日本の古布に魅せられ、モダンなウエアに再構築した「NORA」のモノづくり。

  • 2023.10.18

ヴィンテージデニムという言葉の響きから頭に浮かぶのは定番のブランドだが、ここ日本においてインディゴ、つまり藍染めの歴史を辿ると実はすこぶる旧い。長い歳月をかけてリペアを繰り返してきた古布や襤褸。その雰囲気を活かし再構築するNORAのモノづくりに迫る。

襤褸(ぼろ)や古布で覚えた感動をモダンな服に変えて。

NORAの代表、工藤雄太氏が岩手県鉈屋町にアトリエ兼ショップをオープンさせて2023年で3年。拠点とする岩手県は彼の地元だ。アトリエとショップは樋面に位置し、いずれも旧い建造物でショップのほうは明治時代に建てられた町屋だったという。

ショップをオープンさせるときも旧いものへのリスペクトから、なるべく内装をいじらないように残し、自身で仕立てた作品と買い付けてきたヴィンテージウエア、雑貨をほどよくセレクトしている。そんな彼が襤褸や古布へとハマったきっかけ、またモノづくりへの道へと進んだのは彼の夢でもあった。

「デニムのリメイクが好きで趣味程度ではあるのですが、高校生くらいから自分で作っていたんです。もちろん誰かに売るとかではなく自分のためでしたが、いずれ服を作ってみたいなというぼんやりとした願いはあったんです」

その後上京し、縫製工場、お直し工場などで修行を積むようになる。地元岩手に帰郷した際、コレクションブランドなどの縫製を担う町工場に就職。そこで7年ほど実績を積み独立しNORAを設立。

「アメリカのヴィンテージから始まり、フランス、ヨーロッパなどのヴィンテージにも触れてきましたが、日本の襤褸や古布に出逢って単純に、日本にもすごい布があるじゃん。って気づいて、そこから日本の布を掘り上げるようになり、地元の蔵からも生地を買い付けするようになりました」

パターン、裁断、縫製までの一連の流れをすべて1人で担う工藤さん。唯一無二な襤褸や古布。ウエアへと再構築させるには貴重すぎる素材だ。そのためなるべくきじの風合いを壊さないように生地自体が活きるようなデザインを心がけているという。

「当然ですが、基本的にはすべて本縫い。また素材が作られた年代の技術に合わせて、縫製手法を変えることなど当たり前。どんな小さなパーツでも使う素材に現代の新しいもの使用しません。生地の雰囲気がどうしても似合わないから。また使うボタンなども、もちろんヴィンテージを使います。その生地の良さを理解してもらうことが重要なんだと思っています」

地元の岩手県や東北地方から見つかった襤褸や裂織、デッドストックの反物など、旧い蔵や家屋から買い付けたファブリックのストックの一部
古布で仕立てる作品に合わせて、フレンチヴィンテージのボーンボタンなど、使用するパーツ類もヴィンテージで揃えるのが 工藤氏の手仕事

「NORA」の注目したいアイテムを紹介。

1946年製の日本の国鉄のジャケットをモチーフに、日本の襤褸(ボロ)を素材として使用し製作。襤褸は岩手県からみつかったもので、南部麻がベース。520,000円

使用した裂織(さきおり)は、岩手県からみつかった布で、明治から大正期にかけてのものと断定。ボタンは、フランスのヴィンテージボーンボタンを採用。250,000円

岩手県で手に入れた襤褸を使って再構築したクラシカルなデザインのワークジャケット。シンプルながらマテリアルのインパクトと存在感が非常に大きい。sample

襤褸を使用したキャスケットとワンショルダーのニュースペーパーバッグ。異なる色の生地を使用しているため表情が面白い。キャスケット35,000円、バッグsample

店舗は、明治時代の町屋をそのまま活かした空間。

ショップとなっている建物は、明治時代に建てられた町屋の一室。

部屋の作り自体は、ほとんど手を入れることなく、工藤氏が時間をかけて仕立てたクロージングや買い付けてきたヴィンテージウエア、雑貨などが程よいバランスでセレクトされている。

【DATA】
NORA ATELIER&SHOP
岩手県盛岡市鉈屋町2-19
https://nora-iwate.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2023年11月号 Vol.93」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部