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実は奇妙な『マンガのフォント』にアドビが切り込んだ!【貂明朝アンチック】

  • 2023.11.23

誰もが読んでいる『マンガ』だが、実は奇妙な慣習がマンガのフォントにはある。マンガのフォントはなぜか『漢字がゴシック、かなが明朝』なのだ。筆者は長年雑誌に携わっているが、雑誌の記事や書籍ではフォントを混ぜて使うことはほとんどない。『漢字がゴシック、かなが明朝』で構成されているフォントを『アンチック』というらしいのだが、今回アドビが新たに『貂明朝アンチック』というフォントを開発した。これにより、アマチュアのマンガ家も、大手出版社のようなアンチックフォントを使いやすくなる可能性がある。

マンガのフォントの『謎』に、アドビが対応

周りの人に聞いてみると、意外と多くの人が気付いていないのだが、大手出版社から出ているメジャーなマンガのフォントは、多くの場合、漢字がゴシック、かなが明朝になっている。雑誌や、文字の書籍などの世界では、そんなことはあり得ない。

なぜ、そうなったのかは今となっては正確には分からないらしいのだが、戦後漫画史の中で、劣悪な紙に印刷されることが多かった(今でも、マンガ雑誌の紙は他誌に較べるとザラザラした安価な紙に印刷される)マンガの文字を少しでも読みやすくするためだと言われている。登場人物の感情が少しでも伝わるようにと、編集者たちが工夫を凝らした結果でもあるのだろう。今でも、集英社、講談社、小学館……と、出版社ごとに、フォントの工夫やノウハウがあるそうだ。

もともと大手出版社から出版されるマンガは、マンガ家が絵を描き、編集者が写植を貼る……という過程を持って作られていた。マンガ家が青い鉛筆で書いて写植屋さんが写植機で打ち出した文字を編集者が貼るのだ。昔のマンガ家の原画展などで原画を見ると、そういう状態になっているのを目にする。

しかし、デジタル化された現代では、マンガ家がソフトウェア上で絵を描くのだから、マンガ家がフォントまで含めて入力した方が作品の意図を反映しやすいように思う。しかし、やはりセリフを入れるのは現代でも大手出版社では編集者の仕事らしい。おそらく、我々は意識していないが、出版社ごとにフォントが違ったり、細かい部分のルールが違ったりするのだろう。

対して、マンガ経験の多くない中小規模の出版社や、企業広告案件のマンガだと、マンガ家がセリフまで入れることが多いという。またアマチュアやセミプロの作る自主制作のマンガなどでは、マンガ家がセリフを入れる。

アドビの『Adobe Typeプリンシパルデザイナー』というすごい肩書きのデザイナーの西塚涼子さん。フォント愛がすごくて、いつもハイテンションで面白い。

アドビがアンチック体を用意する意義

我々の作る雑誌でもそうなのだが、『フォント』というのは知らず知らずのうちに、一番『プロっぽさ』『シロウトっぽさ』が出る部分。アマチュアの人のマンガを見ると、ゴシックや丸ゴシック系のフォントが無造作にセリフに使われていたりして、それがアマチュア感を醸し出していてもったいないこともある。

貂明朝アンチックの紹介のために作られた北村みなみさんによる16ページの短編読み切り冊子。糸で綴じられている。ちなみに、登場人物の『テンちゃん』、『アサコちゃん』、『アキラちゃん』の名前は『貂明朝』が由来(だと思う)。

多くのアマチュアマンガ家は、この部分をフリーフォントで補っているというのが実態なのだそうだ。好みのフォントなどもあるから、それはそれで良いと思う。しかし、アドビの貂明朝アンチックは、フリーフォントより煮詰められている部分もあるので、今後検討の価値ありなのではないかと思う。

ウェイトが6種類用意されているのもいい。たとえば、気弱なモノローグなら細目のExtraLightやLight、少年マンガなどの力強い叫びならBoldやHeavyなどと使い分けることができる。

また、マンガで多用される、通常、濁点や半濁点が付かない文字にそれらを付ける演出や、感嘆符や疑問符のバリエーション、複数の文字にわたる音引で切れないように繋げたり、先頭と末尾の形状を変えたり……という、マンガならではの細かい表現に対応しているのも、アドビならではだ。

『貂明朝アンチック』はマンガの可能性を広げるか?

筆者は、大手出版社のマンガ制作の現場や、二次創作などセミプロ、アマチュアの方のマンガ制作の現場などに詳しいわけではないので、これ以上詳しい話はできないが、実際に今後『貂明朝アンチック』が使われていく可能性があるのか、『貂明朝アンチック』がマンガの可能性を広げていくのだろうか? このあたりは実際のマンガ家の方々の話をぜひ聞いてみたいところ。

また、アドビは、『Adobe-Manga1-0』という標準化仕様を作って、今後マンガ業界全体をサポートしていく姿勢を見せている。このアドビの取り組みも、どういう動向に繋がっていくのか、機会があったら取材、レポートしてみたい。

(村上タクタ)

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