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コンパクトなiPad mini(A17 Pro)は魅力的。もっとも安価なApple Intelligence対応製品だ【先行レビュー】

iPad miniの初代は2012年発売。今回のiPad mini(A17 Pro)は7世代目にあたるが、(第7世代)とは呼ばれず、『iPad mini(A17 Pro)』というのが正式名称。価格は抑え目の設定で7万8800円〜。最安のApple Intelligence対応モデルとなる。ひと足先に使う機会を得たが、やっぱりコンパクトで速い、iPad miniは魅力的だ。

変わったのは、名前とチップセットと……?

iPadの呼称がチップセットにちなむようになったのは、iPad Pro(M4)、iPad Air(M2)が先で、本製品はそれに合わせた……とのことだが、A17 ProはそもそもiPhoneのチップセットだという印象なので、ややこしい。何年かして、iPad mini(第6世代)とiPad mini(A17 Pro)のどちらが新しいかと言われると悩みそうだ。AirPods Pro(第2世代)は、AirPods Pro 2と呼ばれるようになったので、『第○世代』(英語だと○th Generation)という呼称自体を廃そうとしているのかもしれない。

今回のiPad miniの変更点は、ハードウェア的にはチップセットがA15 BionicからA17 Proに変わったというだけ。ただし、細かい注釈点はいろいろとある。

iPad Pro(M4)12.9インチと比べると、こんなサイズ感。かなりコンパクトだ。クリエイティブはiPad Pro、日常使いのコンテンツ消費にiPad miniと、2枚使い分けというのもいいかも。

iPad mini(第6世代)で問題になっていた、縦画面時のジェリースクロール問題(スクロールさせる時に画面がプルプル震える)はディスプレイのドライバを改修して解決したとのこと。

加えて対応Apple Pencilが、Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)になった。従来のApple Pencil(第1世代)、Apple Pencil(第2世代)は使えない。ここは意地悪せずに対応してくれればいいのに……と思うのだが、内蔵マグネットの位置が違うため、側面にくっつくこともない。

絵を描くのでなく、メモ用途中心であれば、感圧機能のないApple Pencil(USB-C)でいい。絵を描くならApple Pencil Proがお勧めだが、iPad miniを買い替える際に、Apple Pencilも買い替えないといけないことになるので、継続的にiPad miniを買っている人にとっては負担増になる。

Apple Intelligenceに備えて、Neural Engineが増強されている

Geekbench 6とGeekbench AIの計測結果はこちら。iPad mini(第6世代)と、iPad Air(M2)を比較対象として並べてみた。

3年前のiPad mini(第6世代)と較べるとCPU/GPU性能は、18〜30%の向上となっており、十分に体感できる差となっている。

Apple Intelligenceの性能を左右しそうなGeekbench AIでは、さらに大きく性能差が開いており、アップルがApple Intelligence搭載を計画しはじめた後に開発されたA17 Proでは、Neural Engineに大きく力が入っていることが分かる。Apple Intelligence対応がA17 Pro以降となっているのも納得だ。

さすがにiPad Air(M2)の性能は圧倒的だが、Geekbench AIのデータではA17 ProがM2をしのいでいることにも注目したい。これも、Neural EngineがApple Intelligenceを意識する前と後の差だといえるだろう。

Apple IntelligenceはiPadOS 18.1から、米英語で対応

Apple Intelligenceの日本語対応は来年とのことなので、我々的には少し間があるが、英語圏では来週ローンチと言われているiPadOS 18.1から、SiriやWriting Toolなど一部機能が利用可能になる。

日本でも利用言語を英語に変更すれば利用できるようになるはず。現在でもiPadOS 18.1のパブリックベータで動作を確認することができる(アップルからパブリックベータの記事化に関する許可を得ています)。

画面のフチ全体が光るSiriも、従来より大きく機能が増しており、より自然言語への対応度合いが増している。

コンテンツ消費に、モバイルオフィスとして

実際に数日間、iPad mini(A17 Pro)を使ってみたが、久しぶりに使う8.3インチモデルはやはり快適。いつでも持ち歩ける高機能タブレットとして、やはり便利だと感じた。

筆者の利用目的だと、(性能はほぼ関係ないが)読書や、動画閲覧などにとても便利。

キーボードフォリオがないので、文字入力には向かないが、手書きメモを取ったりするのにも使いやすい。Split Viewや、Apple Pencilを使った手書きメモは、使いこなせるようになると手放せなくなる便利さ。

絵を描いたりするには、iPad miniはちょっと小さすぎるのだが、ハガキサイズのイラストボードだと思えば描けなくはない。出先で、ちょっとしたスケッチをしたりするのも楽しいかもしれない。

Apple Intelligenceも楽しみだが、ChatGPTを使ったりするのにも便利。iPhoneだとほとんど会話モードになるが、iPad mini(A17 Pro)ならテキストを見るのにも手ごろなサイズ感だ。

かわいらしくて欲しくなる

iPad miniは、初代からA8搭載の第4世代まで、毎年モデルチェンジをしたが、その後は2〜4年の間隔を空けての更新となっている。それゆえ、今買うと当分の間、最新モデルとして使えるのも美点だといえる。

従来はiPad Airと同じチップセットを積むことが多かったが、今回はM2とA17 Pro と、それぞれMacのチップセットとiPhoneのチップセットという、素性も馬力も違うチップセットを使うことになった。

また、iPhoneのチップセットを積むにしても、「なぜ最新のA18 Proではなく、昨年モデルのA17 Pro」なのか? というのは疑問の残るところだが、最新チップセットを積むよりもコストセーブになっていると思えば、致し方ないか。たしかに、今回の7万8800円はリーズナブル。

ついつい、手元に1台置いておきたくなるタブレットだ。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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