2ページ目 - 【大人がハマる図鑑】本のエキスパートからファッション業界人までおすすめ図鑑74選(前編)

  • 2023.02.21  2021.03.18

CONTENTS

6.ウンチクとストーリーを知ることで、植物のことがもっと好きになる。|SOLSO 増田晃さん

植物の専門家に植物の専門書を出してもらうのでは芸がない。というわけで今回は、風変わりな植物図鑑をご提案頂いた。あ、超専門書も1 冊あり。でも分厚くインパクトがあるので、これはこれで面白い。

SOLSO 増田晃さん|様々な空間のガーデニングを手掛ける「SOLSO」のメンバー

「僕らSOLSO にとって植物の知識は知っていて当たり前。それ以外の引き出しが大事」と語る増田さん。なるほど、オフィスに置かれている本は、植物よりも建築やデザインなどが多い。

「でも植物のウンチク的な情報は、常に収集しています。植物のストーリーが分かると、お客さまも愛着沸きますしね」

【愛読図鑑①】TOROPICA COLOR CYCLOPEDIOA OF EXOTIC PLANTS AND TREES|Alefred Byrd Graf/ROEHRS COMPANY|輸入関係の植物店や植物学者さんは間違いなく持っています。

観葉植物、サボテン、多肉植物などをまとめた1 冊は、学名ごとにわかれてその写真がひたすら並ぶ、まさに図鑑。

「補足説明がないので、相当マニアック。学名だけ分かるけど、それがどんな植物なのか分からないときは、その尺度として調べるのに便利です」

【愛読図鑑②】図説 世界史を変えた50の植物|ビル・ローズ著/柴田譲治 訳/原書房出版|歴史と植物の関係が綴られた1冊。

植物自体が、世界史のなかでどう関わってきたのか。植物視点の世界史の教科書。オリーブ、ひまわり、とうもろこしなど、初心者でもわかりやすい植物ばかり選定。

「歴史のウンチクをお客さんに伝えると、その植物に興味を持ってくれるので重宝します」

【愛読図鑑③】ボタニカム| 絵 ケイティ・スコット/著 キャシー・ウィリス/汐文社|キューガーデン監修。子供でも大人でも楽しめる。

絵本のような判型と読みやすさ。キューガーデン王立植物園が監修しており、子供向けの図鑑なようで実は中身を読むと意外と大人向け。

「一番旧い藻類・苔類から始まり、次に菌類・シダ植物へと植物の歴史を追いかけていく構成で、まるで植物園を歩いているような感覚」

【愛読図鑑④】SEED DESIGN 種子のデザイン|LIXIL出版|種子って、こんなにも面白いんです。

種がどんなデザインで、どう運ばれるのかが紹介された図鑑。

「面白いネーミングが多くて、〈山火事を待つ種子たち〉はオーストラリアの品種バンクシアで、山火事で種がはじけて飛ぶユニークな種。〈悪魔の爪〉などは実際に見てもこれが種だとは思わないでしょうね」

7.スケートカルチャーを創ったチーム・ブランド・アートがズラリ。|Pro Shop CUSTOM 平沼孝之さん

スケートボードの世界には、ライダーがいて所属するチームがあり、そのブランドの特色を表現するアーティストがいてカルチャーが育まれてきた。それらの歴史を記したスケートボード図鑑の世界を覗いてみよう。

Pro Shop CUSTOM 平沼孝之さん|SK8 ショップのPro Shop CUSTOMを経営しながら、国内唯一のトラックブランドCUSTOM TRUCKS も運営する職人肌

スケートボードメーカーとして、スケートボードプロショップのオーナーとして、そして’80年代より滑り続けるスケートボーダーとして業界に身を置いてきた平沼さんがセレクトしてくれたものは、カルチャーを育んできたもので溢れる。

「自分がトラックブランドをやっているのもあり、ここで紹介しているインディペンデントやトラッカーと言った自分たちで鋳造工場を持って製造しているブランドはすごく興味があるし、尊敬していますね。他にもジム・フィリップスのアート本を見ると、復刻版が出てもオリジナルがいつどのような形で出たものなのかが全てわかるので資料としても役立っています」

