャツです。このシャツの他にも吊るしから、カスタムオーダーまで様々なデザインを所有しています。このシャツはもちろんのこと、インディビジュアライズドシャツのアイテムを定番だと思っています。自分の好みをオーダーするのも楽しいですし、こうやって服を深く理解したデザイナーの方々の別注を味わえるのも醍醐味。そして頑なにメイドインUSAを貫くという点を加味すると、唯一無二の存在ではないでしょうか」
【新定番】「ペイデイ」のカバーオール
アメリカを代表するワークウエアブランドであるペイデイの実名復刻。フロントにポケットが2つのみのカバーオールは、物資統制された第二次世界大戦時の仕様を再現しているため。「あえてシャツにニットタイでコーディネートしたいですね。紺ブレ感覚で愛用」2万8600円(マルベリー 03-6450-4800)
2.【定番】「リーバイス」の90s製501|ファーストハンド 森畑優太さん
若き20代バイヤーとしても注目される森畑さん。学生時代から大手セレクトショップで働き、根っからの服好きである森畑さんの定番は、王道ジーンズだが、徹底したこだわりが感じられる。
「ヴィンテージの花形である501XXやビッ グEも素晴らしいのですが、存在感がありすぎて、トラッドに着るにはバランスが悪いと思ったんです。いろいろとトライ&エラーを繰り返して、行き着いたのが90sのアメリカ製501でした。購入するのは基本的にデッドストックでサイズが W29L30。オリジナルレングスのものと股下70センチに直したものを靴のボリュームやコーディネートで使い分けています。保管する際に折り畳んで、ナチュラルなセンタークリースをつけるのもこだわりです」
【新定番】「ファーストハンド」のネイビーブレザー
2年ほど前に企画し、完売したブレザーを、今年は再販予定。アメリカとフレンチのテイストを織り交ぜながらも、しっかりとベーシックに仕上げている。「アソートのアンティークボタンで、裏地には残反を使うなど、サスティナブルなもの作りを実践しています」5万8300円(ファーストハンド レイヤード ミヤシ タパーク 03-6805-1828)
3.【定番】「J.プレス オリジナルス」の3Bネイビーブレザー|J.プレス&サンズ青山 ショップバイヤー 黒野智也さん
J.プレスの黒野さんが定番アイテムとして選ぶのは、4年前から展開されているJ.プレス オリジナルスの3Bネイビーブレザー。ベーシックなボックスシルエットなど、アメトラならではのギミックやディテールを随所に取り入れながらも、 日本人の体型にフィットするサイジ ングに仕上げられている。
「今まで何十着と袖を通してきたブレザーのなかで、最もスタンダードだと思う1着です。オーセンティックなアメリカの文化を踏襲しながらも、トラッドだけでなくカジュアルにも着こなせる汎用性の高いシルエットが魅力。デニムやスウェットとも相性抜群です。しかもオリジナル素材のペピンメリノトロピカル生地を採用しているから、春夏でも快適。これからの季節も大活躍してくれますよ」
【新定番】「パンクチュエーション×J.プレス オリジナルズ」のキャップ
ハンドメイドにこだわったベーシックなBBキャップ。「個人的には世界一美しいローキャップだと思っています。今季のモデルは、少しレトロなシルエットで、ヴィンテージライクな仕上がりになっています。パステル系の色合いもポイントで、男女問わずオススメです」。9900円(J.プレス&サンズ青山 03-6805-0315)
4.【定番】「ラルフローレン」のBDシャツ|ワイルドライフテーラー 宍戸佑輔さん
古着市場で性別を問わずトレン ドとなっているラルフシャツ。そんな最旬のアイテムを定番にセレクトした宍戸さんは、自他共に認めるシャツ好きだ 。
「 ラルフ・ローレンに限らずブルックスブラザーズなど、古着店を回ってはシャツを見てしまいます。新品だとなかなか出てこないような、面白い柄や色味のものが多く、選ぶ楽しさがありますね。また、いなたい雰囲気や遊び心といった “付加価値” も古着ならではだと思っています」。
中でも宍戸さんが特にこだわっているのがシルエットを左右するサイズ感。
「サイズバランスも新品として発売されていた当時の時代感を背景にバラバラです。タックアウトしてカジュアルに着ることが多いので、着丈や肩幅の落ち具合などは厳選しています」
【新定番】「アーカイブ&スタイル×ビオトープ」のTシャツ
昨年から継続のダブルネームTシャツを新定番にセレクトした宍戸さん。な ん でも全色を買い揃えているとか。「シンプルなアメリカ製のポケットTシャツなのですが、胸にミリタリーライクなワンポイントタグが入り、それをチラ見させるように配置しているところがニクいです」。6600円(ワイルドライフテーラー恵比寿 03-5728-6320)
5.【定番】「ラコステ」のポロシャツ|メイカーズ 手嶋慎さん
高校生の時に働いていたヴィンテージショップにて1stラコステを入手したという手嶋さん。「その頃から基本的にヨーロッパのものに惹かれるということもあって、ポロシャツもラコステ一択でした」とのこと。また前後の着丈の長さが同 じなのもラコステの魅力のひとつだという。
「定番のL1212は着た時の見え方がシンプルかつ洗練されており、デニムと合わせてユルく着ることが多いかな。カラーやシルエットをとっても汎用性が高いので、旅先にも必携です」。
中でも1990年代頃まで作られていたフランス製の通称 “フレラコ” にこだわっており、古着で買うラコステに関してはほぼほぼこれだという。
「フランス製というだけで無条件で反応しちゃうのはヨーロッパもの好きの性ですね(笑)」
【新定番】「メイカーズ」のVチップ ブルーチャー
今年の6月から販売が始まったという一足が手嶋さんの新定番アイテム。「ずっとローカットが定番でしたが、今季より8ホールのブーツタイプをリリース。ミリタリーテイストのオフィサーシューズを、グイディのレザーでラグジュアリーに仕上げました。ここからどのように育つのか、 いまから楽しみです」。7万9200円
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典:「2nd 2022年9月号 vol.186」)
Photo / Satoshi Ohmura, Shunichiro Kai, Akane Matsumoto, Yuta Okuyama, Shigeki Tsuji, Nanako Hidaka, Kazuya Hayashi, Yoshika Amino Text/Shuhei Sato, Masatsugu Kuwabara, Okamoto 546, Kiyoto Kuniryo, Shinsuke Isomura, Shuhei Takano, Kazuki Imanishi
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