シルバークロームとはひと味もふた味も違う魅力がそこにある。
まるでお気に入りのデニムと出会うような感覚を思い出す、ライカのブラックペイント。選択肢は実に豊富で新旧のさまざまな製品から選ぶことができる。国内屈指のヴィンテージライカのディーラーとして知られる中井氏に、その魅力について話をうかがった。
「ブラックペイントは台数が少ないことから、希少性の面でも注目され、プレミアが付いています。とはいえ、やはり一番の魅力はエイジングにあると思います。該当する製品を所有したことがある方なら分かると思いますが、新品を普通に使ったところでそう簡単にペイントが剥げるわけではありません。そうなると、はじめから中古・ヴィンテージ品狙いで個体を探すのも選択肢のひとつ。塗装が剥げたところから覗く真鍮を見てドキドキしてしまうようなら、すでに重病かもしれません(笑)」
ただし、美術や骨董品の世界と同じように、購入には必ずと言っていいほどリスクが付きまとう。
「何の世界でも通じることですが、ライカのブラックペイントも人気や希少性に比例して、いわゆる“後塗り”などと呼ばれるフェイクとのいたちごっこが派生してしまうわけです。そのリスクヘッジを兼ねて、信頼がおけるショップでの購入をオススメします」
Leica M2 black paint #1053215(1960年製)68万円
中井氏が個人的に好きなボディだと語る「M2」。氏によると、M2のペイントは絶対数が少ない上、ハードユースされた個体が多いため、ペイントが剥げている個体が殆ど。またフィルムカウンターが外付けなど、他のM型と異なるディテールも人気の理由だ。
Leica M8 black chrome 本人私物/レンズ Summilux-M f1.4/50mm ASPH 36万8000円
ライカ初のレンジファインダーデジタルカメラ「M8」。2006年にはじめて見た時の衝撃が今でも忘れられないと氏は話す。ブラッククロームは擦れた部分がグレーっぽく変色していくことが特徴。
Leica M4 black paint #1225528 (1969年製)60万円
「M4」は、ライカのヴィンテージモデルではM3に次いで代表的な存在。ブラックペイントの中では最も台数が多い。「M型ライカの完成型」としても知られ、現行のフィルムボディに通ずる仕様となる。ペイントの塗装・塗料も大幅に改良が加えられている。
Hektor 73mm/f1.9 #96554(1931年製)35万円
著名な写真家たちに愛された中望遠レンズ。最初期にごくわずかだけオールブラックが存在する、典型的なコレクターズアイテム。鏡胴のスケールは象嵌仕上げと非常に手が込んだ作りである。
現行モデルもブラックペイントあります!
誤解を恐れずに言うなら、ブラックペイントとはライカの歴史の一部であり、ドイツが誇る唯一無二の工業製品のポリシーそのものだ。その伝統は現行モデルにも脈々と引き継がれている。
Leica M-P black paint 107万7840円
ライカがこれまで培ってきた機械式レンジファインダー機の設計と製造の経験とノウハウの集大成が、こちらの「ライカ M-P」。この不朽の名作はブラックペイントがよく似合う。
Leica M typ240 black paint 93万9600円
「ライカMシステム」の伝統を維持しつつ、新たな可能性を広げる一台。デジタル技術を駆使した撮影のほか、別売のアダプターを装着することでライカRレンズを使用することが可能に。
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※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「Lightning 2017年12月号 Vol.284」)
Text/T.Tokano 戸叶庸之 Photo/K.Torii 鳥居健次郎(WandP) 問い合わせ/エンツォショップ・カナザワ/ ギャラリーエンツォ TEL0120-161-722 http://www.enzo-shop.com
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