カスタムオーダーで幾多のレースを彩ってきた名門「ラングリッツ」の名作と最新作。

  • 2022.09.20

大きな戦争に勝利した’40年代のアメリカでは、バイク人口が爆発し、多くのレザージャケットメーカーが誕生していく。その中でも異彩を放っているのが、ポートランド発のLanglitz Leathersだ。レーサーでもあった創業者のロス・ラングリッツは、その豊富な経験をフィードバックした機能美溢れるライダースで、米国の象徴となった。

「Langlitz Tokyo」Manager・猪狩顕さん

恵比寿にあるフラッグシップストアの名物マネージャー。大のバイク好きであり、ヴィンテージのHarleyなどを所有。その博識ぶりは顧客からの信頼も厚い。

大きな宣伝を行わず品質の良さで広がった。

彼は自身でモーターサイクルジャケットを造り、それに身を包んでレースに出場していた。そこで得た経験やインスピレーションを還元し、ギアとしての完成度を高めていったことは間違いない

「創業者のロス・ラングリッツは、’38〜’54年の間で47個のトロフィーを獲得するほどのレーサーでした。そんな彼が’47年にThe Leather Garment Shopという小さなショップをオープンしたのが、ブランドのルーツです」

と語るのは東京のフラッグシップストアでマネージャーを務める猪狩氏。アメリカ=大量生産というイメージが強く、それはレザージャケットにおいても同様。同社が創業した’40年代は、アメリカが第二次世界大戦に勝利し、空前の好景気を迎えた。その結果、バイク人口が爆発的に増え、日々の足から休日のレースまで様々な用途で使われていた。多くのレザージャケットブランドが幅広く商売を展開する中、Langlitz Leathersは真逆のスタンスであるカスタムオーダーがメイン。それは今も続いており、オレゴン州ポートランドの本社兼工場にて職人のハンドメイドで生産されるため、わずか1日6着しか造ることができない。小規模なカスタムメイドショップだからこそ、融通の効いた細かなオーダーが可能なのだ。

「アメリカを代表するレザージャケットブランドのひとつではありますが、オレゴン州ポートランドに根付いた地域密着型の企業なんです。ロス・ラングリッツは、地元のモーターサイクルシーンでは顔役であり、創業当時は彼が着用したレザージャケットに興味を持ち、オーダーしたお客さんの口コミとして広がっていったと聞きます。量産したレザージャケットを積極的に売るのではなく、お客さんの体型や用途に合わせたカスタムオーダーが主流でした。そのスタンスは今でも続いていて、ベースモデルに対して驚くくらい細かなオーダーが可能になっています。もちろん、長い年月を経て、細かな仕様縫製が変わり、時代に適応した進化はありますが、その丁寧かつ真摯に向き合うスタンスは変わりません」

Langlitz Leathersのプロダクツは、ファッションである前にバイクに乗るためのギアであり、研ぎ澄まされた機能美とクオリティが最大の魅力である。

写真で着ているレザージャケットは、1948年当時のフルオーダー。この手のデザインはLeather Togsが得意としたが、すでに廃業していたため、このオーナーがロス・ラングリッツを頼ってオーダーで製作したそう

名作革ジャンのヴィンテージと現行品を比べてみよう。

1.Langlitz Leathers Speedway Cascade

【現行】Langlitz Leathers Speedway Cascade

最初期のキャスケードを現代のマテリアルでリプロダクトした特別モデル。ゴートスキンを使い、デッドストックのCROWNのスプリングジッパーを採用。また現行とはピッチや大きさが異なる当時のパッドのパターンを再現しているのもポイント。¥445,500_

【1948】Langlitz Leathers Speedway Cascade

Langlitz Leathersの前身となったSpeedway Togs時代に生まれたスピードウェイキャスケードは、定番であるキャスケードのベースとなったモデル。レースで使うことを前提としているため、転倒時に身体を守るためのキルティングパッドが随所に施されている。

Langlitz Leathers Speedway Racing Shirt

【現行】Langlitz Leathers Speedway Racing Shirt

上のヴィンテージをタフで軽いゴートスキンで復刻させたモデル。レーシングシャツなので、ライニングは付かず、ヴィンテージと同じく着脱を計算したジッパーが特徴的。春から秋にかけて活躍することは言わずもがな、冬季はインナーとしても着れる。¥247,500_

【1950s】Langlitz Leathers Speedway Racing Shirt

知る人ぞ知るプルオーバーモデルで、当時はCRESCENT と呼ばれていた。’40年代からラインナップされていたモデルのひとつで、サマーライディングやレースシーンを想定していた。タイトフィットだが、肩とサイドのジッパーで着脱しやすいように配慮している。

Langlitz Leathers Champion Racing Shirt

【現行】Langlitz Leathers Champion Racing Shirt

下の写真でエルデン・ライトがトップを走っている際に着用しているジャケットを再構築させたモデル。夏季用のレーシングシャツなので、ライニングがなく、ポケットも付かないミニマルな作り。薄くても強度のあるゴートスキンを使っている。¥302,500_

【1940s】Langlitz Leathers Champion Racing Shirt

顧客が実際にレースで着用している写真。この時着用しているのが、創業間もない’40年代後半よりラインナップされていた夏季向けのプルオーバーモデル。

Langlitz Leathers Columbia

【現行】Langlitz Leathers Columbia

名作コロンビアの初期モデルをオマージュしたスペシャルモデル。オプションのホースハイドを使っており、当時と同じCROWNのスプリングジッパーを配している。こちらもパッドなどが付かないミニマルなベースモデルだが存在感たっぷり。¥588,500_

【1948】Langlitz Leathers Columbia

アメリカンライダース史に残る名作であるコロンビアは、右の写真からもわかるように’40年代のSpeedway Togs時代より存在する永遠のスタンダードだ。これはもっともシンプルなベースモデルで、これに多くのライダーが思い思いにカスタムオーダーしたのだ。

【DATA】
Langlitz Tokyo
Tel.03-6427-2768
https://langlitzjapan.com

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)

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