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『人工衛星経由でネット!』イーロン・マスクのStarlinkを使ってみた

  • 2022.11.23

ちょっと忙しくてレポートのタイミングが遅くなったが、イーロン・マスクの、人工衛星インターネット『Starlink』を使ってみた。結論から言うと、上空にオープンなスペースが必要で、マンションに住んでいるとなかなか難しいものがあるが、速度はけっこう出るので、光回線などが来ていない地域の人にとっては光明になるし、災害時には非常に重要なインフラになると思う。

価格は本体7万3000円と、1万2300円/月

申し込みについては、前回詳しく述べたが、ハードウェア代金は7万3000円。サービス料は月1万2300円。いわゆるブロードバンドインターネット回線よりは高いが、個人でも払えない金額ではない。山間地や離島などの僻地にお住まいの方にとっては、これで高速回線が得られるのであれば、高くはないと思う。

イーロン・マスクのStarlinkを申し込んでみた!

イーロン・マスクのStarlinkを申し込んでみた!

2022年10月16日

さて、申し込んで数日で機材が到着。まず、驚くのはそのデカさだ(笑)。このへんからしてアメリカンな感じ。そして、箱には穴が開いていて、テープで塞いである。穴は発送前から開いていたのか、運送業者が開けたのかはわからないが、封をしているのと同じテープなので、おそらくは発送前から開いていたのだろう。じつにアメリカンな大ざっぱさだ(笑)。

箱の中はこんな感じ。上に乗ってる頂点が3つの星状のものが脚で、下に大きなパラボラアンテナと、ケーブル、そしてWi-Fiルーターと電源ユニットが見える。ケーブルが100ft(約30m)とめちゃくちゃ長いのにも驚くが、これがパラボラアンテナに直接繋がってるので、設置の時には、このケーブルが何気に邪魔だったりする。

まるでボイジャー2号の金属板のような説明図

説明書はこんな感じの紙ペラが1枚入ってるだけ。雑を通り越して、ボイジャー2号に入っている金属板のメッセージのようだ。

逆に言えば、宇宙人にでも分かる説明書だともいえる。さすが、宇宙人とも言われるイーロン・マスクである。

もちろん、スマホアプリの方には日本語で詳しく説明がされているから、製品に入れる紙はこれで十分なわけだが。

向かって左側に持っているのが、Wi-Fiルーター、三角形を組み合わせた妙なカタチをしている。テスラのサイバートラックを彷彿とさせるデザインだ。床面積が狭いのでよくコケる。右側が、電源ユニット。奥のコネクターに電源、手前左にアンテナ、右にWi-Fiルーターを接続したら準備完了だ。

受信機をどこにどう設置するか? それが最大の問題だ

……と簡単に言ったが、実は電源やWi-Fiユニットは屋内、アンテナは屋外に置かなければならないという設置上の問題がある。筆者はエアコンの配管用の穴を通したが、ベランダから走るケーブルはかなり邪魔だ。このケーブルをどこに通すかは、導入を決心する前に考えておかなければならない問題だといえる。

もろもろの問題を解決して、ベランダに設置した状態。そもそもは、こんな狭いマンションのベランダに置くようなものではないのかもしれないと後悔する。

5分ほどすると、突如、アンテナが動き出して、上を向く。衛星からの電波を受信するためのベストなポジションを見つけたようだ。

いや、こんなところで真上を向かれたら、めちゃくちゃ邪魔だから(笑)。洗濯物が干せないと、妻に怒られてしまう。

その上、iPhoneに入れているStarlinkアプリには、「この設置場所では十分な通信ができない」的なメッセージが出る。たしかに、このベランダの床に置くと、桟と屋根の間のごくわずかなスペースからしか空を望むことができない。これでは通信できないというのも、考えてみれば納得だ。

屋根に上って設置することも考えたが、共有スペースに勝手に設置するわけにもいかない。なかなか、マンション住まいの人間にとっては難しいアイテムだということだ。

また、事前に試したアプリの結果を見ても、この南側のベランダより、北側のベランダの方が結果が良かった。

問題解決! 使ってみた!

そこで、意を決して、北側のベランダの柵にStarlinkのアンテナを固定した。

ちなみに、我が家は低層階だし、ベランダの下は植木だし、万全を期してかなりガッチリ固定したが、それでも台風などが来たら、外して部屋の中に収めたくなる感じではある。

もっとも、そもそもが、こんな都会のマンションで使うようなものではなく、広々としてたスペースのある僻地のためのアイテムであることはたしかなようだ。それを考えると、ケーブルが30mもあることも納得だ。我が家では端から端まで引いても往復できそうだ。

ともあれ、待つこと5分。Starlinkは無事に衛星を掴まえたようで、通信をスタートしてくれた。

MacでStarlinkのWi-Fiに接続してみると120Mbpsの速度が出ていた。

ちょっと遅い光回線ぐらいの感じだ。

タイミングによって速度に差は出るが、我が家の接続状況としては、100〜300Mbpsというところだった。

このぐらい出れば、動画を見るとこともできるし、ビデオ会議に出ることもできるだろう。

アプリを見てみると、時折通信ができないタイミングがあるようだ。衛星の位置の問題かもしれない。ライブ動画試聴や、ビデオ会議だと困るかもしれないが、上空が開けた場所に設置すれば、そういう問題もないのかもしれない。

子供の頃の夢が、またひとつ叶った

結論を述べると、まず設置には上空が大きく開けた場所が必要で、アンテナの設置場所から、屋内の電源がある場所まで30mのケーブルで繋げる必要がある。どこに設置するにしても、風で飛んでいったりしないように固定が必要だろう。

都会のマンションはもちろん、都会では一戸建てでも上空の開けた場所に設置するにはそれなりの工夫が必要だと思う。もっとも、このStarlinkを必要としているような僻地だと設置場所に苦労はしないと思うが、アメリカの荒野ならともかく、日本だと木々に覆われていない場所を探す必要があるだろう。また、屋内にケーブルを引き込むための穴も必要だ。

その問題さえ解決すれば、100〜300Mbpsの速度で、地球上のほぼどこでも通信できるというのは素晴らしいことだと思う。山小屋や離島の施設などで非常に役に立つことと思う。

また、ネットが切断されるような災害時にも役に立つだろう。東日本大震災の時も、携帯電話が繋がらなくなった時に、ネット接続で生存確認、情報発信ができると、非常に役に立つことだろう(ただし、IMMOTORなどのACを使える大容量モバイルバッテリーなどの電源が必要)。東日本大震災時よりも生活のネット依存度は増しているから、これは重要なインフラになるかもしれない。ひょっとすると地方自治体で、各町内会に1台のStarlinkを用意しておくと、災害時の通信に役に立つかもしれない。

いずれにしても、自分が人工衛星経由で通信をしているというのは、かなりワクワクする体験だ。 「衛星回線を介した、生中継です!」と、個人レベルで言えるワケだから、子供の頃に夢見たSF的世界がまたひとつ現実になったと言えるだろう。

(村上タクタ)

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