剥げたブラックペイントから真鍮を覗かせる「ライカ」は、なぜカッコいいのか?

ライカ愛好家たちにこよなく愛される、ブラックペイントの製品。使い込んだ金属から地金である真鍮を覗かせる様は、唯一無二の表情を醸し出す。国内屈指のディーラーである中井一成氏に、その魅力をうかがった。

「エンツォショップ・カナザワ/ ギャラリーエンツォ」オーナー・中井一成さん|ヴィンテージのライカやロレックスのディーラーとして、各界から多くの信頼を集める。金沢にて、エンツォショップ・カナザワ/ギャラリーエンツォをオープン

シルバークロームとはひと味もふた味も違う魅力がそこにある。

中井氏にご紹介していただいたブラックペイントに該当するボディの中で、その魅力を最大限に伝えるのが「M2」にほかならない。剥 がれたペイントから顔を覗かせる真鍮の美しさは色褪せることを知らない

まるでお気に入りのデニムと出会うような感覚を思い出す、ライカのブラックペイント。選択肢は実に豊富で新旧のさまざまな製品から選ぶことができる。国内屈指のヴィンテージライカのディーラーとして知られる中井氏に、その魅力について話をうかがった。

「ブラックペイントは台数が少ないことから、希少性の面でも注目され、プレミアが付いています。とはいえ、やはり一番の魅力はエイジングにあると思います。該当する製品を所有したことがある方なら分かると思いますが、新品を普通に使ったところでそう簡単にペイントが剥げるわけではありません。そうなると、はじめから中古・ヴィンテージ品狙いで個体を探すのも選択肢のひとつ。塗装が剥げたところから覗く真鍮を見てドキドキしてしまうようなら、すでに重病かもしれません(笑)」

ただし、美術や骨董品の世界と同じように、購入には必ずと言っていいほどリスクが付きまとう。

「何の世界でも通じることですが、ライカのブラックペイントも人気や希少性に比例して、いわゆる“後塗り”などと呼ばれるフェイクとのいたちごっこが派生してしまうわけです。そのリスクヘッジを兼ねて、信頼がおけるショップでの購入をオススメします」

Leica M2 black paint #1053215(1960年製)68万円

中井氏が個人的に好きなボディだと語る「M2」。氏によると、M2のペイントは絶対数が少ない上、ハードユースされた個体が多いため、ペイントが剥げている個体が殆ど。またフィルムカウンターが外付けなど、他のM型と異なるディテールも人気の理由だ。

Leica M8 black chrome 本人私物/レンズ Summilux-M f1.4/50mm ASPH 36万8000円

ライカ初のレンジファインダーデジタルカメラ「M8」。2006年にはじめて見た時の衝撃が今でも忘れられないと氏は話す。ブラッククロームは擦れた部分がグレーっぽく変色していくことが特徴。

Leica M4 black paint #1225528 (1969年製)60万円

「M4」は、ライカのヴィンテージモデルではM3に次いで代表的な存在。ブラックペイントの中では最も台数が多い。「M型ライカの完成型」としても知られ、現行のフィルムボディに通ずる仕様となる。ペイントの塗装・塗料も大幅に改良が加えられている。

こちらの個体はほぼ使用されていないため、工場出荷時の状態に近いマットな質感あることがポイント。使い込むほどに艶が出るエイジングを堪能できる

Hektor 73mm/f1.9 #96554(1931年製)35万円

著名な写真家たちに愛された中望遠レンズ。最初期にごくわずかだけオールブラックが存在する、典型的なコレクターズアイテム。鏡胴のスケールは象嵌仕上げと非常に手が込んだ作りである。

現行モデルもブラックペイントあります!

誤解を恐れずに言うなら、ブラックペイントとはライカの歴史の一部であり、ドイツが誇る唯一無二の工業製品のポリシーそのものだ。その伝統は現行モデルにも脈々と引き継がれている。

Leica M-P black paint 107万7840円

ライカがこれまで培ってきた機械式レンジファインダー機の設計と製造の経験とノウハウの集大成が、こちらの「ライカ M-P」。この不朽の名作はブラックペイントがよく似合う。

Leica M typ240 black paint  93万9600円

「ライカMシステム」の伝統を維持しつつ、新たな可能性を広げる一台。デジタル技術を駆使した撮影のほか、別売のアダプターを装着することでライカRレンズを使用することが可能に。

【問い合わせ】
エンツォショップ・カナザワ/ ギャラリーエンツォ
TEL0120-161-722
http://www.enzo-shop.com

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning 2017年12月号 Vol.284」)

この記事を書いた人
ランボルギーニ三浦
この記事を書いた人

ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

Pick Up おすすめ記事

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...