スケートボードをカルチャーとして見ても非常に奥深く、魅力的だ。

【愛読図鑑①】Behind the Scenes LORDS OF DOGTOWN|A LINSON FILMS PRODUCTION/Laguna Art Museum|映画『LOADS OF DOG TOWN』の解説本。

撮影の裏側などの映画解説の他、ジェイ・アダムスやステイシー・ペラルタ、トニー・アルヴァ本人のインタビューも載っている。これを見て映画を見たら、また違う視点で見ることができる。映画好きやコレクターは持っていて損はない。

【愛読図鑑②】BUILT TO GRIND|INDEPENDENT TRUCK COMPANY|INDEPENDENT が
創立25年を記念して出版。

スケートボードトラックのリーディングカンパニー、INDEPENDENT の全てが詰まった図鑑。ブランド初のアイテムであるStage1から歴代のトラックを乗り継いできたライダー陣を紹介したり、製品化までの道のりが載っていたりと、試行錯誤の歴史が詰まった一冊。

【愛読図鑑③】Bulldog’s Art By Wes Humpston|concrete wave|Dog Town デザイナーのアート集。

’70 年代のシーンを席巻したDog Town のデザイナー、Bulldog ことウェス・ハンプトンのアート集で、当時のテイストが色濃く反映された一冊。時代を築いたアートがこうして残っているのは歴史的価値も高いだけでなく、今見てもカッコいいグラフィックばかり。

【愛読図鑑④】SKATEBOARD ART of JIM PHILLIPS|JIM PHILLIPS/A Schiffer Book|巨匠ジム・フィリップスの作品集。

いわずとしれたスクリーミングハンドの生みの親、ジム・フィリップスのアート集。他にも既出のIINDEPENDENT のブランドロゴなどもこの人の手によるもの。他にもこのイラストもこの人だったんだ! と思ってしまうほど著名なグラフィックを手がけている。

【愛読図鑑⑤】TRACKER FORTY YEARS of SKATEBOARD HISTORY|Tracker Trucks|40 年の歴史の重みを感じる一冊。

数あるトラックブランドの中でも歴史はNo.1と言えるTracker。ストリートが全盛になり人気が衰退した時代があったにも関わらず、40 年もの間一度も止めずに作り続けてきた。現在でも当時の名残があってか40 代後半から50 代の人達に愛用者が多い。

8.音が生まれる背景を知ることで、音楽はもっと面白くなる。|SOUND CREATE 竹田響子さん

音楽をよい環境で楽しむには、第一によい音を鳴らすオーディオの重要性。そしてもうひとつは、その音楽をより深めるための知識も大事だ。今回、竹田さんが紹介してくれた本は、音楽が生まれる時代背景、環境、ウンチクなどの参考書です。

SOUND CREATE 竹田響子さん|オーディオ文化を提唱するサウンドクリエートレガート店長。オーディオ製品だけでなく、インテリアなどライフスタイル全般を提案

オーディオを扱うだけでなく、デンマークの家具や様々な書物も並ぶサウンドクリエート・ラウンジ。この場所は、音楽を聴くのに環境が大事だと教えてくれる。「ジャズやクラシックは、長い時代を経て今に至っています。作られた当時の時代の空気を感じ取るのも音楽の魅力なので、こうした図鑑は欠かせません」

【愛読図鑑①】Concert Halls and Opera Houses コンサートホールとオペラハウス|レオ・L. ベラネク/ 日高孝之/ 永田穂/シュプリンガー・フェアラーク東京|音がよいコンサートホール、どれだけ知ってますか?

