自分のスタイルにフィットする実用的なモノがセレクトの基準。
ミリタリーやワークをバックボーンに持つ、カジュアルスタイルを提案するアンドファミリーの村上游さん。ブランドのモノ作りには、村上さん自身が様々なプロダクツに実際に触れ、使用する経験がフィードバックされる。本誌でも様々な切り口で持ち物を取材させていただいたことがあるが、今回は膨大なスニーカーコレクションの中でも、若かりし日から愛し続けるオーセンティックなスニーカーを撮影させてもらった。
今回撮影したスニーカーの多くは、村上さんが青春時代を過ごした’80〜’90年代にオリジナルが誕生したモデルが多い印象だが、当時のスタイルに今も惹かれる理由とは?
「’90年代前後は、日本ではスニーカーをファッションとして履くようになった黎明期のような時期だと思うんです。当時のスニーカーはバッシュでもランニングシューズでも、脚色なく機能性を最優先に生まれたモノばかり、要はファッションのトレンドに媚びずに、スポーツシューズの本来のあり方を追求したシンプルなスタイルが好きなんです」
村上さんのコレクションは、自分のスタイルにフィットするモノ、実用的なモノが対象。つまり今となっては入手困難なモデルも数多いが、漏れなく履くために入手したモノなのだ。そして、復刻を厭わず新しいスニーカーを数多く所有しているのも特徴と言える。
「使うために生まれたモノは、当然使わなければその魅力を感じとることができない。大事に保管するのではなく、大事に使う、そこから生まれる美学があると思います。オリジナルに価値があるのはわかりますが、自分にとっては履けることのほうが重要。だから復刻大歓迎。旧きに憧れるのではなく、履いてできる皺やシミなど、共に歩む中で生まれるヴィンテージ感に魅力を感じます」
村上さんのスニーカー選びは、オーセンティックなモデルを切り取っても、懐古主義に傾倒することなく、履くことでプロダクツの本来の魅力を味わう“モノ好き”のリアルに裏付けされる。
バッシュをストリートに持ち込んだ立役者。
NIKE AJ1 Low OG “Black and Dark Powder Blue/UNC” / “Shadow”
当時のバッシュはハイカットがスタンダードだが、ショーツに合わせるならローカットがいまの気分。UNCはMJのカレッジカラーを採用。2024年にリリースされたShadowはモノトーンの配色が幅広いコーディネイトに取り入れやすい。
NIKE AIR JORDAN 1 “CHICAGO”
1985年にデビューしたAir Jordanシリーズの第一弾。当時のNBAのバッシュの規則に反し、ジョーダンが違約金を払いながら履き続けたという逸話が残る伝説の一足。「置いていても絵になる最高峰のスニーカー」と村上さんは語る。
NIKE AIR JORDAN 1 RETRO HIGH “BRED”(上)、NIKE AIR JORDAN 1 RETRO HIGH “CHICAGO”(下)
オリジナルカラーを再現して’94年に登場した復刻。USのスケーターがAJ1を履く姿を見て気になっていた村上さんは、発売してすぐ“Bred”と“CHICAGO”を購入。後のNIKEブームと共に復刻も入手困難となった。
履き込む過程を楽しみたい、だから復刻を手にいれる。
CONVERSE ONE STAR J VTG “made in JAPAN” “LIMITED EDITION for TIME LINE”
コンバースの過去の名作を蘇らせ、新たなマスターピースを造り上げることをコンセプトに掲げるプロジェクト“TIME LINE”シリーズの第一弾としてリリースされたワンスター。当時のスタイルのツボを抑えた復刻に感銘し3色ゲット。
NIKE AIR MAX 95 OG
1995年に登場し、日本での過去最大級のスニーカーブームを巻き起こしたAIR MAX95。オリジナルは加水分解によって使用できなくなってしまったため最近は復刻を愛用。当初レディース展開されたグレープカラーが1番のフェイバリット。
トレンドに媚びずシンプルを貫くデザインがNBの魅力。
New Balance M990
NBの代表作と言えるUSメイドの990シリーズ生誕30周年の2012年に発売された990v3。上の写真左は2022年の国内限定カラー、右はアムステルダムのPatta別注モデルの990v3。また、下の写真はNBの定番カラーであるグレーの990v5
New Balance M992
創業100周年イヤーに登場した992。こちらもUS製で、上質なピッグスキンスエードを採用。さらに耐摩耗性に優れた“N durance”アウトソールなど当時の最新テクノロジーを搭載。何よりビビッドなパープルスエードが美しい。
New Balance M576
こちらも’90年代から所有するM576。イエロー×ネイビーのヌバックレザーの味わい深い色味、カラーリングがコーディネイトのアクセントに。現役は終えてもM576は手放せない大切なモデルなのだと語る。
(出典/「Lightning 2024年9月号 Vol.365」)
Photo/S.Sawada 澤田聖司 撮影協力/Andfamilys Co. Instagram@andfamilys_co
関連する記事
-
- 2024.08.26
オニツカタイガーの75周年モデルが降臨。歴史を内包したレトロモダンなデザインに脱帽!
-
- 2024.08.20
パリ五輪の堀米選手でも注目されたナイキ・ダンクSBコレクターにその魅力を聞く