【遊びの達人たちに学ぶギア選び⑥フィッシング】10代から数えてほぼ半世紀、これぞ釣り道楽。

遊びには道具が必要不可欠。いいものを選べば上達したり、趣味が楽しくなったりする。しかし、どの趣味の世界にも様々な道具が充実していて、どのような道具を選べばいいのかは意外と難しい。そこで、自分なりの審美眼を持って選んだこだわりの道具を、遊びを極めた達人たちに教えてもらった。

山根英彦さん

ジャパンデニムの雄EVISUの創業者。趣味の釣りにおいてはトップウォータープラッガーで知られ、ブラックバスに限らず、シーバス、イトウ、サーモンなど、季節に応じて全国を巡り、釣りを楽しんでいる。

フナに始まり、釣り道楽の境地へ。

仕掛けは竿いっぱいの深ダナを探るちょうちん両ダンゴ釣り。仕掛け投入後、竿先近くの絶妙なウキの動きを見ながら慎重にアタリを取る

「初めてブラックバスを釣ったのは10代の頃。さほど大きなかったわ、手の平くらいや。ゴルフ場の脇の池にルアーを放ったら、いきなりパクって食いついてきたんやけど、ラインが枝か何かに引っかかってなかなか取れなかった。よう憶えておるよ」。

以来、バスフィッシングへと傾倒し、現在に至るまでほぼ半世紀。琵琶湖を拠点にライフワークの一部として、しかも、さまざまな釣法があるなかで、水面付近をハードルアーで狙うトップウォーターにこだわり長年に渡ってバスフィッシングを楽しんできた。さらにはクラシックなロッドやリール、ルアーなど、ハンドメイドで制作する自身のレーベルDOWLUCKを
手掛けるなど、釣り道を極めてきたアングラーのひとりとしても知られている。そんな山根さんがここ数年、釣り熱を高めているのが、ヘラブナ釣りだ。なんと自宅の池に深さ10尺(3m)ほどの池を作り、プライベート釣り座を作ったというからすごい。

琵琶湖上の様子をチェックしながら、ボートを操縦する山根さん。自身のなかでいくつかルートがあり、その日のコンディションで決める
拠点とする琵琶湖山根平安樓のすぐ裏手からボートで湖上へ出立。モーターが回せる位置までランドクルーザーがボートを送り届けてくれる

「もともとの庭池を改修して、深く掘り直したんや。今年で3年目になるわ。そこに仕入れたヘラブナを2度、放流して、ようやく馴染んできたところ。自分ちの庭から、すぐにバスボートに乗れて、ヘラブナ釣りもできる池がある場所なんて、ほかにないやろ」。

釣り道楽を極め、「フナに始まりフナに終わる」。その境地に達し始めているのかもしれない。

トップウォータープラッガーの山根さんが、2012年に釣り上げた自己ベストとなる67cmのブラックバス。狙うは70cmオーバーのモンスター
山根さんが愛用するタックルは自身が手がける釣りレーベルのDOWLUCK。大物が潜む琵琶湖らしく持ち手の長いダブルハンドル仕様
バス釣りのルアーと同様、木材を削り出しハンドメイドされるヘラブナ竿のハンドル。グラフィックは、山根さん自身が手描きしたもの
美しい弧を描く竿、特有の引きをひとしきり味わった後にランディング。華奢な竿ほど面白い

変わらぬスタイルで使い続けてきた山根さんの愛用品【厳選5】

1.DOWLUCKのシャンハイミキ

山根さんが手掛けるDOWLUCKの定番として人気のシャンハイミキ。12年前に登場し、主催する道楽道場の必携ルアー。当然、ひとつずつハンドメイドされる美しいペイント、造形はもちろん、水面下をいかにも魚のようにナチュラルに泳ぎ、フィッシュイーターであるブラックバスがものの見事に食らいつく。

2.ハンドメイドの机

ヘラブナ釣り用として新たに製作した机には、引き出し収納も数カ所設置されており、その中には、使用する餌の予備や仕掛けなどが収納するというとても便利な構造。机のフロント部分にはヴィンテージの家具から移植した木彫りの鯉が配され、哀愁漂う雰囲気を演出。プライベートな池であるため、机や椅子は常時設置され、基本的には後片付けの必要がないのも山根さん流の楽しみ方でもある。

3.アルミボートの「第二平安丸」

愛艇である18フィートのアルミボート。もともと米軍上陸艇として開発されたボートで、アメリカのコーストガードも採用するもの。意外と小回りも効き、浅瀬も問題なし。

4.DOWLUCKのタックル

クラシカルなデザインのタックルは、ロッド、リールの金属部分にオリエンタルな模様が施されている。彫金師であるPeeメタルワークスの手によるもので特別な逸品。

5.DENTSのグローブ

オリジナルのパーツを用意し、イギリスの名門グローブメーカー、DENTS社に別注した逸品。ライニングにカシミヤが使われる高級グローブだが、魚体もこれで上げる。

(出典/「Ligthning2021年9月号 Vol.329」)