ヴィンテージデニムは 今がもっとも高い。
日本を代表するヴィンテージショップであるベルベルジンのディレクターであり、ヴィンテージデニムアドバイザーとして様々な企業やブランドとタッグを組む藤原さん。その豊富な知識や独自の審美眼は各方面から評価されており、藤原さんが着用したヴィンテージが高騰するなど、インフルエンサー的な側面も持つ。そんなヴィンテージデニムのスペシャリストにここ30年の流れを振り返ってもらおう。
「現在は第二次ヴィンテージブームと言われていて、正直’90年代の同ブームを凌駕するくらいデニムが高騰しています。同じ品番でもコンディションが良いものが高いというのは変わりませんが、近年はデッドストックやミントコンディションに対する評価が高く、より高い値段で取引されるようになっています。
’90年代のヴィンテージブームと比べると3倍位になっており、自分たちでも驚くような価格になっていますね。’90年代は日本だけのブームでしたが、今は本場のアメリカを筆頭に世界中で起こっている流れなので、そもそもの仕入れ値も上がっているのが現状です」
’90年代から変わらず、リーバイスの501XXや506XX、507XXがヴィンテージ市場の人気の中心ではあるが、この30年でさらに細分化され、さらに深堀りされていった。
「’90年代のヴィンテージブームは’50年代までが中心で、例えば501だとそれよりも前の大戦モデルや’36年モデルなどは高嶺の花で、さらに昔のモデルはリアリティのない時代でした。2000年代にはそのブームが落ち着くのですが、2008年頃から’30sブームが起こるんです。
人気ブランドがモチーフとしたアーカイブが注目を集める流れとなり、’30年代以前のヴィンテージをオマージュしたデザインが流行します。その結果、変形ポケットのカバーオールなどの戦前のワークウエアが盛り上がったんです。
’90年代のヴィンテージブームではクローズアップされていない部分だったので、新鮮でしたし、おもしろいデザインが多く、今でも初めて見るものがあるくらい。
ここ数年はなんと言ってもオーバーサイズです。背面がセパレートしたサイズ46以上の506XXで通称Tバックと呼ばれるものは、海外でもとんでもない価格になっています。それに引っ張られるようにサイズの大きいGジャンの価格が高騰していますね」
30年間の流行に比例して、価値も上昇したデニムとは?
近年のヴィンテージブームで、デニムは高騰化しており、数カ月が相場が変わる世界。30年以上、デニムを追い続けてきたスペシャリストである藤原さんにプライベートコレクションとともに、その動向を解説してもらった。
LEVI’S 501 66MODEL
通称66モデルと呼ばれる70年代の501のデッドストック。近年はデッドストックやミントコンディションのデニムが評価されており、ヴィンテージブーム時に比べると3倍位のプライスになっている。
LEVI’S 506XXE
藤原さんが流行らせたと言っても過言ではない背面がセパレートした通称Tバックと呼ばれる506XX。針ありだと46、針なしだと48以上が生地幅の関係で背面がセパレートする。ものによっては1000万単位だ。
Unknown COVERALL
2000年代後半から盛り上がった’30年代以前のワークウエアの中でも、変形ポケットの付いたカバーオールは花形。当時はマイナーなブランドも数多く存在し、それぞれが知恵を絞り出した特徴的なポケットを考案。そんな歴史を感じる代物だ。
LEVI’S 501XX
1936年にリーバイスのアイコンである赤タブが付く。1937年には、ウエストのサスペンダーボタンが省略されてしまうので、1年ほどしか生産年数がなかった希少なモデル。’90年代よりも高騰。
LEVI’S DENIM WESTERN SHIRT
’90年代より人気の高いリーバイスのショートホーンタグの付いたデニムウエスタンシャツ。これはスマイルボタンと呼ばれるリーバイス刻印入りの珍しいスナップボタンが使われており、かなり希少なモデルだ。
(出典/「Lightning 2024年5月号 Vol.361」)
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