まずはヘビーユーザーのLightning本誌でも活躍するスタイリスト・中島さんのミステリーランチアイテムを拝見! おすすめアイテムと使い方を紹介してもらったぞ。
アーバンユースならコンパクトに使える「1デイ・アサルト」が最適解。
「街中で使うことを考えると、やはり荷物の出し入れがしやすいものを選びたい。だから選択肢は開口部が大きく開く、3ジップアクセスのモデルがオススメ。これなら内部をしっかり整理整頓しやすいし、とっさの時は片手でリッド部分を開けられるので、内部の物を取り出しやすい。あとは容量のことを考えると、この1デイ・アサルトの18リットルというサイズ感が丁度よかったりする。仕事での打ち合わせ道具や、学校へ通うときの勉強道具をしっかり収納できるし、なにより内部のコンパートメント設計が優れている。PCスリーブポケットや、小物を細かく分類収納できるメッシュポケットなど、まさに都会を生き抜く現代人のことを考えたデザインだ」
【アイテム①】1 DAY ASSAULT
野外へ遊びに行くなら容量のある「アウトサイダー」が便利。
「体に巻きつけるように背負うのが、メッセンジャーバッグの良いところ。背負いながら移動する時の安定感は抜群のひとことだ。だから自転車やバイクツーリングの時にオススメしたいのが、このアウトサイダー。肩掛けだから荷物の出し入れも背負ったままできるし、フラップが大きく開くので物の出し入れもしやすい。内部にデザインされた収納ポケットの数も多く、持ち歩く荷物をしっかり分けて納められるのがポイントだ。もちろん荷物が少ない時でも、コンプレッションストラップを装備しているから、バック全体を圧縮して小さくできるのが便利。タフな構造なので、野外活動にうってつけのバッグだと断言できるね」
OUTSIDER
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教えてくれたのは……スタイリスト中島貴大さん
全ラインナップが揃う、「ミステリーランチ・トーキョー」に潜入!
世界に先駆けてミステリーランチの旗艦店が、2017年東京・原宿キャットストリートにオープン。大型バックパックからアクセサリーまで全てを取り揃え、プロフェッショナルユースなプロダクトも網羅する。まさにミステリーランチの魅力に、直に触れられる場所なのだ!
【1F】開放感のある1 階フロアの商品は、デイリーユースに特化したセレクト。
原宿と渋谷を結ぶキャットストリートに面する1階フロアは、ミステリーランチをこれから手に入れようとする人にとっては、非常に店内に足を運び入れやすい商品構成となっている。それは“エブリデイ・キャリー” をコンセプトにしており、ミステリーランチのラインナップの中から、毎日持ち歩くのに最適な、デイリーユース商品を中心にディスプレイしているのだ。スポーティーな印象のアウトドアラインや、女性向けモデル、パックの機能性を拡張させるアクセサリーなど、ミステリーランチの真骨頂ともいうべきプロダクトが購入可能。またクレッターワークスコレクションも取り扱っている。
【2F】ミステリーランチの本気度が伝わるプロフェッショナル向けフロア。
店舗脇に設置される階段を上ると、ミステリーランチが誇るプロフェッショナルユースのラインナップに出会える。ここは“テクニカル” をコンセプトに、ミリタリーやファイヤーファイター、山岳ガイド、ハンターなど、より過酷な環境を想定した高い耐久性を持つパックが所狭しと並んでいる。1階フロアと同様にパックのフォルムが分かる状態で展示され、ヘビーデューティな面構えをより間近に見ることができる。またこの2階フロアには、特別に製作されたスペシャルなプロダクトも不定期で入荷する。ミステリーランチファンなら、ぜひ一度訪れるべき場所であろう。
【2F】「スティル・クレイジー」を合言葉に誕生した、特別なレアモデルに出会える。
【DATA】
MYS TERY RANCH TOKYO(ミステリーランチ トーキョー)
東京都渋谷区神宮前6-15-7
TEL03-4578-8827
営業/11:00~20:00
休み/不定休
究極のバックパックを創造するレジェンドたちにインタビュー!
お話を伺ったのは、「ミステリーランチ」オーナーであるデイナ・グリーソンとその息子でデザイナーのデイナ3・グリーソンのお二人。バックパック界の生きるレジェンドと、その意志を次世代へと紡ぐサクセサー、その両者に話を聞いた。ミステリーランチの物づくりを知れば、きっとその魅力がわかるはずだ。
モノづくりの原体験とは?
