皆様のおかげで30周年! 雑誌Lightningの次の時代のことを考えました

1994年の創刊号からアメリカンカルチャーを中心に、ファッションやクルマ、バイク、インテリア、ホビーなど、様々なモノ・コト・ヒトに注目し続けて、2024年3月で創刊30周年を迎えたLightning。30年という歴史にアリガトウ、これからもLightningをどうぞヨロシク!

アメリカ西海岸のカルチャーが詰まった雑誌として登場。

アメリカンカジュアル? あんまりそんな意識もなく、アメリカンブランドやアメリカンヴィンテージ古着に興味を抱いていった青春時代。やがて、実際にアメリカに行って、アメリカのスケール感や伝統文化など、とにかく目にするものすべてから刺激を受けて、アメリカンカルチャーに魅了されていった。

そんな感度ビンビンの年ごろに、突如現れたのが『ライトニング』という雑誌だった。トータルコンセプターの所ジョージさんのキャラクターと、テレビなどではほとんど取り上げられることのないアメリカ西海岸のカルチャーが、誌面の中で雑然と入り乱れている感じがした。

極めて個人的な意見だが、「行動したくなる」、まるで沢木耕太郎の『深夜特急』を読んでいるような不思議な感覚を持った。号を増すごとにごった返した独特の雰囲気が盛り上がりを見せる。雑誌でありながら、タレントの素顔が紹介されるテレビ番組的な構成も他にはないものだった。

初期のライトニングは、この「ノリの良さ」という独特の個性があった。ノリと勢いが増すと、時々何を言っているのかわからない、意義を問うてはいけないような記事も魅力だった。考えて読んだらいけない雑誌。冷静になったら負け! みたいなところがあり、眺めて楽しいエンターテインメントを雑誌で実現した。

時代に応じて変化していく「ライトニング」。

所ジョージさんが離れ、ライトニングの一つの時代が終わった。創刊から7年目のこと。当代きっての大スターが誌面から消えると、ノリと勢いの勝負はできなくなってしまう。私、松島が編集部に加わったのがこの時代。幸運だったのか不運だったのか、ただの読者だった松島は、最初の6年間の内幕を知らない。先輩たちが築いたブランドを引き継ぎはしたが、同じ手法で雑誌を作る術を持っていなかった。

ブランドを汚さぬように、新しい雑誌を作らなければいけない。最初はずいぶん遠回りもしたな。企画を考えながら、先代の誌面をパラパラと眺める。結局、同じことはできないから、過去を振り返ることを止めた。ライトニングの未来を考えることにしたんだ。作り手は迷っていたのに、たくさんの読者がついていてくれた。「終わらせちゃいけない」ってそればかり考えていた。

世間の流れは、情報がどんどん得やすくなるし、タダで情報や知識を得られるのが当たり前の時代へ突入していく。ブームは雑誌が作るものだったが、雑誌がブームに乗っかるようになっていく。ビジネスで考えたら、それが正解だって事は百も承知。でも、それなら有料の商業誌なんて作るのはやめてしまったほうがいい。有益な情報をタダでバラ撒いていけば、時代感のある情報ビジネスができる。実際に、そうやって稼いでいる企業はたくさんあるぞ。でも、違う。じゃあ、ライトニングは何をすべきか? なんてことばかり考えていたっけ。

明確に考えてきたのは単なる雑誌の枠には収まらないコミュニティを作ること。家に行って、クルマを見て、服装を見て、持ち物を見て、「ライトニングに出てきそう」って感じさせる人々たちの会報誌でありたいって思うようになる。流行に敏感であるよりも、しっかり語れることがカッコいい! って言い切ってやろうじゃないか。ポンポンと新しい物を買うことよりも、何十年でも同じものを愛用し続ける人が偉い! って言い切ちゃおう。

この世界の住人にとって有益な情報をきちんとセレクトしていくのがライトニング編集者の責務だと決めつけた。「ノリと勢い」のエンターテインメントは天賦の才能が必要だけど、第二世代のライトニングにはそれがなかった。泥臭く、靴底減らして、自腹を切ってエンターテイメントを成立させるしかなかったんだね。

おかげで、経験豊富で、目の肥えた編集者が揃ったと自負している。読者とは同じ目線だけれども、ちょっとだけ旺盛な好奇心を持って、ちょっとだけ先を歩いて方向を指し示す。そんな雑誌を理想に掲げてきた。もうしばらくはこのスタイルは続けていくつもりだけど、私、松島はもうそんなに若くないので、先は長くない。自分がライトニングを引退した後のことを考えるようになった。

無理に考えや流儀を継承しようとは思わない。次の時代の事は次の世代が考えればいい。実際に、ライトニングは最初の頃といまでは、まったく違う雑誌になった、どこか同じ匂いは感じるかもしれないが。

人が変われば雑誌は変わる。願わくば、「ライトニング」というカルチャーが、不滅なものとして続いて欲しいが……。聞くところによると、最近の読者には、私たちと共に歩んだ読者のジュニア世代、つまり若い世代が増えてきているという。ありがたい。

紆余曲折、長くやって来れています。皆様のおかげです。節目って、いろいろ考えるキッカケになるな〜。(松島睦)

(出典/「Lightning 2024年5月号 Vol.361」)

この記事を書いた人
松島親方
この記事を書いた人

松島親方

買い物番長

『Lightning』,『2nd』,『CLUTCH Magazine』男性スタイル&カルチャー誌の統括編集長。ロンドンのセレクトショップ「CLUTCH CAFE」のプロデューサーも務める。 物欲を満たすためには海をも越え、全地球規模で買い物を楽しんでいる。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

Pick Up おすすめ記事

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...