【CLUTCH ARCHIVES】 JAPAN AND WORLD CRAFTMANSHIP 各地に根付く旧き良きモノ作りに惚れ込んで。―ビームス フェニカ ディレクター/ テリー・エリス

長らくファッションの次元で語られることのなかった、地域性とハンドクラフトならではの温かみをもつ民芸品。ロンドンを拠点とするBEAMS fennicaのディレクター、テリー・エリス氏は、そんな日本や北欧を中心とした世界各地の民芸や伝統文化に魅了され、普段の生活やファッションに取り入れる試みを続けている。

代々伝わるクラフトとファッションの融合。

1986年よりBEAMSロンドンオフィスでバイヤーを務め、高感度な海外ブランドを日本のマーケットへ紹介してきたテリー氏。ファッションだけでなくインテリアの分野でも大きな功績を残した彼は、大きな影響を与えてきたひとりである。常に最先端の現場で活躍してきたテリー氏は、世界各国の様々なプロダクツに触れるなかで、だんだんと地域と住民に根づいた民芸品に惹かれるようになった。とりわけ日本の民芸品や伝統文化への造詣が深く、かれこれ25年間は日本各地を飛び回り、研究と収集バイイングを続けている。2003年には『クラフトインの橋渡し』をテーマにしたレーベルfennica立ち上げ、ハンドクラフトのテーブルウエアやインテリアをはじめ、旧くから伝わる作りやデザインを取り入れた洋服やアクセサリーを展開している。いわずもがな、テリー氏はその世界観の体現者だ。ロンドンの自宅では日本の焼き物や家具に囲まれて暮らし、ワークやミリタリー系のオーセンティックなウエアを好む。スコードロンパッチに加賀友禅の技術を取り入れたA‐2など、国もバックボーンも異なるプロダクツを見事に融合させ、シンプルながらもコンセプトをしっかりと感じるスタイルである。
「ファッションは常に移り変わるけれど、民芸はずっと変わらないものを作り続けています。両者が互いに影響し合うようなプロダクツを作ることができたら面白いなと思っています。また、1920年代に陶芸を学ぶためイギリスへ留学し、日本の民藝運動の中心人となった陶芸家の濱田庄司氏は、自国のモノ作りに誇りを持ちつつ海外のセンスも吸収した大変スタイリッシュな男でした。彼のように、グローバルな視点で民芸や伝統文化を再構築したいですね」
●Terry Elis’s Profile:
1980年代初頭にロンドンで仕事を通じ北村恵子氏に出会う。’86 年よりBEAMSロンドンオフィスにて二人でバイイング を担当。’95年にBEAMS MODERN LIVINGを始動し、北欧や日本の名作家具を紹介。日本のインテリアブームを牽引した。’03 年にfennicaを始動。

テリー氏のワードローブを紹介

1-1
リビングにずらりと並んだテリー氏のワードローブ。デニムやレザー、ウールなど天然素材のベーシックなアイテムが多い。fennicaを中心に、ヴィンテージも数多くコレクションする。
1-2
fennica とBUZZ RICKSON’S のコラボMA-1。裾にかけてのストレートなシルエットが特徴。胸には高知県に伝わるムカデの連凧のモチーフを加賀友禅の職人がハンドペイントで描いた。

お気に入りのパンツたち

2-1
アメリカだけでなくヨーロッパヴィンテージも守備範囲。こちらは英国軍のヴィンテージパンツ。ポケットなど米軍モノとは異なるディテールが気に入っており、fennicaのデザインの参考にしている。
2-2
こちらもBUZZ RICKSON’Sとコラボしたチノトラウザーズ。普段から愛用しており、くたっとした良い表情だ。クラシックなシンチバックがつき、極めてベーシックなため長く愛用できる。
2-3
モードもヘリテージも網羅するテリー氏が、究極のスタンダードとして挙げるLEVI’S 501XX。色落ちと生地の質感はヴィンテージそのもので、コーディネイトを選ばない汎用性の高さに惚れ込んでいる。

シューズやハットにもこだわりが

3-1
奥の2足はParaboot、手前の2足はfennicaとMOONSTARのコラボ。右は’20~’30年代のシューズの資料写真からヒントを得、ヴァルカナイズ製法を用いた。左は沖縄藍でキャンバスを染めた。
3-2
fennicaとorslowのコラボバケットハット。アメリカのプレッピーが愛した避暑地ナンタケット島をイメージし、アウトドア感たっぷりなデザインに。くじらや伊勢エビのワッペンで遊び心をプラス。
3-3
ジャズ好きなアイビーリーガーたちのスタイルを参考に、様々なブリムハットをコレクションしているテリー氏。なかでも、オーストリア製のウールを使用した、クラシックで存在感のあるこの2点がお気に入り。

ヴィンテージジャケットも!

