1941年製のネイビーラスト(木型)を使用した、オンもオフも使える万能な革靴の秘密に迫る。JELADO the BOOTED “U.S.N 41 Service Shoes”

昨年に始動したアパレルブランド「ジェラード」のシューズ&ブーツラインである「ジェラード・ザ・ブーテッド」。第一弾のエンジニアブーツは多大な評価を得ていたが、最新作となるサービスシューズは、さらにパワーアップした印象を受ける。その製作秘話を代表の後藤さんに聞いた。

革から底付けまで各工程で徹底的に作り込んだ美しきミリタリーシューズ。

ジェラード代表 後藤洋平|元古着バイヤーという経験を活かし、世界中のヴィンテージウエアをモチーフに、レプリカという枠に留まらず、現代的かつ都会的に“リファイン”するブランド「ジェラード」を、2005年6月から東京・恵比寿にて始動させる。また2024年コレクションテーマである『SPORUT』とは、後藤氏が古着バイヤー時代である2003年に立ち上げた古着店の名称。それから20年という歳月が経過した今、起業当時にアメリカで買い付けたヴィンテージアイテムをイメージしたアメリカンクロージングを今季展開していく。

ヴィンテージのワークやミリタリーなどの無骨な靴をクローズアップし、日本のクラフトマンシップで再構築するジェラード ザ ブーテッド。
昨年にこけら落としとしてリリースされたエンジニアブーツに次いで、待望の新作であるUSN41サービスシューズがリリースされた。ファッション業界は基本的に春夏と秋冬でシーズンが分かれており、単純計算すると半年で新製品を作るタームとなっている。
しかしジェラードでは、フラッグシップ的な“ラストリゾート(伝家の宝刀)”のように、その時間軸にとらわれず、コストと時間を度外視し、徹底的に作り込みを行なっており、まさに当作にもそのこだわりが反映されている。
そもそもジェラード・ザ・ブーテッドを始めるきっかけとは?
「私たちの仲間に、Youtube『ブーツのミカタ』でお馴染みの鈴木理也さんが加入したことが、大きなきっかけになりましたね。ジェラードのオリジナルプロダクツを始めてから、かれこれ20年近く経ちますが、クロージングに関しては原材料からステッチ1本までこだわる意味合いがわかっても、靴作りに関して同じ感覚を持つには、まだまだ理解していくことがあると実感していました。

そんな時に鈴木さんと縁があって、一緒にモノ作りをすることになったんです。餅は餅屋じゃないですが、細かな点は鈴木さんに監修してもらうことにしたのですが、これが大正解だったと思います。モノ作りのファーストステップとなるデザインや元ネタとなるヴィンテージの選定に関しては自分が行い、クオリティコントロールの部分を鈴木さんにお願いするスタンスです。鈴木さんは、自身のブランドも手掛けているので、様々な実力派ファクトリーを熟知しており、デザインにとって工場を振り分けることもあります。

また同じレザーでも、洋服とシューズでは求めるものが違うので、よりクオリティを高めることができました。シューズやブーツはソールの底付けやライニングなど、分解しないと見えない箇所が多いので、靴作りを根底から理解する人だからこそこだわれる部分をこのモデルは突き詰められたと思います」

今回のUSN41サービスシューズは、後藤さんが語る通り様々な角度からこだわっているが、特筆すべきは1941年のネイビーラストを使っていること。実際に海軍の官給品を生産する際に使われていた希少なラストである。

「自分が持っていた’40年代の米国海軍のサービスシューズをベースにし、鈴木さんが所有している1941年のネイビーラストを木型として使っているんです。初期のサービスシューズのアッパーデザインの特徴であるやや尖ったつま先や6対の隠しハトメ、カカトのT字型の市革など再現しつつ、ステッチの運針までこだわりました。また肝となるガラスレザーは、あえてキップレザーを選んでいます。

一般的なガラスレザーに使われるステアハイドに比べて柔らかさやキメ細かさがあり、履き込んだ時に美しいシワ感が生まれ、式典などで使われていたサービスシューズのドレッシーな要素にもマッチしてくれます。’40年代のサービスシューズは、後年のモデルと比べるとよりドレッシーなテイストが強いので、キップで正解でした。

そして茶芯仕様となっているので、エイジングが楽しめるのもポイント。ドレス感を楽しみたい方は、あえてブラックのクリームでメインテナンスをしてもおもしろいと思いますね。

生産においては鈴木さんが革のタンナーから、製造を行うファクトリーまで適材適所で、この手のシューズを美しく仕上げてくれるプロたちを選定してくれたメイドインジャパン。ここまでこだわると次の製品を企画するのが億劫になるほど、完成度の高いプロダクツに仕上がりました(笑)」

’40年代のサービスシューズは、ヴィンテージ市場でも滅多に出てこないスペシャルピース。マイサイズでミントコンディションを探すのは至難の業。そんなアーカイブを超えるようなプロダクツに仕上がっているので、是非とも実物を手に取ってほしい。

「ジェラード・ザ・ブーテッド」は、サンプルを後藤本人が自ら履き込み、エイジングのチェックや細かな修正点を改善してから、初めて生産化される。ご覧のようにキップを用いたガラスレザーは、細かなシワ感が特徴である。8万8000円

パートナーである鈴木氏が所有している1941年製のネイビーラストの実物。1941年と刻印されていることがわかる。ドレスシューズのようなシャープなシルエットながらも、多様な足型に合うような設計となっている。

【DATA】
ジェラードフラッグシップストア
TEL03-3464-0558
http://jelado.com

(出典/「Lightning 2024年10月号 Vol.366」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

Pick Up おすすめ記事

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...