’90年代のニョーヨークを感じるブラックカルチャー視点のアメカジ。

  • 2023.04.21

’90年代のニューヨークで、アメカジとストリートを結びつけたのが、ブラックカルチャーから生まれたBボーイたち。彼らが愛したベーシックなアメカジウエアが、20年の歳月を経た今、ネオヴィンテージとして再注目されている。

ブラックカルチャーの香りを感じる、ネオアメリカンヴィンテージ。

「The Apartment」代表・大橋高歩さん|古着からオリジナルまで扱うセレクトショップのジ・アパートメントと、ギャラリースペースのジ・アパートメントグリーンを運営。プライベートでは、キ ャンプと銭湯巡りをユルく楽しんでいる

吉祥寺にあるセレクトショップ、ジ・アパートメントは、’90年代のニューヨークのストリートの空気を色濃く感じさせる独自の空間。国内外で厳選されたアイテムからオリジナルのウエア、さらにリアルな’90s古着までが並んでいるが、すべてに共通するのは当時のブラックカルチャーの匂い。

「初めてアメリカのカルチャーに触れたのは、小学生のときにテレビのバラエティで見た『ダンス甲子園』です。このダンスで使われている音楽はなんだろうって。それでヒップホップを知り、ニューヨークのブラックカルチャーに興味を持ち始めました。とにかくアフリカンアメリカンのスタイルが格好良く見えたんです」

ベーシックなアウトドアウエアやスポーツウエアを、ブラックカルチャー的な視点でセレクトしているジ・アパートメント。現在は14周年に向けて、様々な別注アイテムの企画が進行している

そう話すのは、オーナーの大橋高歩さん。アイテムのバイイングからオリジナルウエアの企画まで、ほぼ1人で担っているが、そうした審美眼は、もちろん自身のルーツが大きく影響している。’90年代に10代を過ごした大橋さんにとって、当時のニューヨークで流行していたファッションや音楽は、とても刺激的だったとか。

「10代後半からBボーイのカルチャーにどっぷり浸かり、当時のラッパーのスタイルを真似していました。ヒップホップの専門的なブランドも多かったけど、僕が興味あったのは、アメカジブランドのアイテム。特にスポーツウエアやアウトドアウエアを、ストリートっぽく着こなしていました」

ポロスポーツのモッズコート|’90年代後半にポロスポーツがリリースしていた、ミリタリーシリーズの一着。「一時的に流行った、ヒップホップ×ミリタリーみたいなスタイルを象徴するようなアイテム、当時はどう着ればいいか迷ったことも」
当時のBボーイたちの定番ブランドだったポロスポーツ。モッズコートのバックには、星条旗をあしらったステンシルロゴをプリント

折しもその頃の日本は、アメカジブーム全盛期。ヴィンテージのデニムやハイテクスニーカーがプレミア化して話題となっていたが、大橋さんはそうしたトレンドの文脈とはちょっと違う角度で、アメカジを通ってきた。

「あくまでブラックカルチャーの視点から見たアメカジです。ラッパーが高級感のあるカジュアルなアイテムを、スマートに着こなす姿が魅力的に見えたんです。その影響で、僕もちょっと背伸びして、ポロスポーツやティンバーランド、ザ・ノース・フェイスのベーシックなウエアばかり選んでいました。おかげでオトナになった今でも愛用できます。むしろ、最近になってやっと上手く着こなせるようになってきた気がする(笑)」

クリーブランドインディアンズのバーシティジャケット|ガーディアンズに球団名を変更したMLBチーム、インディアンズのオフィシャルアイテム。「’90年代のラッパーたちが愛用していた、同時を代表するスポーツアイテム。しばらく寝かせていたけど、最近また愛用しています」
インディアンズのジャケットを取り入れたスポーツミックスコーデ。「落ち着いた年齢になり、やっと赤が着られるようになった気がします」

実際に現在もデイリーで活躍しているアイテムが多いが、20年の時を経て、ヴィンテージらしい風格を漂わせてきている。

「’90年代のアメカジのアイテムは、現地の工場で作られていた最後の世代になるんですよ。まだ細部の作り込みもしっかりしているし、本当にタフ。だから長く愛用できるし、着込むほど風合いも出てくるんですよね。

ちょっと前までレギュラー古着扱いだった’90年代のアイテムも、最近は“オールドニューエラ”や“オールドギャップ”とか言われて、再注目されてきています。それもやっぱりアメリカ製って部分が大きい。そういう意味では、この世代のアイテムが、最後のヴィンテージになるのかなって思います」

ポロカントリーのガウン|通称“ファイヤーボール” と表現される独自のネイティブ柄が印象的なガウン。「ベーシックなアメカジのアイテムだけど、高級感もあるので、Bボーイコーデのハズしとして取り入れていました」
’89年’92年の4年間のみ展開されていたラルフローレンの別ライン、ポロカントリー。そのスタイルはRRLに受け継がれている
USDAフォレストサービスのユニフォーム|ザ・ノース・フェイスが手掛けていた、USDAフォレストサービス(アメリカ農務省の森林管理局)のユニフォーム。「スポーツウエアとアウトドアウエアをミックスしたようなスタイルが印象的。生地はゴアテックスです」
「’90年代のザ・ノース・フェイスはいろんなユニフォームを作っているけど、タグにしかロゴがないからわかりにくい。それも魅力です(笑)」
ティンバーランドのセブンアイレット|デッキシューズとワークブーツをミックスしたような’90年代の名作モデル。「レザーのアッパーとビルラムソールだから加水分解しません。当時入手して、ソールをリペアしながら履き続けています」
レザーブーツながら、インナーにはゴアテックスを搭載。完全防水仕様
ニューヨークヤンキースのニューエラキャップとポロスポーツマンの6パネルキャップ|左/ ’80年代後期のUS製プロモデル。ロゴが立体的になっていない平刺繍で、シルエットも現行モデルと異なる“オールドニューエラ”。右/ ’90年代に人気だったロングビルキャップのひとつ

【DATA】
The Apartment
東京都武蔵野市吉祥寺本町 1-28-3 ジャルダン吉祥寺 106
TEL0422-27-5519
営業/12:00~20:00
休み/不定休
https://www.the-apartment.net

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)

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