日本家屋でウイスキーを嗜む、和洋折衷のバー体験。|きえんきえら(東京・南麻布)

カフェと同様、バーにも様々なコンセプトがあり、お酒はもちろんプラスαで楽しめる店がある。東京・南麻布の旧い一軒家をリニューアルした「きえんきえら」も異彩を放つバーのひとつ。外観からはバーとは気づかないほど日本家屋のレトロさが際立つ。

昭和中期の日本家屋を改装した大人の隠れ家。

棚は新たに設置したが、重厚な一枚板のカウンターや和の雰囲気が漂う書院造りのバックボードは白金時代から使用していたもの

東京・南麻布の住宅街の中で異彩を放つバー「きえんきえら」。2018年まで白金の古民家で営業していた老舗バーが2019年に移転して、同様に南麻布の旧い一軒家をリニューアルしてオープンを果たした。

昭和中期の一軒家を改装したきえんきえらは、外観からはバーと気づかないほどに日本家屋のレトロな雰囲気を残した佇いだ。広尾駅から徒歩2分の駅近でありながら住宅街に位置するため、都会の喧騒とは無縁の静かなエリア。

そこで和の雰囲気にゆっくりと腰を据え、洋酒を嗜むという和洋折衷のお酒の楽しみ方がきえんきえらの最大の魅力。白金時代から続く常連客も新しいお客さんも、この場所でしか味わえない雰囲気と味に酔いしれているのだろう。

ウイスキーは時期ごとに常に入れ替えながらスコッチを中心に定番から限定品やレアな蒸留所の銘柄まで揃え、初心者も玄人も満足できるラインナップ。バーテンダーがオリジナルで仕上げたカクテルも見所だ。お酒から空間の雰囲気まで含めて、いつもとはちょっと違う非日常を楽しめる大人の隠れ家的なバーと言えるだろう。

南麻布の住宅街に残る昭和中期の日本家屋。BARとは思えないほどの和の空間で洋酒を嗜むのがきえんきえらの楽しみ方。エントランスの前に仕切りを立て、通りと店内で世界観を隔てている

自然の温もりが感じられる和の空間デザイン。

一階のカウンターフロアの奥にある石畳の廊下は座敷や2名がけのソファ席に繋がっている。

バーの隣には現代的なマンションが並ぶため、窓の外には植物や木の仕切りを立て、日本家屋の雰囲気を壊さない工夫がなされている。

また白金の店舗で使っていたステンドグラスを各所に散りばめ、当時の世界観を再現。

一階奥の座敷席は和の雰囲気を堪能できる人気席。丸窓の外に竹の垣根を設け、景色まで含めて作り込んだ空間に。

二階に上がる階段(上)。吹き抜けはオーナーのこだわりのディテール、開放的な雰囲気を演出。

二階の床の間には掛け軸や旧い壺をディスプレイ。格子と擦りガラスを組み合わせた戸がレトロな雰囲気。

二階のテーブル席は木枠のついた大きな窓が設置されている。

2種類のスコッチによるスモーキーな香りを楽しむ一杯。

ラスティネイルは第二次大戦後あたりから続く、トラディショナルなカクテル。きえんきえらでは。2種類のスコッチウイスキーによって芳醇な香りと甘味を引き出す。

三つのグラスを用意し、二つには氷を入れておく。LAGAVULIN50mLOGAN10mをそれぞれ氷が入っていないグラスに注いでブレンドさせる。

DRAMBUIEを氷が入ったロックグラスに適量注いで氷をリンスするように混ぜ、氷に残った分だけを使用。

LAGAVULINLOG ANを混ぜたウイスキーをリンスした氷が入ったグラスに注いで混ぜる。

新しい氷が入ったグラスに注いで完成。

【レシピ】
LOGAN 50ml
LAGAVULIN 10ml
DRAMBUIE 5ml(リンスのみ)

通常のラスティネイルはスコッチウイスキーとドランブイで作るのがスタンダードだが、きえんきえらでは2種類のスコッチウイスキーを使用

合わせたいおつまみ。

玉ねぎやチーズ、パン粉を加えて仕上げたオイルサーディンはカクテルの香りと相性が良いおつまみ。

「きえんきえら」おすすめウイスキーを紹介!

ウイスキー100種以上をはじめ、焼酎や日本酒まで豊富なラインナップを揃えるきえんきえら。ウイスキーはその時々に手に入る各国の銘柄を用意しているが中でもスコッチウイスキーをメインに、オーソドックスなものからレアな銘柄まで取り揃えているので、ウイスキー初心者から玄人まで楽しめるのも魅力だ。

GLENMORANGIE

スコットランドで最もに軽めのスコッチ。オレンジの香りが特徴で、オレンジピールを加えたハイボールにもぴったり。

THE BALVENIE

世界一の販売数を誇る蒸溜所“Glenfiddich”の姉妹蒸溜所で生産するスコッチ。シェリーキャスクによる少し甘めの洗練された味。

BERRY BROS&RUDO

GLENKIETHのスコッチを使用したBERRY BROS&RUDOによるボトラーズウイスキー。フルーティーで華やかな香りが特徴。

DAFTMILL

元々農家のプライベートブランドが人気を博し商品化されたモデル。軽く、フルーティで初心者でも飲みやすいシングルモルト。

GLENDRONACH

シェリー樽で寝かせた甘めのニュアンスに仕上げられたシングルカスク。ドライフルーツと合わせてデザート感覚で飲むのも

LAGAVULIN

アイラジャズフェスティバルを記念して造られた限定のLAGAVULIN。毎年開催されるが2017年物は特に評価が高い。

きえんきえらのグラス。

上から、ロックグラス、タンブラー、テイスティンググラス

きえんきえらでウイスキーに使用するグラスは主にこの3種類。ストレートにテイスティンググラスを使用するのは口が細くくびれた形状によって香りがグラス内に溜まり、飲む 際にウイスキーの香りを楽しみやすいため。

DATA
きえんきえら
東京港区南麻布4-5-54
TEL03-3446-0609
営業/18時~26
休み/無休
http://quien.jp/quienquiera.html

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/別冊Lightning Vol.214「ウイスキーブック」

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

Pick Up おすすめ記事

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...