世界各地のコンサートホールの設計について詳細に書かれた1 冊。日本ではサントリーホール、札幌kitara などが掲載。

「クラシックはどこで録音されたかが重要。オーディオはホールの音を再現できるので、資料を見ながら鳴っている音を体験するのも楽しいですよ」

【愛読図鑑②】楽器|ダイヤグラムグループ 皆川達夫監修/マール社|楽器への愛情が伝わる
情報量と丁寧なページ構成。

制作者の愛情がひしと伝わってくる楽器の図鑑。弦楽器、打楽器、鍵盤楽器が体系的に解説され、古楽から現代の楽器までの経緯、歴史が見られるのも興味深い。マニアックな内容だが、イラストで分かりやすく解説してあるので初心者でも楽しめる内容です。

【愛読図鑑③】The Complete Frank Sinatra シナトラ・コンプリート|三具保夫/駒草出版|F・シナトラ生誕100周年のコンプリートブック。

フランク・シナトラ生誕100 周年の2015年に発売した1冊。すべての音源が解説され、当時の時代背景なども読み解くことができる。

「サウンドクリエートのオーナーがシナトラファンで。いい曲がたくさんあって長く付き合えるので、本をきっかけに一度聴いてみてほしいです」

【愛読図鑑④】ジャズ詩大全|杉尾陸男/中央アート出版社|ジャズのスタンダードをもっと深く知るために。

ジャズのスタンナードナンバーの詩集。ただの和訳ではなく、歌詞の解説、時代背景、そして補足も記載。

「歌詞は、直訳で伝わらないことが多いので。知りたい歌詞があるときは、この本で背景を調べることが多いですね」

9.ハイエンドカメラの代名詞。ブランドの世界観が表現された本達。|ハッセルブラッド・ジャパン株式会社セールスアソシエイト 村山功樹さん

ハッセルブラッド関連の書籍は、今まで世界中で多くの出版社から様々なものが発売されてきたが、その中でもスタンダードと呼べる本はどれになるのだろう!? 図鑑的要素を兼ね備えた本を本社に尋ねてみた。

ハッセルブラッド・ジャパン株式会社セールスアソシエイト 村山功樹さん|熱狂的なハッセルブラッド愛が高じて入社した東京ストアの博学スタッフ。休日はもっぱらカメラ屋巡りをして過ごしている

最高級6×6cm判カメラとしての地位を不動のものとし、世界で初めて宇宙に持ち出されたカメラとしても名高いハッセルブラッド。デジタル時代となった現在も、人々の憧れのカメラという位置付けは変わらない。そんなメーカーの世界観を表現した書籍を集めると、そこには歴史から最新のカメラの性能まで全てが詰まっていた。

【愛読図鑑①】The Best Collection Sails Chong|Sails Chong・庄 揚帆/文芸社|ハッセルブラッドを代表する写真家の作品。

全世界のハッセルブラッドグローバルアンバサダー、中国人のセールス・チョンの写真集。どれもハッセルブラッドのハイエンドカメラを用いて撮影された写真で構成されている。ハッセルブラッドの最新カメラの美しさと機能性を感じとることができる一冊。

【愛読図鑑②】HASSELBLAD MASTERS|Sails Chong・庄 揚帆/teNeues Publishing Group|ハッセルブラッドに選ばれた者の写真集。

ハッセルブラッドが主催するフォトコンテストで、世界で最も権威あるものの一つとされている「ハッセルブラッド・マスターズ・アワード」受賞者の作品をまとめた写真集。歴代のマスター達の素晴らしい写真を閲覧でき、こちらは3 冊目にあたる。

【愛読図鑑③】FULL MOON|マイケル・ライト/kp KRAUSE|ハッセルブラッドの宇宙の写真が満載。

ハッセルブラッドは、世界で初めて宇宙の写真を記録したことで、一躍その名を世界中に広めた。この本の中の写真のほとんどが6×6 のスクエアフォーマットで撮影されていることからも、ハッセルブラッドとNASA との緊密で、互恵的な協力関係が伺える。

【愛読図鑑④】HASSELBLAD COMPENDIUM|Richard Nels Nordin/Cloak Hill Communication|ハッセルブラッドラヴァーズ達の聖書。

ハッセルブラッドの誕生からこの本が出版されるまでの、ありとあらゆるボディやレンズ、アクセサリーなどが掲載されている。その情報量は他と比べても断トツ。ハッセルブラッドの全てが詰まっていると言っても過言ではない、聖書と呼ぶべき一冊。

