幼い頃から憧れ続けたアメリカンカルチャーに囲まれた生活。|「THE BARBA TOKYO」TOMさん

  • 2023.03.19

父親の影響で物心つく頃には自然と芽生えていた旧きよきアメリカへの憧れがあったという、人気理容店「THE BARBA TOKYO」のTOMさん。生業であるバーバーとして、そして旧いクルマやバイクを愛する趣味人として、公使共にアメリカンカルチャーにインスパイアされた理想のスタイルを追求している。そんなTOMさんが生活している場所とはいったいどんな空間なのか。

「THE BARBA TOKYO」TOMさん|老舗理容店の店長を経て、2013年に独立しTHE BARBATOKYOをオープン。アスリートや芸能人などの著名人、世界観に共感するユーザーに支持される人気バーバーで、現在は都内に5店舗を展開している

ガレージ感と現代のストリートカルチャーを意識した、バイク愛を感じさせる店づくり。

店内中央に鎮座するのはTOMさんの愛機である1947年H-D FL。ミッドセンチュリーを連想させるペパーミントグリーンのオールドペイントが特徴的で、ただのディスプレイではなく車検を取得した実動状態をキープしている

著名人なども多く訪れ、都内に5店舗を展開するTHE BARBA TOKYO。その全ての店作りをTOMさんが主体となって行い、独自の世界観を反映した空間となっている。

「軸にあるのは旧いアメリカのバーバーですが、店作りはそれぞれコンセプトが異なります。THEBARBA TOKYO 5は、ガレージ感と現代のストリートカルチャーを意識しました。ヴィンテージバイクやパーツをディスプレイし、壁にはアーティストのグラフィックを描いてもらっています。お客様がバイクやアートへ興味を持つきっかけになったら嬉しいですね」

THE BARBA TOKYO 5の壁にはヴィンテージタンクが並ぶ。’70sのオリジナルタンクや、オールドペイントが残るモノなど、TOM氏が愛するH-Dカルチャーが感じられる

バーバーを見ての通り旧いアメリカのモーターカルチャーがTOMさんのセンスの根底にあるのは明らかだが、それは幼少の頃の経験に基づくモノなのだと言う。アメリカ映画好きの父親と一緒に見ていた映画からアメリカ好きが刷り込まれ、自然とファッションや趣味もアメリカナイズされていったのだ。

「○○っぽいモノではなく本物にこだわりたいから、ファッションや乗り物もヴィンテージが多いですが、実際に使えるモノしか手に入れることはないですね。服は価値があるモノでも自分が着れないサイズは買わないし、乗り物は必ず乗って楽しめる状態をキープします。新しいモノは自分が好きなアーティストや職人の手が入ったカスタム品など、そのモノ独自のストーリーを感じられるモノに惹かれます」

バーバーの腕一本で掴み取った、幼少の頃から憧れ続けたアメリカンカルチャーに囲まれる生活。仕事も遊びも独自の世界観にこだわり尽くす男の夢はまだまだ尽きることはなさそうだ。

二台の愛機を描いたグラフィックとTOMさんの好きな言葉である“NON DUCOR,DUCO.(=我は導かれず。我こそが導く)” のレタリングはSUGI SACK氏の仕事
トイレのドアノブは’50sのオーナメントを使用。幼い頃に映画で見たミッドセンチュリーはTOMさんのアメリカへの憧れの原体験と言える
1940年代に誕生したアメリカの人気アニメシリーズ、トムとジェリーをモチーフとした遊び心の効いたグラフィックが壁に描かれる。こちらもSUGI SUCK氏によるモノ

カスタムや民間仕様のミリタリーなど一癖あるアイテムに惹かれます。

古着はほぼすべて浅草のSNOW PLANTで購入。代表の堀川さんとは地元の北海道にいた十代の頃からの付き合い。上は’60-’70sのLee 101z、下は’50s POWER HOUSEのペインター。

バイクに乗る際にも着用するレザージャケットはストライプのライニングが特徴的な’50sのG-1タイプ。米軍官給品ではなく民間仕様を選ぶセンスに注目。

SNOW PLANTのオリジナルブランド、FIVE WHISTLEのワークベストにSUGI SACK氏によるペイントカスタムが施された一点モノ。

1982年製ROLEX DAY-DATE。生まれ年を探して手に入れた思い入れの深い一本。

1930sのHAMILTON。ヴィンテージウォッチも全て実動状態をキープ。

BILT BACKのエンジニアブーツには、SNOW PLANTの堀川さんによる軍用機をイメージしたハンドペイントのカスタムが施されている。

ヴィンテージアウターの中でも着用頻度が高いというロング丈の’60sヴァーシティジャケット。最近は特にラフなスタイルを好むのだとか。

様々なスタイルを謳歌するオールドモーター好き。

キャンパーにカスタムされた’83年シェビーバンはバイクや仕事道具のトランスポーターとしても活躍。最後部をベッドに変更できる仕様で4人まで宿泊が可能だ。昨年の夏にはエンジンをスワップし、青森ツアーを完走した。ほぼ全てのクルマの整備は千葉県の新山屋が担当。

手前の’54年シボレー・ベルエア・コンバーチブルは幼少の頃から憧れ続けた1台。現在はバンパーを再メッキに出している最中。奥の’54年タイプ1は1イヤーのハートテイルのディテールがお気に入りなのだとか。

元はやれた車体だったが、内外装や機関係に手を入れ、昨年フィニッシュ。HCS2022にエントリーした1970年シボレー・モンテカルロ。オリジナルを基調としながら、やや車高を下げ、ラリーホイールをチョイスした大人のカスタム。

手に入れたばかりの1932年フォード・5ウィンドウクーペのチョップトップ。足回りを中心にスタイリングを変更し、トラディショナルホットロッドへモディファイする予定。

10年前からできるところは自分で手を加えながら走り続けているショベルヘッドチョッパー。コンパクトなフォルムとクラシカルなパーツチョイスが特徴。

HONDA CB400 FOURとKAWASAKI Z1。どちらも日本が世界に誇る名車である。TOMさんの乗り物はヴィンテージのアメリカ車が中心だが、十代の頃に乗り回した国産旧車のネイキッドは今でも特別な存在のようだ。

鎌倉のブルーグルーブがビルドしたパンヘッドチョッパー。代表のTAKAさんのコレクションからTOMさんが全てのパーツを選び細部までこだわり尽くした1台。

ヘルメットは’60s〜’70sのBELL、BUCOを中心としたヴィンテージを多数所有。車両との相性や、用途に応じて使い分けているのだそう。

(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)

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