デイナ・グリーソン(以下デイナ):’70年代にクライミングなど色んなアウトドア・アクティビティで遊んでいたんだけど、その当時のバックパックなどのアウトドアギアは非常に壊れやすかった。自分が満足できるようなパックが世に流通していなかったから、しょうがなく壊れたものを分解して、何が原因で壊れてしまうのか調べて、自分で修理して作り直してたんだ(笑)。そういうことを繰り返していたら、自然に自分でデザインをするようになったんだ。そこが私のモノづくりの始まり。
デイナ3・グリーソン(以下D3):僕は最初「ミステリーランチ」の裁断担当として、モノづくりのキャリアをスタートさせたんだ。その後、父デイナの元でアシスタントを務めて、今はデザイナーとしてブランドに携わっている。でも僕はデザイン学校などを卒業してデザインを始めたわけではなくて、仕事をしながら父の指示の元、パックを分解してパターンを引き直したり、別物のパックのディテールを合体させて新しいディテールを作ったりを繰り返していた。そうしたら自然とデザインをするようになったんだ。パックの構造を学べたからこそ、父が作ったプロダクトのブラッシュアップなど、自分なりのアイデアをベースに、新しいプロダクツをデザインしてるんだ。
「ミステリーランチ」のオーナーとして、大切にしていることは?
デイナ:『スティル・クレイジー』。これは今も昔も変わらず、会社の規模に関係なく、この一言につきる。けっして凝り固まらず、自由な発想を大切にするという意味なんだ。この思想を表現しようとして試みたプロダクトが、この「ミステリーランチ・トーキョー」だけで販売する、特別に作ったパックたち。普通のプロダクションメーカーだとなかなか出来ないことなんだけどね。でも私たちには今までのモノづくりに対するバックグラウンドもあるし、自分たちのファクトリーをアメリカ国内に持っているからこそ、特別仕様のプロダクトを作ることができる。楽しくて面白く、そしてクレイジーなモノづくりである、我々の『スティル・クレイジー』らしさが、スペシャルパックに反映されていると思うよ。
世界初の旗艦店を東京にオープンさせた感想は?
デイナ:やっぱり今まで夢に描いていたオンリーショップを実現できたことは素直に嬉しいね。しかもこのオンリーショップは「ミステリーランチ」の世界観をしっかり表現できている。世界のトレンドマーケットの中心地である東京が世界初というのも、昔から日本とは関わりが多かったし、思い入れも強いしね。
D3:ミステリーランチの歴史に刻まれる、世界初のオンリーショップということで、凄く誇りに思う。自分たちが作っているモノに対して、このようなオンリーショップが出来上がったので、より良いプロダクトを作る励みになるよ。
ブランドのアイコンとして認知されている3ジップデザインの「3デイ・アサルト」の逸話とは?
3DAY ASSAULT
デイナ:3ジップデザインのアイデアは、元々はスキーパックである「スイートピー」から始まった。デイナデザインがK2の子会社となり、私がブランドを去った頃は、大好きなスキーに明け暮れていたんだけど、雪の上でスキーを装着した状態でも、パックから荷物の出し入れをもっと手軽にできないかって考えたんだ。
その時に閃いたのが、片手でガバッと開けることのできる3ジップデザインの機構。そのアイデアをたまたま軍関係者に話しをしたら、ぜひ見せて欲しいと言われてね。その「スイートピー」のサンプルを送ったらもの凄く機能性を気に入ってくれたんだけど、『うちの部隊の人間に“スイートピー” という、可愛らしいネーミングは似合わない!』って言われちゃってさ(笑)。
だからミリタリーらしい“アサルト” という言葉を使い、3日間の強行軍でも耐えうる内容量を持っていたから「3デイ・アサルト」というモデル名にしたんだ。もちろんミリタリー用途に特化した機能にアレンジしてね。それ以来、「3デイ・アサルト」は軍関係者などタクティカル業界で人気を集めて、もうすぐ累計生産数が10万個を記録するぐらい成長したんだ。自分のアイデアが具現化したデザインなのですごく思い入れもあるし、なによりブランドネームを世に広めてくれた、すごく大きな存在だね。
世界中のプロフェッショナルに支持される一番の理由とはなに?
デイナ:職種の異なるプロフェッショナルユーザーたちが、それぞれ必要とするパックを彼らの要望をしっかりと聴きながら、いくつもいくつもプロトタイプを作って職種別の用途に見合ったパックを生み出せる、そんなミステリーランチのモノづくりのスタンスを見てくれているからだと思う。物を背負う道具とはいえ職種が異なれば、持ち歩くイクイップメントも違うし、背負っている時間や歩く距離、背負う荷物の重さも変わる。それぞれのユーザーのミッションをいかにサポートできるかが、ミステリーランチの本質でもあるから。
ストリートシーンと親和性の高い「アウトサイダー」。その誕生エピソードは?
