HHKB Studio
https://happyhackingkb.com/jp/products/studio/
27年間変わらなかったHHKBが、ついに大きく進化した
『HHKBは変化しないことにこそ価値がある』
筆者も、このニュースを最初に聞いた時はそう思った。
しかし、和田先生がHHKBを考案されたのは28年前。まだ、Windows 95も登場しておらず、『コンピュータを操作する』というのは多分に『コマンドラインを操作する』という時代だったのだ。必然的に、HHKBは、テキストやコードを最速で『ホームポジションから手を動かさずに』操作することに主眼が置かれている。
対して、現在の我々の扱うコンピュータはどうなっているだろう。GUIが中心となって長い年月が経ち、4K以上の複数ディスプレイもふつうになっている。また、遠からずAR/VR空間での操作も当たり前になってくるだろう。
その時に、現状のHHKBでいいのか? というのがHHKB Studioの出発点だったそうだ。大画面を使ったGUI、将来的なAR/VRでの操作。その可能性を追求したのが『HHKB Studio』ということになる。
『ホームポジションから操作する』2つの新機能
そのため、HHKB Studioは大きな機能変化を遂げている。
特に特徴的なポイントが2点。キーボード中央部に設けられたポインティングスティックと、両側面と手前側左右に割り当てられたジェスチャーパッドだ。
ポインティングスティックは、IBMのThink Padなどに設けられているトラックポイントと同様に『G』と『H』の間に設けられている。ポインティングスティックの最大の利点は、旧来のHHKBの美点と同じく『ホームポジションから手を動かさなくていい』というところにある。つまり、ポインティングスティックの採用は、HHKBのコンセプトをさらに強化するところにあるのだ。
ジェスチャーパッドは後述のキーマップ設定ツールで、自在に機能を割り当てられる。たとえば、縦横のスクロール、拡大/縮小、ウインドウの切り替えといった具合だ。
メカニカルスイッチ採用、キーとキートップをカスタマイズ可能に
また、『新規コンセプト』という意味で驚いたのは、キースイッチが伝統の『静電容量無接点方式』ではなく、メカニカルスイッチになっているということだろう。しかも、採用されているのは、Cherry軸、MXキーで、ホットスワップが可能ということだ。Cherry軸はもっとも一般的に販売されているキースイッチだし、キートップの選択肢もグッと広がる。
『HHKBのカスタマイズ』という分野も、大きく広がっていくだろう。
ちなみに純正で採用されているのは、HHKB Studioのために特注されたKailh製の押下圧45gのリニアタイプとなっている。
超多機能なキーマップ変更ツール
今回、大きく変化を遂げているのは、キーマップ変更ツールだ。
キーマップ変更ツールでは、キーと、ポインティングスティック、ジェスチャーパッド、それぞれに機能を割り当てることができる。
キーボードは、4つのプロファイルを設定可能。つまり、操作するアプリによって、4つのまったく違ったキー配列を保存することもできるのだ。さらに、各プロファイルごとに、スタンダードとFn1、Fn2、Fn3と、合計4種類のキーコンビネーションのマップを記憶させることができる。つまり、全部で12枚ものキーマップを記憶させることができるのだ(使いこなせるかは別として……)。
また、各キーにはキーコンビネーションも割り当てられる。たとえば、ひとつのキーに『⌘+シフト+5』(画面一部分のスクリーンショットを撮る)というようなアクションを割り当てることも可能。Adobeのアプリのような数多くのショートカットを使いこなす必要のあるアプリでも、特定のプロファイルやFnとの組み合わせで、さまざまなキーにショートカットを割り当て、HHKB Studioを左手デバイスのように使いこなすこともできるのだ。
また、ジェスチャーパッドに機能を割り当てられるのはもちろん、4段階に感度を調整することも可能。また、ポインティングデバイスは大きく4段階、精密に設定するなら28段階に感度を調整可能。さまざまな用途に対応できるようになっている。
変わったこと、変わらないこと、比較的抑えられた価格
あまりの情報量に戸惑うと思うので、ちょっと最後に『変わらなかったこと』と、『変わったこと』を整理しておこう。
変わらなかったこと
・Alephキーボードを元にしたキー配列
・シリンドリカルステップスカルプチャー配置
・ホームポジションから手を動かさないというコンセプト
・Bluetoothで4台までの端末に接続可能
・USB-Cでの接続も可能
変わったこと
・静電容量無接点方式→メカニカルスイッチに
さらに、スイッチをホットスワップ可能
・ポインティングデバイス採用
・ジェスチャーパッド採用
これだけ機能を盛り込んで価格は4万4000円(税込)。現行最上位機種Type-Sの3万6850円の約2割増し程度に抑えられている。昨今の円安での値上げ攻勢を考えると破格値といってもいいだろう。
なお、従来のHHKB Professionalシリーズも併売されるので安心して欲しい。あくまで新コンセプトのHHKB Studioであり、従来からのHHKBが変わってしまうわけではない。
発売は本日10月25日より即日。従来と同じく、PFUダイレクトからのみ。b8ta Tokyo – Yurakuchoでも期間限定で展示、技研ベース、原価バー、スーパークラシック、遊舎工房、アシストオンなどのタッチ&トライスポットでも体験できるとのこと。
PFUダイレクト
https://www.pfu.ricoh.com/direct/hhkb/hhkb-studio/
ThunderVoltでは試用機を入手し次第レポートをお届けする予定だ。
(村上タクタ)
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