クルーザーからBMXへと進化するアメリカンチャリの歴史を掘る。

クルマ大国といっても、モーターサイクルや自転車といった2輪カルチャーも成熟しているのがアメリカ。

そのなかでも世界でも類を見ないスタイルがSchwinn(シュウイン)に代表される1960年代のクルーザーだ。

クルーザーはバイクでいうチョッパーを自転車で表現したもの。異形な自転車でありながら、1960~1970年代までアメリカを席巻した。しかもそんなクルーザーが現代のBMXへと進化していった歴史をみると実に興味深い。

当時のモデルを見ながら、クルーザーカルチャーから後のBMXに進化するまでの歴史を実際のヴィンテージモデルを見ながら追ってみる。

当時のモーターカルチャーから派生した異形の自転車。

1960年代にモーターサイクルの世界で、当時のレース車両だったボバー(無駄なパーツを取っ払ったカスタム)から派生したのがチョッパー。文字通り、余計なパーツをチョップし、走りに特化させたカスタムで、当時のモーターサイクルクラブではそんなカスタムチョッパーに乗ったバイカーが台頭した。

さらにクルマの世界ではハイパフォーマンスなマッスルカーでドラッグレースを楽しむクルマ好きが増え、メーカーも多くのマッスルカーを市販するように。

そんな文化の裏側で、自転車にも当時の文化を反映させたモデルが生まれる。それがクルーザーで、チョッパーのようなアップハンドルに、バナナシート、なかにはクルマのようなシフトノブを付けて変速ができる仕様など、当時のモーターカルチャーの要素を自転車にも応用したアメリカ独自の自転車が生まれた。

さらにアメリカではダートトラックを使ったモーターサイクルレースも台頭し、子どもたちはクルーザーを駆って、大人のようにダートトラックを自転車で競うイベントも開催されるように。やがてクルーザーも、街乗りから走る場所がダートトラックに変わり、後にBMXと呼ばれる自転車へと進化していくのである。

つまりクルーザーはBMXの祖先だったわけだ。1960~1970年代、当時のアメリカ文化とともに独自の進化を遂げたのがこのカテゴリー。今ではそんな黎明期のクルーザーやBMXには多くのコレクターが存在し、モデルやコンディションによってはかなりのプライスになっているモデルも。

ヴィンテージの自転車には現行モデルにはない「おおらかさ」や、当時ならではのアイデアを詰め込んだディテールが多数見られ、旧きよき自転車メーカーの当時の試行錯誤が見え隠れする。それこそが、ヴィンテージ自転車のおもしろさなのだ。

そんななからら数台をピックアップ。

旧きよきアメリカンチャリの沼にハマッてみるのも実におもしろい。

1966 Schwinn Sting-Ray Fastback

シルバーラメのバナナシートやセンターにクルマのようなシフトノブによる変速機(スティックシフト)を搭載した5段変速になるシュウインのファストバック。鮮やかなパープルのカラーが時代感を教えてくれる。売約済み

1970s Huffy Trophy CS

シュウインほどメジャーではないけれど、当時多くのクルーザーを販売していたHuffyのトロフィ。使用感があるのはヴィンテージならではの味わい。チェーンカバーに当時のファニーカーのシルエットがプリントされているところがクルマ好きも気になる部分。価格要問い合わせ

1978 Schwinn Hornet BMX

クルーザーと現代BMXの過渡期を思わせるフォルムのシュウイン・ホーネット。タックアンドロールのシートが付くリアのステーにはショックアブソーバーが付いている。バイクのようなダミータンクも当時ならではのデザイン。12万円

1979 Schwinn Sting-Ray

前後20インチの小径ホイールに、バナナシートやチョッパーハンドルというアメリカンクルーザーでもメジャーなシュウインのスティングレイ。スターメーアーチャーの変速機を搭載している。グリーンxイエローはレアカラー。30万円

1980s Schwinn Scrambler Phantom

1980年代になると現代BMXのスタイルが確立。それでも初期BMXには多くのコレクターがいるからおもしろい。これはホイールがスポークタイプに換装されている。ブランドロゴなどがブロック体になっているところも時代感がある。15万円

1990s Schwinn Scrambler

リアのフレームが急角度で曲げられているのが特徴的なシュウインのBMX。フレームはクロモリ仕様という本格派。モノトーンのカラーは現代でも通用するカラーリングである。フロントフェンダーに入るレーシングストライプが実にアメリカン。18万円

【取材協力】
J-motors
https://www.instagram.com/j_motors_sehoji/

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

大人メンズの手首に最適解なバングルを……「アリゾナフリーダム」を象徴するモチーフ“唐草”。

  • 2026.05.08

アリゾナフリーダムを象徴するモチーフのひとつ、唐草。創業当初から脈々と受け継がれ、ブランドの核として多くのファンに愛され続けてきた、いわば普遍的なデザインだ。一見すると同じ唐草でも、彫りの深さやラインの強弱、バングルの幅やサイズによって印象は大きく変化する。その多彩な表情こそが、このモチーフの大きな...

