書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

『藻』が美味い? 沖縄のスタートアップが作る『うま藻』を食べてみた

マグロなどの大型の魚を養殖するために、大量の小型の魚が必要になる。DHAなどの脂質を供給するためにある種の藻類が注目されていた。藻類であれば、自然のバランスを崩さずに培養できるからだ。その藻類のエサとして、泡盛粕を食べさせると、高濃度のDHAとともに、高い『うま味』を持つ藻が生れた。それが『うま藻』である。

サンゴ水槽にとって、取り除きたい『藻類』が増える理屈

筆者は、サンゴと海水魚の飼育の専門誌を作っていたことがあるので、海水、水槽内の環境について詳しい。

サンゴや熱帯性の海水魚を飼育している者にとって、藻類が増えるのは非常に困ったことなので、可能な限り抑制したい。単純に観賞上美しくないというだけでなく、水質が低下している証左であり、藻類に覆われてサンゴが死んでしまう可能性もある。対策としては、藻類のエサとなるものを減らすことになる。

(筆者が自宅で運用していたサンゴ水槽)

藻類が育つには、窒素化合物、リン酸化合物、ケイ酸化合物などと、光もしくは糖などの有機物が必要になる。逆に言うと、我々熱帯魚愛好家はこれらを可能な限り減らそうと戦ってきた。窒素、リン、ケイ素は、魚を飼育する際に栄養分として必要になるのでエサとしては与えなければならない。したがって、エサを可能な限り減らす、また残餌、フンとして水槽内に対流する成分を可能な限り取り除こうと努力することになる。

したがって、そんな我々にとって、邪魔者である藻類が『うま味』になると聞くと、俄然興味深く感じる。

たしかに美味しい。でもデリケート

まずは、サンプルとしていただいた『うま藻』をいろいろなものにかけたり、食べたりしてみた。

『うま藻』はその名の通り、『うま味』が特徴だ。羅臼昆布の1.5倍のグルタミン酸、シジミの4倍のコハク酸、アスパラガスの5倍のアスパラギン酸を含有する。

したがって、振りかけると旨味が増す。化学調味料ではなく、天然の藻類を乾燥させたものなので、人体に害もない。

料理にかけて食べると、旨味が増す、コクが深くなる……という印象。単体で食べてみると、削ったカラスミのような味がする。

参考レシピとして、例示いただいた『焼き野菜』、『ボンゴレビアンコ』、『オイルマッシュルーム』などを作ってみた(正確に言うと妻に作ってもらった)が、いずれも旨味が増した感じがした。オイルマッシュルームだけは「そもそも、これは『うま藻』がなくても美味しいのでは?」と思った。

旨味が増すので、他の塩分や唐辛子成分などを抑え気味にしても美味しく感じられるのが発見だった。塩分や刺激成分を抑えることで、よりヘルシーなメニューを作ることができそうだ。

また、純粋に植物性なので、ビーガン料理、ハラルフードなどにも可能性があるのではないだろうか?

ただ、うま味成分は強いが、そもそもは『うま味』なので、料理によってはマスクされそうだし、際立つ料理、感じにくい料理はあるように思った。そのあたり、今後は使う側のセンスも問われそうだ。

サバの13倍のDHAを含有

しかも、この『うま藻』、もともと本来大型魚にDHAを供給するために開発されたものだから、魚よりはるかに多いDHAを含んでいる。

ちなみに、DHAはドコサヘキサエン酸のことで不飽和脂肪酸の一種。人間の場合、脳の灰白質や網膜、神経などに含まれており、思考力、記憶力の維持に効果がある他、中性脂肪を減らし、血小板の凝集予防にも効果があるので、血をサラサラにしたり、血圧を下げる効果まであるという。

提供いただいた資料によると、サバの13倍のDHAを含むばかりか、トマトの10倍のGABA、ニンニクの3倍のアルギニンを含むという。驚くほどさまざまな有効成分を含む食材なのだ。

本来廃棄物だった泡盛粕を、培養に利用

冒頭にも述べた通り、『うま藻』は、泡盛粕を養分にして作られる。

この藻自体は、もともと自然界ではマングローブの葉の裏に生息していたもの。自然界では落ち葉などに含まれている成分を栄養にして生息している。しかし、その藻がDHAを産み出すことがわかり、研究が進められていた。

沖縄で研究していた際に、何を養分に培養すればよいか試行錯誤が進められていた。たまたま、泡盛の製造工程で発生する泡盛粕(一部はもろみ酢として使われるが、大半は廃棄される)を与えて育てたところ、高純度のうま味成分とDHA、GABAなどを大量に含んだ『うま藻』が生まれたとのこと。言わば、偶然の産物でもあるのだ。

