日本で、ハイブリッドワークは定着したか?
「どうしたら、日本でZoomが使われるようになるんでしょうね?」
と、当時のZoomカントリーマネージャーの佐賀文宣さんから筆者が聞かれたのは、2019年の事だった。
国土が広く、東海岸と西海岸それぞれでビジネスを展開する必要があるアメリカでは、早くからオンライン会議が普及していたが、多くの企業が東京一極集中で、「会う事が礼儀」という風潮のある日本では、普及する可能性は皆無のように思えた。さらに日本の狭いオフィスでは、ひとりひとりがビデオ会議するスペースが少ない。デスクでビデオ会議をする人が増えるとうるさいし、それを「恥ずかしい」と感じる人が、当時は多かった。
それがどうだろう? 感染症の蔓延により、ビデオ会議をする習慣は一気に普及した。
しかし、感染症のピークを越えてから揺り戻しもある。「出社するべき」となった会社も少なくなく、今でも「出社する方が効率がいい」と述べる会社トップが、幅を効かせている会社もある。
「元に戻ったのではありません。『新しい働き方』が定着したんです!」と語るのは、ZOOMを日本で取り扱うZVC JAPANの代表取締役会長兼社長の下垣典弘さん。
『出社が前提の時代』『出社できない時代』を経て、『働き方を自由に選べる時代』が来たというのだ。
調査によると、働き方を自由に選べる、ハイブリッドワークが定着した会社は64%。
求人市場においては、「出社が前提」の会社より、「働き方を自由に選べる」会社の方が選ばれるという認識から、ビジネスリーダーの75%は『現在の働き方の最適化、および新しい働き方の推進を考えている』という。
また、当然ながらAIをどう活用するかも、重要なテーマとなっている。
AIの活用とZoom Phone
現在のZoomは単なる『ビデオ会議アプリ』ではなく、リアルにしても、オンラインにしても『ミーティングの予定を立てる』、『ミーティング行う』、『その結果をまとめる、供給する』と、いう前後の仕事も含めた総合アプリとしてビジネスを再構築する『Zoom Workplace』に進化しており、その高機能化にAI Companionを活用している。
基本的なビデオ会議機能も大きく進歩している。特に、複数の人が中心となる会話が会議の中心となる場合、その数人を大きく表示したままにするマルチスピーカービュー機能は便利そうだ。
ミーティングのサマリーを事前にとりまとめて記載してくれる機能や、記事録のとりまとめや、会議後のタスクの書き出しなど、重要だけれども面倒で、まめな人がいないと放置されがちなタスクをAIが肩代わりしてくれるのもうれしい。これがあれば、ビジネスの効率は大きく上がりそうだ。
また、以前も記事にしたが、クラウドPBXと言われる分野の商品であるZoom Phone も仕事効率を大きく上げているという。多くのオフィスがまだ従来型のPBXを使っていると思うが、Zoom Phoneを使えば、在宅勤務でもオフィスにかかってきた電話を取れるし、内線で相互に会話できるし、通話の内容をテキスト化したり、その要点を取りまとめさせたりできる。
このZoom Workplace導入によるプラットフォーム化と、AIの活用、そしてZoom Phoneの導入がZoom躍進の大きな原動力となりそうで、これからもZoomの成長は続きそうだ。
イベントでは、さまざまな導入事例が紹介され、Zoomを導入した企業の方がお話をされたが、ここでは紹介するスペースがないので割愛する。
会場では、Zoomのさまざまなコラボレーションパートナーの展示も行われた。
ZVC JAPANオフィス移転。どんなオフィスなのか、気になる!
最後に、もうひとつ大きな発表があった。
この夏の終わりに、ZVC JAPANがオフィスを丸の内へと移転されるのだそうだ。
これもZVC JAPANの成長を裏付ける出来事ではある。
『働き方』のプロフェッショナルであるZoomが、どのようなオフィスを作るのか? 気になるところ。移転されたらぜひその新オフィスに取材にうかがいたいと思っている。
(村上タクタ)
関連する記事
-
- 2024.10.17
Adobe MAX 2024発表のキモ!【非クリエイターにも分かる!】
-
- 2024.10.17
Adobe MAX 2024フロリダ州マイアミで開催。多数の機能を発表
-
- 2024.10.11
マイアミで開催される、クリエイティブの祭典Adobe MAXの取材に行ってきます