30周年を迎えた「FIRST ARROW’s」がシルバー300個、金30個の限定アイテムを発売。トリプルコラボのデニムにも注目!

  • 2026.05.11

30周年を迎えた「FIRST ARROW’s」からメモリアルな逸品が登場。限定なのでこの機会を見逃すな! また、定番のアイテムも一挙紹介。ハンドメイドならではの美しい細部に注目だ。※価格は全て税抜きです 【NEW ARRIVALS】30th Anniversary Arrow Feather Ser...

夏服選びはエイトジーで完成させる! “ちょうどいい”アメカジアイテムが続々登場

  • 2026.05.01

エイトジーで完成させるお気に入りの夏支度。アロハにショーツ、Tシャツなど、エイトジーらしい“ちょうどいい”アメカジアイテムが今シーズンも徐々に揃い始めているぞ。 生地、グラフィック、色合いがマッチし、まるで着るアートピースのような存在感。|Waikiki Leaf & Fish Lot:8A...

スニーカー派こそ知っておきたい、「クラークス オリジナルズ」の名作シューズとその歴史。

  • 2026.05.12

ご存知、英国生まれのシューメーカー「クラークス オリジナルズ」。実は本誌が標榜するアメリカンスタイルとも縁深い同ブランドの魅力について創業から現代にかけての歴史や数々の名作とともに、再考してみたいと思う。 英国で生まれ、アメリカで人気に火がついた稀有な存在。 アメカジ好きの本誌読者の皆様は、クラーク...

無骨と涼感。どちらも、ステュディオ・ダ・ルチザンで手に入る

  • 2026.05.02

異なる魅力を持つふたつのスタイル。だが、その根底にあるのは、日本のモノづくりに裏打ちされた丁寧な作りと、細部に宿る遊び心である。 制約が生んだ大戦期の美学! 物資統制下にあった大戦期、簡略化されたディテールの中から生まれた機能美。その無骨な佇まいをベースに、ステュディオ・ダ・ルチザンが現代的に再構築...

Pick Up おすすめ記事

これが“未来のヴィンテージ”。綿、糸、編み機……すべてに徹底的にこだわる唯一無二のカットソー

  • 2026.04.27

綿、糸、編み機……。素材から製法まで徹底的にこだわり、唯一無二のカットソーを創り続けるライディングハイ。「FUTURE VINTAGE(未来のヴィンテージ)」を目指す彼らのフィロソフィは如何にして形成されているのか。プロダクトの根幹をなす代表・薄 新大さんの“アイデアの源”に迫る。 More tha...

スニーカー派こそ知っておきたい、「クラークス オリジナルズ」の名作シューズとその歴史。

  • 2026.05.12

ご存知、英国生まれのシューメーカー「クラークス オリジナルズ」。実は本誌が標榜するアメリカンスタイルとも縁深い同ブランドの魅力について創業から現代にかけての歴史や数々の名作とともに、再考してみたいと思う。 英国で生まれ、アメリカで人気に火がついた稀有な存在。 アメカジ好きの本誌読者の皆様は、クラーク...

大人メンズの手首に最適解なバングルを……「アリゾナフリーダム」を象徴するモチーフ“唐草”。

  • 2026.05.08

アリゾナフリーダムを象徴するモチーフのひとつ、唐草。創業当初から脈々と受け継がれ、ブランドの核として多くのファンに愛され続けてきた、いわば普遍的なデザインだ。一見すると同じ唐草でも、彫りの深さやラインの強弱、バングルの幅やサイズによって印象は大きく変化する。その多彩な表情こそが、このモチーフの大きな...

夏服選びはエイトジーで完成させる! “ちょうどいい”アメカジアイテムが続々登場

  • 2026.05.01

エイトジーで完成させるお気に入りの夏支度。アロハにショーツ、Tシャツなど、エイトジーらしい“ちょうどいい”アメカジアイテムが今シーズンも徐々に揃い始めているぞ。 生地、グラフィック、色合いがマッチし、まるで着るアートピースのような存在感。|Waikiki Leaf & Fish Lot:8A...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。