書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

「あなたもクリエイターに」Adobe MAX開催。AIを使って、クリエイターの能力をさらに拡大

クリエイティブの祭典『Adobe MAX』が今年も開催された。アドビといえば、Photoshop、Illustratorなど数十のクリエイティブアプリやサービスが提供されていて、使い手のあらゆるクリエイティブ能力を拡大する存在となっている。すべてはクラウドサービスとなっており、日々アップデートが続けられているが、Adobe MAXでは、大規模なアップデートと今後の方向性が指し示される。詳しい方はすでに、自分のご興味のある部分の発表を目にされていると思うので、ここではアドビのサービスに詳しくない方に向けて、アドビで今後何が起こるのかをご説明しよう。

より多くの人に、クリエイティブの力を

ご存知のように、アドビのアプリは、現在『Adobe CC(Creative Cloud)』という月額6480円のプランに統括されており、この金額を払っているクリエイターは日々、あらゆるアプリを使って、クリエイティブスキルを発揮できるようになっている。写真を加工するPhotoshop、ベクターデータを扱うIllustrator、動画を編集するPremiere Pro、本を作るInDesign……など、ありとあらゆるクリエイティブアプリが揃っており、日常的に次々とアップデートが施されているのが大きな特徴だ。

ここ数年は、iPad対応に関する情報が数多く発表されている。PhotoshopやIllustratorなどがiPad 用アプリでほぼフル機能を使えるようになったり、Frescoという絵画やイラストを描けるアプリが著しく進化したりした。M1、M2を搭載したiPad Pro、iPad Airの登場でiPadでのクリエイティブワークはかなり実用的なレベルになったといえるだろう。

今回の発表は『精度とスーパーパワー』『スピードと手軽さ』『コラボレーションによるクリエイティブワーク』として、取りまとめられていた。

『精度とスーパーパワー』

Adobe CCのアップデートの多くは、アドビの人工知能であるAdobe Senseiの活用によって進化している部分が多い。

Photoshopでは、デスクトップ版の『オブジェクト選択』が進化。複数の人物が接触していても個別に選択することができたり、空、建物、水面、植物など複雑なオブジェクトもそれぞれ認識が可能になっている。

Illustratorで『クロスと重なり』機能を使って、複数のオブジェクトが、前になったり後ろになったりと、絡み合ってるような表現が簡単に行えるようになった。また、テキストはテキスト情報を持ったまま作業を継続できるので、箇条番号や番号付きリストも扱いやすくなった。

また、Generative AI技術(AIに言葉から絵やイラストを描かせる技術)についても、革新的かつ責任ある方法を検討している、とのこと。

また、さらにVR空間で多用される立体物をレンダリングする技術においても、Substanceシリーズにおいてさまざまなアプリが発表されて、アドビのVR空間に対する力の入れようが感じられる。特にSabstance 3D Modelarでは、VRヘッドセットを装着してのモデリングがサポートされた。

コントローラを使って、骨組みを作り、粘土のように盛り上げたり、削ったり。また、新しいクリエイティブ領域が広がったといえるだろう。

『スピードと手軽さ』

この記事を読んでいる非Adobe CCユーザーの人にぜひ使っていただきたいのが『Adobe Express』だ。

Adobe Express
https://express.adobe.com/

ウェブサービスとして使えるデザインツールだが、写真のキリヌキや、画像サイズの変換、ロゴの作成や、バナー、インスタグラム用クリエイティブ、ポスターやチラシの制作など、日常的に使える機能がいっぱい盛り込まれている。

自分の確固たるイメージがあるならAdobe CCを使った方がいいが、『デザインセンスはないんだけど、簡単なクリエイティブワークをする必要がある』というような人にピッタリだ。

簡単にウェブサイトを作れるWixとのコラボレーションも発表された。

たとえば、ロゴでもだいたいの用途を入力して、絞り込んで表示されるたくさんのロゴの中から、使いたいのを選ぶだけ。文字などを打ち変えて、好みに応じて色やフォントを変えていけば出来上がり。たとえば、このロゴは5分で作った(『稲妻』で検索して、名前を打ち変えただけだけど)。