10.ヴィンテージの知識を蓄えていたあの頃を思い出す’50sマニアック図鑑。|706 ユニオン 船橋羊介さん

’50s のカルチャーに導かれし2 人は、読んできた参考書も同じ。今回は、そんな2人が持ち寄った’50s 関連の図鑑を紹介。ページを開けば、マニアックなウンチクが止めどなく溢れ出る。そしてヴィンテージを探し回っていたあの頃を思い出す。

706 ユニオン 船橋羊介さん|無類のエルヴィス・プレスリー好きで’50s カルチャー伝道師。下北沢「EXPLOSIONFrom OUTER SPACE」を拠点に706 ユニオンを展開

’50年代カルチャーを伝道するウエアブランド「706ユニオン」を展開する船橋、田村両氏。生粋のコレクターである彼らのかつての知恵袋が、’50sにまつわる数々の図鑑たち。

「ファッション、インテリア、アクセ、レコード。インターネット以前は、これらの本を手掛かりにヴィンテージ知識を蓄えたてたんです」

【愛読図鑑①】Elvis Presley Memorabilia|Sean O’Neal/Schiffer|エルヴィスコレクター本の金字塔。

エルヴィス・プレスリーはミュージシャンとして初めてグッズを出したロックアーティストと言われているが、それらを掲載したコレクターズ本。

「彼のコレクタブルブックでフルカラーはこれが初。現物の色が見られるのは当時衝撃的でした」(船橋)

【愛読図鑑②】Fabulous FIFTIES|Sheila Steinberg、他/Schiffer|’50s コレクターズブックのロングセラー。

’50年代が好きならこの図鑑はマスト。スペシャルなウエア、インテリア、アクセ、テキスタイルなどが掲載され、何度も再販され続けたロングセラー。

「若い頃は、ここに掲載されているもの指針に、古着店をまわって探したものです」(船橋)

【愛読図鑑③】Gibson Electrics THE CLASSIC YEARS|A.R.Duchossoir/Hal Leonard|生産個数が掲載されたギブソンカタログ。

「エルヴィスのバックのギタリストが使用していたギターを見つけたくて入手したこの本がかなり面白くて」(田村)という’90 年代の1 冊。見所は、生産されたギブソンのギターの生産台数も掲載されていること。

【愛読図鑑④】GENE VINCENT FULL DIMENSIONAL|GUITTON YVONNICK|ジーン・ヴィンセントの末恐ろしいマニア本。

エルヴィスと同時代のロックアーティストであるジーン・ヴィンセントのレコードガイドは、フランス人の熱狂的なコレクターが長年収集したもの。アメリカ盤、各国盤、その他サンプル盤を含めてほぼすべて掲載。

【愛読図鑑⑤】The Fabulous VICTROLA 45|Phil Vourtsis/Schiffer|45回転のレコードプレイヤーのカタログ。

78 回転の蓄音機から進化するときに、RCA は45 回転、コロンビアは33 回転を売り出し、シェア争いをしていた。

「昔のビデオでいえばVHS とベータの戦い。RCA 側が45 回転で使えるプレイヤーを紹介した図鑑がこの本」(田村)

定番の図鑑からマニアックな一冊まで、紹介した本以外にも「大人が楽しめる図鑑」というものに興味を持った人もいるのでは? これをきかっけに神保町の古書店巡りや、雑誌に特化した古書店「magnif」のような個性的な本屋に足を運んでみてはいかがでしょうか。

個性的な本屋が気になる人は「別冊Lightning Vol.227 本屋さんへ行こう」をガイドブック代わりに、お気に入りの本屋を見つけてみてください。きっと素敵な「大人の図鑑」との出会いがあるはずです。

▼後編はこちらから!

【大人がハマる図鑑】本のエキスパートからファッション業界人までおすすめ図鑑74選(後編)

【大人がハマる図鑑】本のエキスパートからファッション業界人までおすすめ図鑑74選(後編)

2023年02月21日

(出典/「Lightning 2018年9月号 Vol.293」)

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