4-1
酒の席で洋服が汚れないように羽織ったといわれるドリンキングジャケットを、fennicaとBUZZ RICKSON’Sのコラボで製作。同窓生の卒業年を入れたヴィンテージも多く、本作でも数字を採用。
4-2
BUZZ RICKSON’Sの米軍デニムジャケットにファティーグパンツ。「ミリタリーは機能を重視したディテールの系列を追うのが面白いですね」とメキシコ民芸のチェアに掛けながら話す。
【DATA】
●International Gallery BEAMS
住所:東京都渋谷区神宮前3-25-15 B1F・1F・2F
電話:03-3470-3948(Men’s)、03-3470-3925(Women’s B1F・1F)
営業時間:11:00~20:00
HP:http://fennica.jp
(出典:「CLUTCH web」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

大人の夏はゆるくてこなれ感があるコーデが気分。“アジ”のあるピグメントTとデニムさえあればいい

  • 2026.04.17

ハナから古着みたいに着られる、アジのある服が大好きだ。「ジムマスター」が今季推すピグメントTとデニムも、加工感が素敵。いい“アジ”を知り尽くすふたりも、どうやら気に入ったご様子です。 「MIA MIA Kuramae」ヴォーンさんは、ピグメントTにオールインワンを着崩して合わす! 色ムラによる古着ラ...

100本限定生産の「エイトG」大戦モデルは、春にぴったりの履き心地とメリハリのエイジング

  • 2026.04.02

無骨なまでに肉厚なデニムで知られるエイトG。その中でも比較的穿きやすく、この時期にぴったりの一本が、第二次世界大戦期のディテールを落とし込んだ大戦モデルだ。特濃インディゴで染め上げた糸ならではの、メリハリの効いたエイジングは、自分だけの一本になること間違いなしだ! ワイドシルエットが生む、クラシカル...

夏を装いが物足りない時のひと工夫。涼しげな素材と優しい配色で気軽に“レイヤード”を楽しむ

  • 2026.04.16

シャツとジーパン。それだけで成立することは分かっていながら、やっぱりちょっと物足りない、と感じたときに思い出してほしいキーワード。それは、レイヤードだ。ぜひ夏の装いのひと工夫に加えてもらいたい。 涼しげな素材×優しい配色のレイヤード 夏に着るトップスはシャツとインナーだけになりがち。だが、シャツの下...

これまでで一番“アイビー”なクラークス誕生! 2026年春夏の新作にペニーローファーやボートシュー ズも登場

  • 2026.04.27

「クラークス」が2026年春夏の新作として発表した「デザートアイビーコレクション」。ブランドのアイコンである[デザートブーツ]や[ワラビー]、[デザートトレック]はアイビーらしい配色に落とし込まれ、アイビーの定番靴であるペニーローファーやボートシューズも顔ぶれに加わる。英国、アメリカ、日本。各国のカ...

Pick Up おすすめ記事

夏を装いが物足りない時のひと工夫。涼しげな素材と優しい配色で気軽に“レイヤード”を楽しむ

  • 2026.04.16

シャツとジーパン。それだけで成立することは分かっていながら、やっぱりちょっと物足りない、と感じたときに思い出してほしいキーワード。それは、レイヤードだ。ぜひ夏の装いのひと工夫に加えてもらいたい。 涼しげな素材×優しい配色のレイヤード 夏に着るトップスはシャツとインナーだけになりがち。だが、シャツの下...

100本限定生産の「エイトG」大戦モデルは、春にぴったりの履き心地とメリハリのエイジング

  • 2026.04.02

無骨なまでに肉厚なデニムで知られるエイトG。その中でも比較的穿きやすく、この時期にぴったりの一本が、第二次世界大戦期のディテールを落とし込んだ大戦モデルだ。特濃インディゴで染め上げた糸ならではの、メリハリの効いたエイジングは、自分だけの一本になること間違いなしだ! ワイドシルエットが生む、クラシカル...

大人の夏はゆるくてこなれ感があるコーデが気分。“アジ”のあるピグメントTとデニムさえあればいい

  • 2026.04.17

ハナから古着みたいに着られる、アジのある服が大好きだ。「ジムマスター」が今季推すピグメントTとデニムも、加工感が素敵。いい“アジ”を知り尽くすふたりも、どうやら気に入ったご様子です。 「MIA MIA Kuramae」ヴォーンさんは、ピグメントTにオールインワンを着崩して合わす! 色ムラによる古着ラ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

「バンソン」のタフネスを、春夏へ。伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボアイテムにも注目だ

  • 2026.04.02

バイカーブランドの代名詞、VANSON。今春は軽やかな布帛アイテムでイージーな装いを提案。そして伝説の映画『EASY RIDER』とのコラボレーションも登場。自由なスピリットを、そのまま服に落とし込んだラインナップを紹介する。週末のライドにも、街の散歩にも、着ることで体感できるフリーダムさを、VAN...