ジャパンブルー=藍
我々が着ているデニムのブルーはインディゴ、つまりインド藍によって染められたのがルーツ(現在はほとんど合成染料)。日本にも伝統的に藍で染める技法があり、それが藍染め。サッカー日本代表のユニフォームが青いのも、この『藍』が日本の伝統的な染料として、世界的に知られているからだ。
話は変わって、我々がコンピュータで日本語文字入力をするために『漢字かな変換』をする時に、『スペースバーを打って変換』するのは、ジャストシステムのATOKがルーツ。それを作ったのが、元ジャストシステムの浮川和宣社長と、浮川初子専務だ。おふたりは現在、ジャストシステムを離れ、タブレットでの自由な日本語入力システムを開発するためにMetaMoJiを創業。MetaMoJi Noteや、GEMBA Noteなど、さまざまなアプリケーションを提供している。
MetaMoji
https://metamoji.com/jp/
ご存知のように、ジャストシステムは徳島の会社で、徳島は藍染めのための藍の天然原料である『すくも』の産地。そして、浮川初子専務のお母様は藍のろうけつ染めの手法をずっと研究し、作品を作るアーティストでいらっしゃる。
前置きが長くなったが、この浮川初子専務と、お母様である橋本陽子さん、おふたりの作品がパリの公募展『ル・サロン』に入選された。そして、それを記念して、銀座で展覧会が開催されたので、そのオープニングパーティに行ってきた。
ルノワールやモネも活躍したル・サロンに入選
ル・サロンといえば、ルノワール、ミレー、モネ、マネ……などの教科書に載っていたような高名な画家たちも活躍した展覧会。そこに入選されたというのは、途方もない栄誉だ。
橋本陽子さんと、浮川初子さんが作られる『藍のろうけつ染め』とは、ロウで絵を描いて藍で染めることで、ロウの部分に色が付かず模様が描かれる手法。それを何度も繰り返すことで色の濃淡をつけることができる。
つまり、絵を描いて、染めて……を10回繰り返せば、10段階の濃淡が表現できるということだ。
この技法を用いて、テキスタイルを作り、作品にしたり、着物にしたりということができる。
テクノロジーとアートの交差点には何があるのか?
我々にとって興味深いのは、40年前のATOK発売以前から現在にいたるまで第一線のエンジニアである浮川初子さんが、アーティストとしても高く評価される存在であるということだ。
テクノロジーとアートはともすれば相反する才能であるように言われがちだし、時には技術者は芸術を理解しない存在であるかのように言われることもある。しかし、浮川初子さんの存在は、テクノロジーを深く理解する人は、同時にアーティストでもあるということを証明しているように思われる。もしくは、アートの才能があったからこそ、卓越したソフトウエアを開発することができたのか?
展覧会では、おふたりの作品や、着物などがふんだんに展示されている。ご興味のある方は、ぜひご覧になってみて欲しい。
ル・サロン2022入選記念
橋本陽子と青藍工房展
2022年11月23日〜27日
銀座かねまつホール
https://seiran.art/exhibition
(村上タクタ)
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