「SUN SURF」Director・中野喜啓さん
学生時代にアロハシャツの魅力にとりつかれヴィンテージの世界へとのめり込み、ハワイ在住経験も。これまでに数千枚の個体を目にするも、未だ見ぬ柄も多く存在するとか。
グラフィックに描かれたストーリーを読み解く。
アロハシャツの歴史は旧く、戦前の1930年代にまで遡り、ここ日本も深い繋がりを持つことは、オリエンタルなグラフィックを見れば想像に容易いことだろう。発祥に日系移民たちが関わっていたことは事実で、日本人がいたからこそアロハシャツがあると言っても過言ではないと中野氏は語る。
「戦時中は一時、アロハシャツの歴史が途絶えますが、戦後、すぐに復活します。戦前と戦後でアロハシャツにも大きな変化がありました。大まかに言うと、戦前は、縫製、染め、生地など、より日本の関わりを印象付ける個体が多く、かつ手作業によるものが主流。戦後は、生産性の効率向上のため、当然、機械による生産、さらに、グラフィックを筆頭に、さまざまな文化が混ざるようになっていくんです」
’60年代に入ると、生地となるレーヨンも徐々に少なくなり、’70年代には、扱いやすさ重視のコットンやポリエステルの混紡素材へとシフトしていく。
「アロハシャツには作られた理由やストーリーが隠されています。そのストーリー、つまり当時の作り手の想いを読み解くことで忠実に再現できるんです。SUN S URFは、アロハシャツという文化を後世に継承していくための重要なリプロダクトなのです」
アロハシャツの歴史を今季の新作で知る。
“HAWAIIAN SKULL BORDER” KILOHANA
花のイラストが骸骨に見えることからハワイアン・スカル・ボーダーと名付けられた。オリジナルは1950年代にKILOHANAが手掛け、日本でプリントしたものと推定。¥14,080_
“GOLD FISH” KILOHANA
ヴィンテージ市場ではコレクタブルアイテムとして知られ、入手困難とされる金魚柄。過去にサンサーフからもリリースしたが、リクエストの声が非常に多く再復刻となった。¥16,280_
“DEER” ROYAL HAWAIIAN
ハワイのアロハシャツブランドとして展開していたロイヤルハワイアン社が1940年代に製作。16色もの型を摺り重ね、奈良の春日大社と鹿、紅葉が緻密に描かれている。¥16,280_
“ROYAL FLOWER” TROPICANA
オリエンタル柄には縮緬素材が使われることが多いがフィラメントレーヨンに大きな菊の花がプリントされるのは希少。抜染プリントによる立体的なグラフィックもより美しい。¥15,180_
“GOOD OLD DAYS” OAHU GARMENT CO.
「旧き良き時代」のタイトルが目を惹くグラフィック。1940年代後半にオアフ・ガーメント社が手掛けたもので、馬車やオアフ鉄道の描写から1890年代後半の情景と推測。¥14,080_
【DATA】
SUN SURF (TOYO ENTERPRISE)
Tel.03-3632-2321
https://www.sunsurf.jp
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「CLUTCH2022年6月号 Vol.85」)
Photo by Masahiko Watanabe 渡辺昌彦 Text by Tamaki Itakura 板倉環
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