’90sスケートデッキは現代ストリートアートの象徴なんです!

  • 2022.09.23

長年スケートボードシーンの中心であり続けている“ストリート”だが、その歴史を辿ると、ルーツは’90年代と意外にも新しいジャンルであることがわかる。ただそこへ移りゆく変革期には、デッキの形状からグラフィックまで、カルチャーとしての魅力が存分に詰まっていた。

世界的コレクターが語る、’90年代スケートデッキの魅力。

アメリカ老舗カンパニーの復刻モデル制作に、自身のコレクションを貸与するほど世界的なヴィンテージスケートボードデッキコレクターとして知られるローランさん。最近は’90年代初期のグラフィックがお気に入りだと話す。

「’80年代よりも色使いが多彩になりましたし、当時の社会問題を取り上げたり、昔からある人種差別などをテーマにしながら、アーティスト独自の世界観が投影されているのがすごく面白いんです。社会風刺などメッセージ性の強いものが格段に増えましたね。仮に今リリースするなら、ロシアとウクライナの戦争は間違いなく入ってくるでしょうし、ストリート発信のアートは独自の魅力に溢れてます」

ヴィンテージスケートボードコレクターのジェルヴァゾニ・ローランさん。フランス・トゥーロン出身。民放番組への出演や個展開催歴も持つ日本在住20年以上の世界的なデッキコレクター。Instagramでは博物館レベルのストックを随時公開している

もちろんそのグラフィックの進化にも明確な理由が存在する。

「’80年代にも有名なアーティストやグラフィックはありますが、スカルモチーフが多かったり、悪い言い方をすれば似たようなグラフィックやビジュアルばかりだったんです。それが’90 年代に入ると、ライディング技術の進化と共にストリートスケートの時代を迎え、デッキの形状もフィッシュテールからダブルキックに変わっていきました。そうした時代の変革期の真っ只中だったから、グラフィックパターンも多彩に広がっていったんです」

【Late1980s~MID1990s】知っておきたいスケートボードのカタチ。

スケートボードの歴史を語るなら、’80年代末から’90年代前半にかけての革命期は外せない。ストリートの時代が花開くまでの数年は、ライディングスタイルの進化と共に、デッキの形状も短期間で変化していったからだ。

1.Big Kicktail with Double Kick|’80年代の面影を残しつつストリートの要素も感じるシェイプ。

’80s Shapeとの最大の違いは、面積が増えて反り上がったノーズ。テール側のビス穴付近にあった窪みもなくなり、ノーズのビス穴に向かって徐々に太くなっている。ただ今よりもテールは四角く、ノーズも尖り気味なところにオールドシェイプの名残が残っている

2.’80s Shape|オーリーが生まれる前の、極端に短く尖ったノーズ。

当時主流だった、アールと呼ばれる湾曲した滑走面でのターンのしやすさを追求した結果、行き着いた’80s Shape。四角く大きなテールと極端に短いノーズが特徴で、広く反り上がった形状のテールは抜群の踏みやすさを実現し、尖ったノーズが視認性を向上させる

3.Football Shape|小回りが効いて扱いやすいアメフトのボールのような楕円形。

全体的に丸みを帯びた形状が特徴的な、通称フットボールシェイプと呼ばれるタイプ。現代のデッキにかなり近いものの、ノーズとテールはやや絞られており’90年代初頭のウィール(タイヤに当たるパーツ)が小さかった時代によく見られたシェイプとなっている

4.Popsicle Shape|現在でも主流となっているアイスキャンディー型の誕生。

’90年代も中頃に差しかかってくると、スタンスの乗り換えがしやすいように前後のビス穴間は真っ直ぐで、ノーズとテールがほぼ同じ形をしたツインチップが主流となる。現在よりも幅は細いものの、デッキの形状はほぼ一緒で、長年のスタンダードとなっている

スペシャルなアートピース!! 1980年代から1995年のコレクタブルなデッキを一部公開。

デッキシェイプの変遷を学んだところで、次はローランさんが所有する珠玉のコレクションをドドンと紹介。リリース年も明記しているので、形状のみならずデザインや色使いがどのように進化していったのかにも注目だ。

1.【’89】Santa Cruz / “Jason Jesse”

’80年代スケートカルチャーを代表するアーティスト、ジム・フィリップスが手がけた一枚。印象的な作品が多いジェイソン・ジェシーモデルには数々の有名モチーフがあるが、これはネプチューンとマーメイドを描いている

2.【’90】101/“Natas Kaupas”

アメリカではいつの時代も社会問題にドラッグがある。それに合わせておふざけや時代風刺の意味も込めた「Crackpipe」モデル。当時はドラッグが自身のキャリアに暗い影を落としたプロスケーターも一定数いたそう

3.【’91】bLind/ “Jason Lee”

今のようにスケートボードで大金が稼げる時代ではなかった当時、スケーター達の心強い味方だったのが安価で食べられる有名チェーン店のハンバーガー。これは某◯ーガーキングのロゴのパロディと、ユニークさが際立つ

4.【’92】Powell Peralta/“Adam McNatt”

’90年代にナオミ・キャンベルらと共に活躍したスーパーモデル、クラウディア・シーファーを描いたデッキ。裏面の「adam Thanks for the good time」の文字とキスマークが、アメリカンジョークを感じさせてくれる

5.【’92】101/“Eric Koston”

当時から数々のブランドにグラフィックを提供していたショーン・クリバーデザイン。エサを与えようとしなかったことで所持していた銃を猿に奪われ、撃たれてしまうというメッセージ性の強い「Day at the zoo」モデル

6.【’92】Santa Monica Airlines/“Frank Hirata”

ガスマスクを装着した会社員が十字架に吊るされて殉職してしまうというフランク・ヒラタの「Martyr」モデル。背景に見える街から発生した汚染水や空気など、公害による犠牲者がサラリーマンなのが何とも意味深だ

7.【’93】Plan B/“Rick Howard”

イエス・キリストの母である聖母マリアと、永遠のディーバでありポップスの女王と呼ばれているマドンナの、世の女性の二大アイコンを描いた「Madonna」モデル。リック・ハワードは後のgirl skateboardsの創設者だ

8.【’94】Prim/“Kris Markovich”

日本では岡田晋が世界デビューを果たしたブランドとして知られるPrime。そのボスであるクリス・マーコビッチの「Sun Moon Stars」モデル。太陽と月と星から、広大な宇宙をポップなグラフィックで表現したアート作品

(出典/「Lightning2022年6月号 Vol.338」)

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