DIYでレザークラフトに挑戦! 完成までの軌跡(大げさ)。

世の中に自分好みのカメラストラップを見つけられなかったことから、自分で作ってやるとスターディ・レザーアカデミーに入学した筆者。裁縫が趣味というだけで、レザークラフト未経験のなか、無謀にも栃木レザーと金属パーツで理想のカメラストラップを制作しようと奮闘する記録の最終章。はたして理想のカメラストラップになったのか?

前回までは設計図からパッドの制作までを終わらせた。

理想のカメラストラップを想像してイラストに起こし、そこから設計図、パターンを経てやっとパーツのひとつであるレザーパッドを仕上げるところまで到達した前回まで。

お次は本体のレザーストラップの制作から、各パーツの合体、仕上げまでをレポート。というと案外簡単だと思いきや、専門的な道具や技術が必要なため素人では難航すること必至。

といっても各チェックポイントで先生が指導(ダメ出し含む)してくれるので、素人でも何とか仕上げることができるのがレザーアカデミーならでは。それでは完成までの軌跡をどうぞ。

今回レザークラフトを指導してくれたのはスターディ・レザーアカデミーの校長(塾長)である水野さん。自身のブランド「スターディ・ラゲッジサプライ」のクラフトマン。独学でレザークラフトを学び、今ではバッグからレザージャケットまで、ハンドメイドで制作している

前回までの記事はこちらで。

DIYでレザークラフトに挑戦! 下準備編

DIYでレザークラフトに挑戦! 下準備編

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DIYでレザークラフトに挑戦! いよいよ制作編。

DIYでレザークラフトに挑戦! いよいよ制作編。

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本体ストラップ部分の制作。

いよいよカメラストラップの本体になるストラップ部分を制作。パッド同様、ブラウンの栃木レザーが素材になる。これは設計図で導き出した幅(18mm)でレザーをカットすることが必要で、これにはレザーを真っ直ぐに裁断することができるストラップカッターを使用すれば素人でもそこそこ真っ直ぐ切ることができる。

細くなる剣先の裁断。

カメラにストラップの先端部分を取り付けるため、カメラに付いているストラップ用のリングに合わせて剣先は本体よりも狭幅の12mm幅で、折り返してギボシで固定するために300mmの長さが必要。

そこで18mm幅に裁断したストラップの先端を左右3mmずつ加工する必要が。これはパターンをレザーに当てて線を引き、革包丁を使って裁断して処理する。当初は剣先をカーブさせようと考えたけれど、ラウンドカットする技術が無いので三角形で処理することに(笑)。

こちらが細くなる剣先の裁断後の様子。あとはここに金属製のギボシを取り付ける位置を銀ペンで印を付けて完成。ストラップは左右2本必要なのでもう1本も同じように裁断する

バックルを取り付けるための加工。

左右のストラップはベルトのようにバックルで結合させるデザインにしたので、バックルを取り付けるための加工が必要。これは金属製のポンチを使えばあっというまに穴を空けることができる。

こちらが銀ペンで描いたガイドに沿ってポンチを使って穴を空けた様子。中央の長い穴にはバックルのピンが来る。上下の穴はレザーを二つ折りしてリベットを打ち込む場所だ

先生の助言で取り付け部分のレザーを漉くことに。

素材となるレザーにある程度の厚みがあることで、カメラに取り付ける剣先部分を少し漉(す)いた方が取り付けしやすいというご指摘が。

ということで先端部分の革を漉き機を使って薄くすることに。ただしこの機械は危険が伴うということで素人は触れず、特別に先生が特別に漉いてくれた。こういうちょっとしたディテールアップで使い方が向上するんだと勉強。

カメラに使うストラップだから革の裏側(床面)とコバを処理する。

精密機械であるカメラに使うストラップだから、切りっぱなしのレザーでは革の粉などが出てしまうのでカメラに使うには不向き。というわけで革の裏側になる床面とコバを処理して革の粉が出てこないように処理する。

床面は専用のトコ処理剤を手で塗り、溶剤が乾く直前を見計らってガラス板で磨くことで処理ができる。左右のコバも専用のコバ処理剤を塗布して、木製のスリッカーで成型する。

そもそもこういう溶剤があることを初めて知る。世の中のレザーアイテムはこういう仕上げ処理をしているんだなと勉強。実際に作ってみることでクラフトマンたちの工夫や苦労もわかるのであった。

