アメリカで出会った、左利きの帰国子女。
1989年カリフォルニア州サンフランシスコ。そこで出会った一台のZ。このZに出会うため、仲間さんはアメリカに渡ったのかもしれない。生まれ育った場所は沖縄。子供の頃に見た、アメリカ人が乗っていた左ハンドルのフェアレディZ。それはよくある光景なのかもしれないが、仲間さんは強く憧れた。そして心に決めた。絶対に左ハンドルのZに乗るんだ、と。
乗るなら本物が欲しい。だからアメリカに買いにいった。最初は240Zを探したが、中古車店にあったのはフルノーマルの280Z。でも、なんだか気になった。手持ちの4000ドルを支払い、そのZは仲間さんのものになる。
そこから仲間さんは、憧れを現実の物にする。オールペン、ホイール、そしてインジェクションをソレックスのキャブレターに変更。それに合わせてマフラーもステンレスのデュアルに変えた。バンパーや車高はそのまま。それはすべてこの形にするためだ。
もし左ハンドルではなく右ハンドルのZだったら、Gノーズ仕様にしていたと仲間さんは語る。それだけこのスタイルには強いこだわりをもっている。
今となっては長い付き合いとなる280Z。昔は走り回り、カーショーにも出たことがあったが、近ごろはガレージにいることも多い。だけど手放すことは考えたことすらない。叶うなら、もう一度レストアをしたいと願っている。
すべてこの形にするために、こだわり抜いたスタイル。
エンジンは2.8Lのノーマル仕様。キャブはソレックス44φに変更している。1977年モデルのため、公認をとるのはかなり大変だったそうだ。
車体色と同じ爽やかなブルーのレカロシート。こちらは友人からもらったものを装着している。内装はシンプルに仕上げるのが好みとのこと。
ダッシュの割れもなく、クリーンな状態を維持している室内。改造はステアリングをモモに変更し、1DINのオーディオを追加している程度だ。
「たまたま履いただけ」というホイールは車体色に映えるBOYDS(ボイド)ビレットホイール。懐かしくも新鮮で、このクルマだからこそ似合う。
日本のZはフェンダーミラーだが、北米で販売されたZはドアミラーが標準となる。クロームの輝きが、よりアメリカンな雰囲気を醸し出している。
マフラーもZを日本に持ってきてから変更したパーツのひとつ。タコ足は交換しておらずノーマルのままだが、心地いいサウンドを聞かせてくれる。
(出典/「Lightning2023年5月号 Vol.349」)
Text/M.Sasaki 佐々木雅啓 Photo/S.Ise 伊勢悟
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