1.ミリタリー&トラッドスタイルはまだまだ進化する。|「アーカイブ&スタイル」代表・坂田真彦さん
“古着というよりも価値のある服”というテーマで、常にファッションシーンの最先端を歩むアーカイブ&スタイル。代表である坂田さんはミリタリートラッドスタイルの奥深さを興味深く見ている。「この着こなしが出てきたときは、アメリカ軍のアイテム一辺倒でした。現在も主流には間違いないですが、当時ほとんどなかったヨーロッパ物と合わせるというスタイルが出てきました。まだまだ振り幅を残した奥深いスタイルなのでこれからも注目していきたいですね」
【着用アイテム】エディフィス×アーカイブ&スタイルのパイロットジャケット
フレンチエアフォースのパイロットジャケットを現代的に改良したレザージャケット。基本的なスタイルはそのままに、腰のゴムシャーリングを省いたり、キップレザーを採用して軽量化、ハリ感で立体的なフォルムに仕上げている。「コートよりも短丈ジャケットがいまの気分。少し 武骨だけど米軍モノよりは上品に合わせられますね」8万4700円(エディフィス 丸の内 03-6212-2460)
【私的傑作ミリタリー①】カナダ空軍の フライトジャケット
独特なデザインとカラーリングを見せるカナダ空軍のフライトジャケット。「英連邦諸国の一国であったカナダの軍モノは、アメリカとイギリス双方の雰囲気を持ち合わせているのでおもしろいですね」
【私的傑作ミリタリー②】フランス軍のM-52チノトラウザーズ
仏軍の名作チノパン。米軍のものに比べて腰回りがすっきりとし、洗練されたシルエットになっている。「足元にロングホーズソックスとオールデンを合わせて、ミリタリー&トラッドを表現しています」
【私的傑作ミリタリー③】オランダ軍のウールパイルフリース
裏ボア仕様で保温性に優れるオランダ軍のフリースジャケットは、なんと北欧ノルウェーの雄ヘリーハンセン謹製。「出自が興味深く購入しましたが、ロングコートなどのミドラーとして重宝しています」
【私的傑作ミリタリー④】ラルフローレンパープルレーベルのレザージャケット
レザーライニングなど細部に到るまで作り込まれ、ラグジュアリーながらアルチザンな雰囲気を持つ1着。「デザインソースになったカナダ軍のフライトジャケットを買うきっかけにもなったアイテムです」
2. 気品のあるシンボルカラーがトラッドへの架け橋となる。|「サーティファイブサマーズ」代表・寺本欣児さん
世界的なヴィンテージコレクターでもある寺本さんが着ているのは、背面の刺繍が際立つUSネイビーのユーティリティジャケット。トラッドなアイテムと合わせる際に大事なのは、レアさではなく色だと断言。「トラディショナルの対極にある軍モノとのギャップを楽しむではなく、USネイビーの象徴である紺、またはエアフ ォースブルーが持つ気品をリンクさせるのが矜持。あくまでもエレガントでスマートでないとね」
【着用アイテム】アメリカ海軍のユーティリティジャケット1
寺本さんが着用したのは、1970年代のUSネイビーのユーティリティジャケット。デッキワーカーを始め、様々な任務でワークウエア的な役割を果たしていた。「デザインは言わずもがな、この個体の見どころは背面の刺繍。麻袋で 使われているようなファブリックをパッチワークしており、US NAVYのシンボルマークであるイカリをモチーフにした大胆さも見事だ」
【私的傑作ミリタリー①】アメリカ海軍のユーティリティジャケット2
ベーシックなユーティリティジャケットは1972年製。余計な装飾のないミニマルでストイックなイメージをネイビーブルーが引き立てている。「シンプルだけに合わせやすく、海軍らしい気品も感じる」
【私的傑作ミリタリー②】アメリカ海軍のレインコート
1960年代に米国海軍に支給されていたレインコート。ダブルブレステッドでウエストベルトが付く。高密度のコットンナイロン生地。「コットン混紡ならではの風合いのあるネイビーに色気を感じる」
【私的傑作ミリタリー③】アメリカ空軍のA1-A
ヘビーゾーン用フライングインナーシャツA-1シリーズの初期モデルは1950年頃の生産。A1が初期A1-Aが中期でA1-Bへと続く。「中期のエアフォースブルーカラー。シャツジャケット感覚で着られる」
【私的傑作ミリタリー④】アメリカ空軍のB-15c(MOD.)
ヘルメットと干渉してしまうことからボア襟からリブにモディファイされた米国空軍のB-15シリーズ。エアフォースブルーであるB-15c(MOD.)を選択。「このスタイルだけは手放さずに持っています」
3.カジュアルとドレスの塩梅を上手に取ることが肝要。|「ブルーム&ブランチ」ディレクター・柿本陽平さん
カジュアル過ぎず、ドレッシー過ぎない。柿本さんが着こなしで常に重視しているのはその“バランス”。「基本的にスラックスしか穿かないのは、上半身が割とカジュアルだからです。上をカッチリさせるときはデニムも穿きますよ」という具合にだ。今回はブルーム&ブランチの定番である仏軍のモーターサイクコートをメインとした着こなし。「ドレスに求められるルールは気にしていませんが、色合わせは大事にし、着崩し過ぎないように意識しています」
【着用アイテム】フランネルソルのモーターサイクルコート
’40~50sのフランス軍モーターサイクルコートを現代的にアップデート。今季はウティのデザイナー宇多氏に生地製作を依頼し、凹凸感のある独特の風合いを持つオックス織生地で見た目以上に軽やかに仕上げた。「これはカジュアルに着崩すものですので、スラックスなどでバランスを取っています」7万9200円(ブルーム&ブランチ青山 03-6892-2014)
【私的傑作ミリタリー①】キジのリネンジャケット
USネイビーのカバーオールをモチーフにしたリネンJKT。「プルオーバーの雰囲気を残しつつ全開仕様にしています。ハイゲージのタートルの羽織として使いたい」3万8500円(ブルーム&ブランチ青山)
【私的傑作ミリタリー②】フランネルソルのモーターサイクルパンツ
コートと共地のモーターサイクルパンツ。ディテールは足し引きされモダナイズされている。「かなりカジュアルなので、シャツと黒のローファー を合わせます」3万5200円(ブルーム&ブランチ青山)
【私的傑作ミリタリー③】フランネルソルのスヴィンコットンスウェットシャツ
仏軍コンバット用アンダーウェアをベースにした1着は、スウェットと Tシャツの間くらいの肉感を持つ。「スヴィンコットンが光沢あり、スラックスに映えます」1万9800円(ブルーム&ブランチ青山)
【私的傑作ミリタリー④】フランネルのスラックス
セレモニーパンツをベースにしたスラックス。「強捻のウール生地も柄パターンもすべてオリジナル。基本はシャツで、ドイツ軍のスノーカモとか合わせたいですね」5万600円(ブルーム&ブランチ青山)
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2022年3月号 Vol.180」)
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