コバ処理剤を塗ったら、木製のスリッカーと呼ばれるツールで押し当てて磨くように処理。こうすることでコバの凹凸が無くなって見た目にも美しく仕上がってくれる。筆者の場合は下手な革包丁のせいでゆがんでしまっているコバの断面を馴染ませることができるので、見た目も改善することができてうれしい(笑)

ストラップ結合部分のバックルを取り付ける。

左右のストラップパーツを結合するためのバックルを取り付ける。チョイスしたのはクラシカルな真鍮パーツ。あらかじめバックル用に処理をしていた部分にバックルを装着し、レザーの先端を折り返し、同じく真鍮のリベットで留めるというもの。台座にセットしてハンマーで叩くだけで取り付け完了。

レザーパッドを通して左右のストラップを結合したらほぼ完成。

各金属パーツを取り付け、最初に作成したレザーパッドを本体に通してバックルで結合したらほぼ完成。やっとカメラストラップのカタチになった。ただしこのままでは風合いがいかにも新品で味気が無いので、ここからスターディならではの加工をすることに。

全てのパーツを結合したら、見事にカメラストラップになった。なんとかカタチにすることができて筆者は大満足だけど、このままではいかにも切りっぱなしのレザーで味気が無いので、ちょっとした加工をしましょうと先生からの提案が

刻印を入れ、レザーを加工することで風合い増し増し。これには驚き。

レザーパッドにスターディの刻印を押したら、レザーの風合いを増すためにスターディでは特殊なタレ(企業秘密でした)を手でレザーに塗り込み、キャンバス生地の端切れを使って磨く加工を施す。

これはレザーの中に含まれているタンニンを移動させることで表面に陰影ができ、ヴィンテージレザーのような風合いになるというもの。あえて手を使って作業することで、陰影がランダムに生まれるだけでなく、レザー自体の表情もこなれてくる。とくにレザーのエッジ部分に力を入れて磨くことで、アウトラインがはっきりして見栄えがかなり変わるという。

スターディの商品も同じように手作業でこの仕上げをしているという。まさに職人技である。

見よこの風合いを。無表情だったレザーの色合いに陰影が生まれ、まるでヴィンテージのような雰囲気に。素人でも特殊なタレとキャンバス地を使って磨くだけでここまで表情が変わるとは驚き

最後にアクセントで銅製リベットを打ち込んで完成。

ストラップの全体を見て何か物足りなさを感じたために、剣先部分にアクセントになる銅製のむき出しリベットを打つことに。これは専用の打ち機にリベットをセットして打ち抜くだけ。ここも使い込んでいくと緑青(りょくしょう)が出てきたりして風合いが増すはず、なんて考えてみた。

パチパチパチ。こちらが完成したオリジナルレザーストラップ。カメラに装着してみると、クラシカルなカメラのデザインのカメラと見事に調和してくれた。レザーの風合い増し増しの雰囲気はこれから使い込んでいけばさらに経年変化してくれる。素人仕事の雑な部分もそこまで気にならない(笑)

今回の作業のまとめ。

今回DIYに挑戦したカメラのレザーストラップは、スターディ・レザーアカデミーでは最初の初級コースをクリアしていれば挑戦できる。制作したいアイテムの設計図やパターンを事前に仕上げてくれば、レザークラフト経験者であれば2時間ほどで完成させられるレベルだという。

ちなみに完全な素人である筆者の場合は先生にヘルプしてもらいながらでも3時間ほどかかった(汗)。プロであれば1時間弱でできるレベルだということ。

今回のカメラ用だけでなく、自分のバッグなどのストラップをあえてレザーにしてみるっていうのもおもしろい。シンプルなアイテムでもレザークラフトの楽しさを味わえるのでおすすめだ。

今回のストラップを使い込んだら、次はさらに複雑なデザインのカメラストラップや小さなバッグにでも挑戦してみたいと思う筆者であった。

【DATA】
Sturdy Luggage Academy

<初回体験コース>
受講料:4000円(2時間)
材料費:1500円
製作物:レザーペンケース

<通常コース>
入会金:4000円
受講料:1レッスン4500円(2時間)+材料費(制作物で変動)
制作物:バッグ、ウォレット、デニムエプロンなど任意で選択可

場所:横浜市港北区新羽町1218-1スターディ工房内
TEL045-900-2211 sturdy@lucent-jp.com
https://www.instagram.com/sturdyluggagesupply/?hl=ja

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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