「ナンシーギター」代表・岸田邦雄さん
東京・渋谷と名古屋に実店舗があるヴィンテージギターの専門店「ナンシーギター」の代表。’80年代よりヴィンテージギターの魅力にハマり’92年に創業。世界の名だたるミュージシャンとも親交があるだけなく、自身もプロのミュージシャンとしても活躍。レコーディングやライブでは惜しみなくお宝ヴィンテージギターが登場する。https://www.nancy-g.com
世界のスーパースターたちをも魅了したデザインとサウンド。
ジョン・レノン、デュアン・オールマン、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジなど音楽史に名を残すミュージシャンに愛されてきたギターの名門・ギブソン。その歴史は古く、創業は1902年。当初はアコースティックギターを制作していたが、1936年に初のエレキギターを発売。その後、ジャズギタリストのレス・ポールと共同でエレキギターを開発。こうして1952年に生まれたのが「レスポール」だ。
独特のフォルムと好きな人なら聴けば一発でわかる特徴的な骨太サウンドで、音楽史に残るエポックメイキングな1本となった。ほかにもSG、ES335、ファイヤーバード、フライングV、アコースティックに至るまで多数の名機を生み出してきた。歴史も長く名作も多数あるだけに、プロアマ問わずヴィンテージのマニアも多く、古くからヴィンテージ市場も確立されている。
国内にもヴィンテージ専門に扱うショップは多数あるが、なかでも1988年よりヴィンテージを専門に扱ってきた老舗の東「ナンシーギター」(東京・渋谷、名古屋に店舗あり)のオーナーで、ヴィンテージギターのコレクターで、かつ御歳69歳の現役のミュージシャンである岸田邦雄さんにヴィンテージシーンを伺った。
近年は、米英日本に加えてアジア圏もマーケットに参入、音質の良さにこだわるなら’65年製造のモデルまで。
「今は’80年代もヴィンテージと言ったりしますが、ギブソンの場合、本当ならヴィンテージとは65 年以前のモノを指すんですよ」
その理由のひとつに「ビートルズ」があるという。
「ビートルズが世界的に売れた時、ジョン・レノンはリッケンバッカーというブランドのギターを弾いていましたが、リッケンバッカーは増産しなかった。そこで別で使っていたギブソンにも注目が集まった。ギブソンは増産したんだけど、そこから音質が変わっちゃったんだよね」
特にレスポールに関しては’60年で一旦生産が終了してしまうこともあり、’57~’60年製造モデルが史上最高と言われている。ちなみに、現存数も少ない今だと、この年代で保管状態が良ければ1000万円は下らないとも。
「この年代はもちろんずっと価格は上がり続けています。今では後年に出たリイシューや限定モデルも価格は上がっているという状況ですね。でもね、やっぱり弾くとわかりますよ。単に古いからいいというのではないんです。音にこだわっていくと最後はヴィンテージにたどり着いちゃうんですよ」
市場価格を知る!
ギブソンでダントツ人気なのがレスポール。1952 ~’60年製造のなかでも’57 ~’60年が最高。その後1968年に復活し’71年までの3年間も人気が高く、数百万円で取引されることも。他に人気のES335も人気の年代だと数百万円、SGで数十~百万円台あたり。最近では後年に作られたリイシューや限定モデルも価格が高騰しているという。逆に’40年代以前の旧いアコギの方が実用性は低いが狙い目か。
Les Paul
SG Standard
2002 Gary Rossington Les Paul Standard Murphy Aged
ES-335TD
Style O
L-3
EB-2D
◆
これまでギブソンのヴィンテージの主なマーケットは米英日本だったが、近年はアジア諸国もマーケットに参入してきたことに加え、マニアが手放さないこともあって、価格も高等気味で品薄傾向にあるようだ。簡単に手を出せる価格帯ではないが、気になっているのであれば早めに手に入れた方がいいのかもしれない。
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(Lightning2022年4月号 Vol.336)
Text/M.Terano 寺野正樹 Photo/M.Kato 加藤政憲 取材協力/ ナンシーギター https://www.nancy-g.com
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