愛煙家でなくてもひとつは所有しておきたいバースデージッポーの世界。

誕生から90年以上の歴史を持つオイルライターの名品・ジッポー。ヴィンテージでも企業モノ、ベトナムモノなどジャンルは多岐に渡るがここでははファン以外にも人気の「バースデージッポー」の世界を覗いてみよう。

「ブラッドフォード東京」安藤仁さん

大学卒業後、ジッポーの日本正規輸入代理店となる伊藤商事に入社し、ジッポーを担当。日本にジッポーを定着させた立役者のひとり。2011年に退社後現在のショップをオープン。ジッポー本社ともコネクションを持つことからレアなモデルなども多数所有する。

ライターに革命をもたらした永遠のスタンダードアイテム。

1932年にジッポー創業者となるジョージ・G・ブレイズデルは、強風の時に使いづらかったオイルライターを改良し、片手で簡単に操作できるライターを製作。「ジッポー」の由来は公式サイトによると、当時使われ始めた「ジッパー」という言葉の響きが気に入ったことからジッポーと名付けたという。デザインや素材もバリエーションが多いほか、酒造、タバコ、クルマ、バイク、スポーツ、キャラクターなどデザインの種類によってジャンルも細分化されそれぞれにコレクターもいる

1932年にアメリカ・ペンシルベニア州ブラッドフォードで生まれたジッポー。片手で簡単に操作できて、かつ風にも強く壊れないという、それまでのオイルライターの欠点を改良。

創業当初より若干の仕様変更はあるものの、デザインや機構は創業時と基本同じ。そして、現在も全商品に「It works or we fix it free(機能しなければ無料で修理します)」という「永久保証」が付くほど耐久性の高さには自信があったことから、第二次世界大戦開戦後には米軍に採用されたことで男の小道具としての地位を確立。

また、使いやすいサイズ感とシンプルなボディは企業の広告や販促品としても最適なことから有名企業やブランド、キャラクターのジッポーが生み出されてきた。

これほどまでに歴史や逸話が多ければ当然、そこにはコレクター市場が存在する。近年、世界的にタバコ離れが進みつつも、いまだに世界各国にコレクタークラブが存続するなどコレクターアイテムとしての人気も高い。

コレクターも各ジャンル細分化していて、こちらでも過去に企業モノやベトナム戦争モノを取り上げたが、今回はコレクターでなくても楽しめる「バースデーイヤー」について紹介しよう。

デッドストックでなければ比較的安価で入手可能!!

デザインのジャンルごとにコレクターが存在するジッポーは、形や素材、カラバリのほかデザインの多様さも魅力の一つ。ハーレー系、ミリタリー系、お酒のブランド系、ビートルズなどミュージシャン系のほかに、キャラモノ、クルマ、スポーツ系などジャンルは多岐に渡る

「バースデーイヤー」モデルとはその意味の通り、自分の生まれ年に製造されたモデルのこと。クルマやワインなども同じくバースデーイヤーにこだわるファンは多いが、そうしたモノに比べて安価で入手可能だし、旧くても機能は問題なし。ただし、歳が同じでもデザインが好みに合うかどうかというのは時の運といえる。

気になる価格だが、個人売買や店舗によってバラバラだ。例えば、今回強力してもらった東京・江東区のジッポー専門店「ブラッドフォード東京」は、’50年代なら1万4400円~、’60年代なら9600円~、’70年代なら6400円~とリーズナブル。

「未使用のデッドストックだと高いモノもありますが、ユーズド品ということになればウチではこの価格帯から入手可能です」

とは同店の安藤仁さん。コレクターのなかにはインナーもオリジナルにこだわる人もいるがインナーが交換されていても機能は変わらないので、初心者ならでそこまでこだわる必要もないだろう。

デッドストックになると数万~10万円を超えることもあるが、比較的手軽に入手できるジッポーから始めてバースデーアイテムを揃えていくというのもヴィンテージの楽しみ方としてアリかも?