大きなビジネスだと、もっと綿密なクリエイティブワークが必要となるのは当然だが、個人の店舗や趣味のグループなどでは、これで充分。実はThunderVoltを最初にヘリテージ社に提案した時の企画書にあったロゴはAdobe Expressで作ったものだった。

このAdobe Expressがさらに機能アップし、テンプレートも充実している。これまでクリエイティブに縁がなかったという人にこそ、ぜひ使ってみて欲しい。いわばクリエイティブの民主化だ。なんといってもタダだし。

『コラボレーションによるクリエイティブワーク』

コラボレーション機能も実に充実している。

Adobe CCをビジネスで使っている人は成果物をクライアントに確認してもらうシーンが発生すると思う。クライアントと言わないまでも、たとえば、我々のような出版社なら、エディトリアルデザイナーが雑誌誌面のデザインをInDesignからPDFに書き出して、それをメールで送って確認するというようなことが起こる。

クリエイティブワークに慣れている人なら、PDFに対してiPadで修正点を書き込んだりしてやりとりができると思うが、相手が不慣れな場合だと、希望する修正個所が上手く伝えられなかったりして困るというシーンも多々ある。

新機能の『レビュー用に共有』を使えば、共有ボタンを押すだけで共有用のURLが発行される。そのURLはAdobe CCの契約がなくても、どんなブラウザでも開くことができるし、プロジェクト上にピン、矢印、丸などを追加して、フィードバックの文脈を正確に伝えることができる。

フィードバックは、デザイナーが使っているアプリ上に直接戻されるので、デザイナーは別アプリなどを開くことなく、修正を行うことができる。

この『レビュー用に共有』機能は、まずPhotoshop、Illustrator、InDesignで提供され、その後Adobe CC全体で導入されるという。

また、Premiere ProやAfter Effectsなどの動画ファイルに関しては、昨年アドビが買収したFrame.ioの機能を使って、動画フレームを指定してコメントをつけることができる。

クリエイターの力を最大化、それ以外の人にも提供

総じて、Adobe CCの機能はAdobe Senseiの強力な能力を使って、多機能、高性能化しつつも簡単操作で行えるようになっている。クリエイティブワークに関わる人が、他の人に確認してもらうのも便利になるし、クリエイターでない人でも無料で簡単なクリエイティブを作ることができるようになっている。

『Creative for all.』

Adobeのサービスは、多くのクリエイターの力を最大化し、さらにはそれ以外の人にもクリエティブの力を提供しようとしているのである。

(村上タクタ)

 

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

時間を重ねて、ヴィンテージになる。「RAGGY CLOTHING」の何年先も、格好いいと思える服

  • 2026.10.02

時代が変わっても、色褪せない格好よさがある。「ラギークロージング」が大切にするのは、流行に左右されない普遍的さ。アメリカンカジュアルの王道を、いまの時代に自然に着られる1着へと仕立てる。 旧きよき服を現代の日常に アメリカンカジュアルの王道を見つめながら、現代の日常に馴染む服を作る「ラギークロージン...

本格派でコスパも優れる「Amber Threads」のライトアウターで秋を始めよう!

  • 2026.10.05

古着店「DOSTYLE」を運営する「ドラマ」が手がける気鋭のアメカジブランド「Amber Threads」。“トレンドとヴィンテージを融合したアメカジスタイル”を掲げる同ブランドはバリエーション豊かなライトアウターを展開する。ヴィンテージをベースとした本格派でありながらコストパフォーマンスにも優れる...

Pick Up おすすめ記事

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

歴史に残る空軍服を、いま再び。機能美が息づく「中田商店」のモーガンメンフィスベル

  • 2026.10.02

メンフィス・ベル号の機長、ロバート・K・モーガン氏との交流から始まったモーガンメンフィスベルは第二次世界大戦期の空を支えたフライトウエアを現代に蘇らせる中田商店のオリジナルブランド。極限の環境で求められた機能と、色褪せない完成されたデザインが魅力の航空服を紹介する。 R.A.F. Irvin She...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...