その後、培養技術も進められ、特殊な醗酵タンク内で、適切な泡盛粕の濃度、温度などさまざまな条件をコントールすることで、安定した品質の『うま藻』が作られるようになった。

『うま藻』の味を活かすチャレンジは続く

試食の際にレストランでいただいたムースとパン、そして『うま藻』の組み合わせは絶妙で、非常に美味しかった。

もちろん、うま味成分なので、非常にデリケートな味わいだから、どちらかというとフレンチや、和食など繊細な料理に合うような気がする。

しかし、ポテトチップスに振りかけると、ポテトチップスが非常に美味しくなったというような話もあるので、一概に高級料理だけとしか合わないというわけではなさそうだ。とはいえ、このうま味を理解してくれる人が、デリケートな味の探究に努めている人に多いということで、現在都内の高級レストランなどで利用してくれるお店を増やしているとのこと。

実は藻類というのはまだまだ未開の分野で、さまざまな藻類を探究しているスタートアップは多い(バイオ燃料を生み出す藻類を扱うスタートアップの話をお聞きになった方も多いと思う)。この『うま藻』を作るAlgaleXの高田大地さんは、「そもそもは、海産資源を守るために養殖魚用のDHA飼料として開発をを進めていました。しかし、泡盛粕を培養のエサとして供給することで、驚異的なうま味を持った藻を作ることができてしまったんです」と語る。

うま味調味料、DHAサプリ、養殖魚用飼料など、さまざまな可能性を持った『うま藻』。クラウドファンディングは終わったが、ネットで単品販売も始まっている。興味のある方は、ぜひ試してみていただきたい。

うま藻
https://umamo.jp/shop/product_categories/4

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...

55周年を迎えた「MOTO」。周年を祝うスペシャルなレザー&シルバープロダクツを紹介

  • 2026.10.11

レザーやシルバーを駆使した製品を手がけるMOTO。1971年の創業より半世紀を超えて55年。ここでは、周年を祝うスペシャルプロダクツを紹介する。MOTOや本池秀夫さんが纏う唯一無二の世界観にも注目だ。(写真は「本池美術館」の隣にあるアトリエにて。周年限定のライダースジャケットにコンチョを装着する本池...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...

武骨な男服に効かす超繊細なメタルフレーム。「ディグナクラシック」の新作に注目

  • 2026.10.09

フライトジャケットやデニムなどの武骨な服に合うメガネで王道として挙がるのはプラフレームの場合が多い。だが、そんな武骨さのなかに繊細さを潜ませギャップを楽しむという意味ではメタルフレームも有用だ。 細かな彫金が施されたディグナクラシックの新作 今季展開されるメタルの新作は計6型で、それぞれにシルバーと...

Pick Up おすすめ記事

武骨な男服に効かす超繊細なメタルフレーム。「ディグナクラシック」の新作に注目

  • 2026.10.09

フライトジャケットやデニムなどの武骨な服に合うメガネで王道として挙がるのはプラフレームの場合が多い。だが、そんな武骨さのなかに繊細さを潜ませギャップを楽しむという意味ではメタルフレームも有用だ。 細かな彫金が施されたディグナクラシックの新作 今季展開されるメタルの新作は計6型で、それぞれにシルバーと...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

世界中で探し求める最上の素材。「THE FAT HATTER」秋冬コレクションをクローズアップ!

  • 2026.10.07

日本が世界に誇るハッターであるTHE FAT HATTERの秋冬コレクションをクローズアップ。今回のシューティングでは、それぞれの正義や美学をぶつけ合う場に向かう男たちを表現。彼らの強い決意と威厳を表現したような力強いハットが、精悍な雰囲気を醸し出している。ハットの良し悪しを大きく左右するフェルトは...

今季の「Lee」はブランケット付きジャケットに注目せよ!

  • 2026.10.19

シグニチャーモデル「101」が101周年を迎えるなど、アメカジ好きに多くの話題を提供してくれるLee。そんなアメリカンデニムを代表する同ブランドの注目の新作は、ブランケットを携えたワークジャケットだ。普遍的なデザインと保温性に優れるという機能を備えるこの秋冬の相棒となる逸品を紹介する。 Leeのシグ...

バガブージャケット、40年目の原点回帰。現代に蘇った名作ジャケットの魅力とは?

  • 2026.10.20

1986年に誕生した〈コロンビア〉の名作「バガブージャケット」が、今年で40周年を迎えた。その機能とデザインは、フィールドだけでなく街へも広がっていった。40周年となる2026年、その原点を振り返りながら、現代に蘇った[バガブージャケット]を見ていこう。 Bugaboo II 1986 Interc...