宇宙船らしさは健在! シトロエンSMを本家DSオートモビルズがトリビュート・コンセプトモデルに再解釈。近未来的デザインが甦った。

その性能よりもデザイン性の高さが群を抜くシトロエン。「フランスのエスプリが利いた」なんていう広く言われる言葉以上の前衛的なデザインを自動車に落とし込むことで、メジャーではないけれど、コアなファンを持つブランド。そんなシトロエンから1970年代のシトロエンSMを現代的にオマージュしたコンセプトモデル「SM TRIBUTE」が登場。あの「斬新で前衛的なデザイン」が現代的解釈で再び甦った。

ファンなら食いつく仕上がり。コンセプトモデルなのが惜しい。

シトロエンといえばDSやSMといった当時のSF映画に出てきそうな宇宙船のような斬新なデザインと、当時としては珍しかった油圧システム(ハイドロ機構)によるサスペンションなど、他ブランドとは圧倒的に違うアプローチが得意なブランド。いあば自動車業界の前衛的手法の旗手であった。

その圧倒的なデザイン性の高さは現代になって影を潜めたが、それでも他ブランドとは違った細部のデザインなどは変わることなく、イイ意味で「ひと癖ある」スタイルが特徴だ。

そんなシトロエンの歴史の中でも。1970年に生まれたSMは忘れてはいけない名車。これは4ドアのシトロエンDS(こちらも名車)のボディをベースに2ドア化したスポーティなモデルとして登場し、1975年まで存在した高級モデル。

角目6灯(北米仕様は角目4灯)に、リアタイヤが隠れ、リアに向かってシェイプされた独特なボディパネルのデザインはまさにシトロエンの真骨頂といえるモデルだった。

そんなシトロエンSMのトリビュートモデルをDSオートモビルズがコンセプトモデルとして現代に甦らせた。現在の自動車メーカーでは一種の流行りともいえるヴィンテージカーのオマージュがシトロエンでも。

ちなみにDSオートモビルとはシトロエンを保有するステランティスグループがシトロエンの高級ラインを製造するサブブランドとして生まれ、2015年からシトロエンから独立したブランド。

それだけにこのコンセプトモデルもしっかりと当時と同様に高級感のあるスタイルと、当時のデザインをさらに加速させる近未来的なスタイルになっている。

コンセプトモデルのため、市販される予定はないけれど、往年のファンにとってはこれくらいかつてのシトロエンらしさを見せつけてくれるモデルは受け入れらると思うんだけどね。

これがオリジナルのシトロエンSM。角目6灯(しかも可動式)という斬新なフロントマスクと、リアパネルの宇宙船のようなラインが特徴。ライセンスプレートがフロントグリル内に埋め込まれるなど、他のクルマとは一線を画す独特なデザイン。当時は提携していたマセラッティのV6エンジンを搭載し、1970~1975年まで生産され、日本にも正規輸入されていた。日本ではよほどの「好き者」でなければ手を出さないモデルではあったけど、そのスタイリングの特異さは圧倒的。

22インチホイールを収めるためにホイールアーチは拡大されるけれど、基本的なボディラインはオリジナルのSMを踏襲している。このクルマの特徴でもあるリアタイヤが隠れるクオーターパネルのデザインも受け継がれている。コンセプトモデルはボディを2トーンカラーにすることで、より現代的なスタイルへと昇華させている。

細いLEDテールライトがリアのフェンダーのタイヤハウスにまで伸びるエレガントなデザイン。リアテールのデザイン性の高さはシトロエンの真骨頂のひとつといえる。

高級2ドアクーペというオリジナルモデルのイメージはそのままに、このコンセプトモデルでは象牙色のレザーとアルカンターラで構成。内装はあくまでオリジナルモデルをオマージュしたデザインにとどめ、クラシカルなスタイルを尊重している。

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今季ワードローブに加えたいアイテムを厳選紹介! 「EIGHT-G」で秋支度。

  • 2026.10.04

秋の装いが楽しくなる季節。ミリタリーやワークといったアメリカ由来の実用服をベースに、素材やディテールへこだわりを詰め込んだエイトジーの新作から今季のワードローブに加えたいアイテムをピックアップ。 (右)ジャケット110,000円(TMJ2615)、シャツ23,100円(8LS-81)、ジーンズ24,...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

Pick Up おすすめ記事

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

今季ワードローブに加えたいアイテムを厳選紹介! 「EIGHT-G」で秋支度。

  • 2026.10.04

秋の装いが楽しくなる季節。ミリタリーやワークといったアメリカ由来の実用服をベースに、素材やディテールへこだわりを詰め込んだエイトジーの新作から今季のワードローブに加えたいアイテムをピックアップ。 (右)ジャケット110,000円(TMJ2615)、シャツ23,100円(8LS-81)、ジーンズ24,...

名作[ハリケーントップ]誕生から40周年! 「CHUMS」の「ハローウェア」が再登場

  • 2026.09.23

「チャムス」の名作[ハリケーントップ]の誕生から40年を迎える今年、「ハローウェア」が再登場する。そのコレクションを紹介する前に、まずはブランドが歩んできた歴史を紐解いていこう。これまでの歩みを知れば、「ハローウェア」をもっと楽しめるはずだ。 ハロー、懐かしくて新しいチャムス サングラスを川に落とさ...

本格派でコスパも優れる「Amber Threads」のライトアウターで秋を始めよう!

  • 2026.10.05

古着店「DOSTYLE」を運営する「ドラマ」が手がける気鋭のアメカジブランド「Amber Threads」。“トレンドとヴィンテージを融合したアメカジスタイル”を掲げる同ブランドはバリエーション豊かなライトアウターを展開する。ヴィンテージをベースとした本格派でありながらコストパフォーマンスにも優れる...