まずは基礎知識のおさらい。

素材や形状によって様々なタイプがある。

こちらが最もスタンダードなプレーンモデル。アメリカ国内向けの#200と日本を含む海外向けの#200FBがある。

1956年に登場したスリムサイズ。レギュラータイプと比べて厚みが約2㎜、幅約7㎜小ぶりに造られている。女性にオススメ。

レギュラータイプに比べてケースが1.5倍の厚みを持つ強化モデル。2003年に登場。こちらも素材の違いやカラバリも豊富。

通常は真鍮ベースにクロームメッキだが、純度92.5%の銀を使用したスターリングシルバーモデルも人気。チタンや金製なども。

ロゴのフォントや刻印で年代がわかる。

ジッポーはボトムと呼ばれる底面を見ると年代の判別が可能。ロゴマークは基本的に3種。

1933 ~’54がブロック体、’55~ ’79年が若干変遷があるがイタリック体、1980年以降はiの上に炎が入るZippoとなった。また、1958 ~’86年のモデルに関してはロゴマークの左右に刻印される「*」や「|」、「/」の数によって年代も判別できる。

市場価格を知る!

ジッポーは創業時より「永久保証」が付くアイテムだけに旧くても基本動作に問題はない。ただ、旧いモノはインサイドユニットという内側を高年式の新品に交換していることが多い。中身も当時モノのデッドストックになると数十万という高値がつくこともあるが、外側だけが古くて中身が新しいモノは案外安価で入手が可能。ただ、海外では精巧なニセモノも出回っているのでオークションや個人売買の際は注意が必要だ。

1946~’47年製

ベースはブラッシュクローム仕上げで、エッチング加工が施された#200。長年の使用でクロームが剥げて真鍮が見えているのもいい風合い。インサイドユニットは1976 ~ ‘82年製の新品。バースデーイヤーでなくてもヴィンテージ好きなら買いの1品。1万8000円

1949~’50年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。詳細は不明だがビリーという会社の販促用だと思われる。文字は刻印ではなく彫刻加工によるもの。インサイドユニットは2006年の新品。1万4400円

1957年製

ベースはブラッシュクローム仕上げ、デザインはエッチング加工の#200。B.K エリオットという会社のロゴと思われるコンパスのデザインが入る。インサイドユニットは2006年の新品。1万4400円

1958年製

ベースはブラッシュクローム仕上げ、デザインはエッチング&ペイント加工、メタル付き。アイスの「レディボーデン」で知られるボーデン社創立100周年を記念して造られたレア品。3万8000円

1965年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。装飾の入っていないプレーンタイプ。角の部分が使用によって擦れて地のブラスが露出している。オリジナルのデザインを入れるのもアリ。9600円

1970年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。こちらも詳細は不明だが「COVER THE EARTH」という文字の入ったメタルが付けられている。インサイドユニットは2006年製の新品。1万6800円

1972年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。エッチング&ペイント加工によるゴルファーのデザインが施されている。1970年生まれのゴルフ好きに。8000円

1973年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。ブラザーという文字は彫刻加工によるもの。詳細は不明。インサイドユニットは2002年製の新品。8000円

1974年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。エッチング加工によるサウス・セントラル・ベルのロゴと同社が手がけたイエローページのデザインが入る。8000円

1978年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。エッチング&ペイントによる「KENMYERS」という建設会社のロゴ。インサイドユニットは2002年製。6400円

1979年製

ベースはシルバーいぶし仕上げの#1610スリムタイプ。両面ダイヤカットによるファインチェッカー度パターン。インサイドユニットは1978年の新品。1万800円

1984年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。シンプルなプレーンモデル。インサイドユニットも同じ1984年製の新品・未使用品を使用する美品。1万2800円

1992年製

ベースはブラッシュクローム仕上げの#200。エッチングによるジッポー社25周年記念のデザインが入るが、ボトムを見ると1992年モデルだとわかる。インサイドは1984 年製の新品。4800円

特に大きなブームもないので、ここ10年ほどヴィンテージ市場は大きな値動きはないようだが、他のアイテム同様プレミアム品は中国をはじめ韓国、ベトナムなどアジア諸国の方が活況のようだ。レア品は徐々に海外に流出中なので、気になっている人は早めにチェックしておきたい。

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)

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