OUTSIDER
D3:このパックを作った時、僕は「ミステリーランチ」の製作部門の中でも、ミリタリーパックのデザインを担当していたんだ。その仕事内容は、アメリカ軍から届く非常に高難度な要望に応えるものだったので、ずっとその仕事ばかりしていたら頭が疲れちゃって(笑)。
その反動で、やっぱり純粋に自分が欲しいモノを作りたいという思いもあり、その頃、自転車で遊んでいたから、メッセンジャースタイルのパックなら、自分だったらもっといいモノ作れると思ってデザインしたのが「アウトサイダー」というわけ。ユーザーからの要望をカタチにするんじゃなくて、一人のデザイナーとして自由な発想でデザインできたんだ。「ミステリーランチ」が大切にしている『スティル・クレイジー』らしさが表現できたと思うよ。
世界中のマーケットで注目されている、ミステリーランチのミリタリーラインはどんな経緯で作るようになったの?
デイナ:このミリタリーラインが誕生した最初のきっかけは、遡ること1989年。まだ私が“デイナデザイン” として活動していた頃の話になるんだけど、当時、それまでのパックのナイロン生地には、DWR加工と呼ばれる撥水加工が主流だったんだけど、特に優れた加工技術じゃなかった。とても満足のいくものではなくて、そこで新たに、優れた撥水効果を持つ、テフロン加工が施された撥水生地を使ってパックを作っていたんだ。
そのパックというのは、アラスカや南極、ヒマラヤ登山といった、雪上でも目立つようにデザインされ、高い耐久性を持った極地遠征用の赤いパック。当然、それはミリタリー向けではなく、あくまでもアウトドア向けのパックなんだけど、その赤いパックについて、米国海軍特殊戦コマンド管轄部隊のNavy SEALsに所属する、ある兵士から問い合わせの電話があったんだ。
彼が電話口で話すには、赤いナイロン生地の上からスプレーで迷彩塗装を施して、個人装備として現場で使いたかったそうなんだけど、そのパックは撥水性の高いテフロン加工の生地を使ったモデルだから『スプレーを吹いても色が付かないから、どうやったら色を付けられる?』という内容でさ。そこで私はその兵士に『ミリタリー仕様にカスタムしたその極地遠征用のパックを作ったら、ある程度の数を買ってくれるのかい?』と尋ねたんだ。それがある意味、ミリタリーラインのようなプロフェッショナル向けにパックを作り始めるきっかけだね。
ちなみにデイナデザイン時代に作ったそのミリタリー仕様のパックは、「オーバーキル」って呼ばれててね。でも’90年代半ばにデイナデザインはK2の子会社になって、それからアメリカ生産も撤退しまった。アメリカ軍に納入するには、“ベリー改正案” という規定の元、すべて米国国内で生産された部材を使い、米国内業者が生産しなければならないという決まりもあるから、当然作れなくなったんだ。
それからしばらくして、2000年にミステリーランチを立ち上げたんだけど、その時はデイナデザイン時代に培ったノウハウがあったから、最初からプロフェッショナル向けのミリタリーラインを作り始めたんだ。そのミステリーランチ製のミリタリーパックは「BDSB(Big Dana’s SpecialBlend)」と呼ばれるモデルで、SEALs用に改造を施したもの。
その最初の依頼の時、SEALsの要望としてデイナデザイン時代に作った「オーバーキル」に使われたフレームシステムを使って欲しいって言われたんだけど、私はもうデイナデザインを去っているし、しかもミステリーランチとして新しいフレームシステムを開発していたから、そこで彼らにパックを見せるときデイナデザイン時代のフレームシステムを使ったものと、新たにミステリーランチとして開発したフレームシステムの2つを準備して比べさせたんだ。そうしたらSEALsは、新しいミステリーランチのフレームシステムをすぐに選んでくれたよ(笑)。
その後、SEALsのチーム6、別名ブラック・シールズが採用してくれたプロトタイプの「ナイスフレーム」を経て、ミステリーランチのミリタリーラインは発展していく。彼らが我々のパックを使って、何を背負ったかまでは知らないけどね(笑)。
オススメしたいアイテムはなに?
SUPER BOOTYBAG
D3:2通りの使い方ができる「ブーティーバック」をより進化させた、「スーパーブーティバック」という商品はオススメだよ。これは荷物を入れる部分がロールトップになっていて、より機能性をアップさせているんだ。最初にこれのプロトタイプを作って父親に見せたらあまり気に入らなかったみたいで。でも商品として完成したものを
再び父親に渡したら、今度は逆に使いやすかったようで、それ以来ずっと持ち歩くようになった(笑)。
【問い合わせ】
ミステリーランチ東京
TEL03-5485-7357
※掲載情報は取材時のものです。価格など変更している場合があります。
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(出典/「Lightning 2017年6月号 Vol.278」)
Text/Lightning 編集部 Photo/K.Torii 鳥居健次郎 Styling/T.Nakajima 中島貴大 問い合わせ/ミステリーランチ東京 TEL03-5485-7357
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