一針一針に魂を込めた究極のレザージャケット。
フラットヘッドを象徴するプロダクツのひとつであるレザージャケット。原皮からこだわり、大量生産前の旧きよきアメリカのクラフトマンシップや機能美を落とし込んだ傑作が揃っている。
そんなレザージャケットが進化を遂げたと聞いた時、ピンと来なかったのが正直な感想だ。すでに高い完成度を誇っており、これ以上に追求する要素はないと思っていたからだ。ただその全容をディレクターの宮坂さんから聞くと納得せざる得ないことがわかったのだ。
「実はさらなるクオリティ向上のために、今年からレザージャケット専用のラインを追加し、私が工場長を務めています。ただ今までお願いしている工場を否定しているわけではありません。通常ラインに加えて、自社工房メイドの2ラインで展開しています。自社工房では、スペシャリストたちがレザーの裁断から縫製までを担当し、すべての工程を手作業で行っています。
私自身も工房に立ち、日夜レザージャケットと向き合っています。すべての工程で現場の職人と意見を交換しながら、今までこだわれなかった細部まで突き詰めていけるので、理想のクオリティを実現することができるようになりました」
このファクトリーはもともとバッグや財布を作っていたが、大幅に設備投資を行い、レザージャケットを生産できる体制を整えたというから驚かされる。密にコミュニケーションを取りながら、強いこだわりと徹底したクオリティコントロールで至高の一着が完成するというわけだ。
手間暇を惜しまない姿勢が最上の一着を生む。
壁には型紙がずらりと並ぶ。レザージャケットの本格生産をきっかけに定番ジャケットのパターンも見直しさらなる品質向上も図った。
レザーの状態を1枚ずつチェックし、製品となった時にシボが目立たないよう配慮しながら、裁断を行っていく。
仕上がりの美しさを体現するために、このようにパイピングなどの重なった部分は、ミリ単位で調整することで理想の一着を縫い上げている。美しさだけでなく、強度も考慮しているのは言わずもがなだ。
アメリカのライダースジャケットを象徴するダイヤモンドパターンのキルティングパデッドは中央部から外側へとミシンを走らせることで、より美しい仕上がりに。
中のパテッドの厚みも何度も調整し、厚すぎず薄すぎない絶妙なバランスに。一部のハイエンドモデルに採用。
縫製糸はすべてブラウンで統一しているのもフラットヘッドのこだわりのひとつである。
セミアニリンで仕上げた茶芯のオリジナルレザーがエイジングした時にステッチと調和し、さらに魅力的な表情へと変わっていく。
工業用ミシンをリードするドイツの名門デュルコップ・アドラーのミシンなど、レザージャケットに必要な設備を増強している。
自社製作の新作革ジャン「LJ-HS004」。
自社工房「ストックバーグ」にて裁断から縫製まで一貫したフラッグシップモデル。フラットヘッドの代名詞とも言える茶芯のホースハイドを使い、サイドパネルにダイヤモンドパターンのパデッドを配したスペシャルバージョンである。29万7800円(46インチは32万7800円)
アメリカのライダースジャケットの原型のひとつとなったスポーツジャケットがモチーフ。襟付きのシングルライダースとはひと味違ったディテールが随所に散りばめられている。
このモデルのスペシャルな意匠が、サイドアジャスターの付いたパネル部分にダイヤモンドパターンのパデッドを使っていること。このデザインはヴィンテージにはない。
スポーツジャケットの象徴的なディテールである両サイドのアジャスターベルト。バックルは型から製作したオリジナルの鉄製で、ニッケル仕上げ。擦れていい風合いとなる。
背面ヨークと同じく、独特なカーブを描いたカフス部分にもパイピングを施しているのが特徴。細かなディテールの美しさにまでこだわるのがフラットヘッドの流儀なのだ。
【問い合わせ】
フラットヘッド
TEL026-275-6666
https://www.flat-head.com
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning2022年12月号 Vol.344」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦
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