唯一無二の存在感を放つ「ウエアハウス」の“ベスト”なレザーコート

ヴィンテージピースを徹底的に検証しリプロダクションを生み出す手間はデザイナーの感性に頼るモノづくりの何倍も知識と労力が必要となる。ここで紹介するウエアハウスのレザーコートも、そんなプロダクツのひとつ。あらゆるディテールを再現しながら見事に現代版として蘇らせた、至極の1着を見ていこう。

クラシックなレザージャケットのディテールを取り込んだ完全無欠の1着。

シングルブレスト、ウールラインド、4ポケット、ウエストベルトにネックリブ仕様が特徴的なレザーコート。首元には「Beacon and Louis」というネームラベルが付く。

実は、1926年のメールオーダーカタログで、このコートは“ONE OF THE BEST”と記載されている。A-1ショートジャケットをコート丈にアレンジし、ベルトまで配したデザインは、当時のカタログを漁っても他に同じものは見当たらない。

ネックリブにスナップボタンが付く仕様は、’30年代のボタン掛けスタジャンのごく初期までにみられる仕様。世界恐慌以前のレザ―コートは、アウトドア、ハンター、ワーカー、スポーツに大別されるが、今回のはその全ての中から必要な要素のみを取り入れた特別な仕様といえるだろう。

最大の魅力は、クラシックなレザージャケットのディテールをすべて取り込みながら、過剰な装飾感が全くないということ。

4つポケットは「座る=運転」「立つ=歩行」を考えて配され、ボタン留めのフロントは風の侵入を防ぐためにアジャストベルトで締めることもできる。

シングルフロントに合わせたシングルリブ仕様のネックラインは、トップのスナップボタンで首周りのフィットを高めており、これを外すとVラインが美しく出るように設計されている点も見逃せない。まさに隙のない作り込みがなされているのだ。まさに「ベストレザーコート」と呼ぶにふさわしい完全無欠の1着である。

Lot.2204 1920s “ONE OF THE BEST” LEATHER COAT

着丈はカバーオールやコーチジャケット感覚のため、シャツやスウェットなどインナーの丈感を気にせずに合わせることができるだろう。もとにしたヴィンテージと同様に、柔らかくて着用しやすいラムレザーを使っており、動きのある箇所から擦れて皺が生まれる。約100年経ったヴィンテージもレザーに硬化がみられず、表面がエイジングしているだけ。ラムレザーならではの魅力的なエイジングも存分に楽しんでいただきたい。198,000円

脇下には通気性を考慮して金属製のハトメによるベンチレーションが施されている。立体的なパターンも要注目。

もとにしたヴィンテージと同様の細長いネームラベルが首元に付く。戦前のモデルはこういうシンプルなものが多い。

身頃のライニングには上質なウールを施して防寒性と保温性を向上。袖部分のライニングはギャバジン素材だ。

4ポケットでウエストベルトが付く仕様は、もっと丈の長いカーコートを連想させるデザインだ。

シングルブレストのボタン掛け仕様で、大振りなナットボタンもヴィンテージを忠実に再現した。

カフスは戦前のレザージャケット、カーコートに見られる仕様と同じ。裏面はウエストベルトと同じくギャバジンが施されている。

戦前のスタジャンの一部にみられるスナップボタンが施されたネックリブ。スナップ裏はラムレザーで補強された凝った作りだ。

【DATA】
WAREHOUSE TOKYO
Tel.03-5457-7899
http://www.ware-house.co.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2024年5月号 Vol.95」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

原毛から生地まで。一貫生産を守る英国生地の名門「ムーン」とは?

  • 2026.10.19

服を突き詰めていくと辿り着くのが生地。トラッド好きなら一度は耳にしたことがあるであろう英国の名門が「ムーン」だ。羊毛から紡績、染色、織布を一貫して行う英国最後の生地メーカーが誇る伝統のモノづくりに迫る。(写真は、生地の製造において重要な“織り”の工程。タテ糸とヨコ糸をゆっくりと交差させ、チェック柄が...

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

Pick Up おすすめ記事

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

19世紀から英国紳士に愛され続ける世界最高峰のハンドメイド傘

  • 2026.10.19

年間を通じて降水頻度が高い英国において傘は必需品。ひいては英国紳士を象徴するプロダクトのひとつだ。その中でも、旧くから英国王室や上流階級の紳士たちに愛されてきたFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)は最上級の存在である。 手作業から生まれる圧倒的な造形美 真のトラッド好きは服だけでな...

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...