L型を90年代のクルマにスワップ。進化した足回りで旧車の“音”を楽しむシルビア。

旧車の楽しみ方は千差万別。ストック状態で楽しむ人から、チューニングして楽しむ人、そしてエンジンスワップをする人まで。ここで紹介するシルビアもそんな自分なりの楽しみ方を追求した1台。なんとこのシルビアの心臓は、L型エンジンが搭載されていたのである。

逆転の発想で誕生したL型を快適に楽しむ一台。

標準よりも外径の小さいタイヤを履き、BILSの車高調を使って適切なスタンスにロワード

ここに紹介するのは、おそらくLightning誌で紹介する車両の中ではかなり新しい部類に入るであろう、’97年式のシルビアQ’sだ。純正オプションのエアロに、SSRメッシュを履いたシンプルなスタイル。

「なぜビンテージオート誌に?」という疑問を抱くかもしれないが、その答えはエンジンルームの中にある。なんとこのS14シルビアは、フルチューンのL283.1リッターを搭載し、キャブレターの吸気音を堪能できる一台なのだ。これを製作したのは茨城県の谷島自動車だ。

フロントのみ社外のリップガードを装着するものの、純正エアロのみの装着で、驚くほどシンプルなフロント周り

製作を担当した谷島自動車のメカニックである齊藤さん。まずはこのクルマを作った経緯を聞いてみた。

「大前提として、自分はL型が大好きなんです。そこで、より剛性のあるボディと進化した足回りのボディにL型をスワップすることで、もっと快適になるはずと単純に思ったのがきっかけです」

ベースに選ばれたのは、NAエンジンを搭載したシルビアQ’sAT仕様。これをベースにソレックスのφ50キャブを装着し3.1リッター化したL28と、カメアリクロスを組み込んだ5速マニュアルトランスミ ッションを搭載。シンプルなシルビアの外観からは想像もできないL型の排気音とキャブの吸気音を堪能できるスペシャルな一台となった。

サイド及びリアも純正オプションのエアロを装着

「元々シルビアにはRBをスワップした事例もあったため、スペース的には問題なさそうということはわかったので、とりあえず搭載してみたんです。結果としてコアサポートを若干カットしてラジエターを前方に移動しただけでエンジンはすんなり搭載できました。エンジンルームはディテールアップするにあたり、サイクルフェンダー化しました。ブラックにペイントし、配線や配管もある程度ヒドゥンしています」

こうしてL型を堪能できる世にも珍しいシルビアが完成。Zやハコスカといった車両から考えると、かなり進化したシャシーと足回りを駆使して、L型エンジンをとことん楽しむことができるようになったそうだ。これまでありそうでなかった逆転の発想で完成したこのシルビアの登場によって、旧車を楽しむ新しい形が誕生したといっていいだろう。

’97年モデルゆえに後期型テールが備わる。こういったパーツもまだ入手が容易というのも大きなメリットだ
マフラーはこの車両のためにワンオフで製作したステンレス製。触媒を装着することで、公認も取得している
ホイールはSSRメッシュで、フロント16×8+12、リア16×9+22。これにそれぞれ205/45、225/45サイズのタイヤを履く
この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

Pick Up おすすめ記事

シルバーをアートに変える、現代の錬金術師。

  • 2025.09.24

ネイティブアメリカンの伝統技法をベースに現代的なエッセンス、そして日本独自の繊細な美意識を加えることで唯一無二の世界観を紡ぎ出すFIRST ARROW’s。一片のシルバーの塊に命を吹き込むその様は まさに現代のアルケミスト(錬金術師)という表現が相応しい。これらの作品は貴方が身に付けることで完成する...

デニムにする? コーデュロイにする? エドウインのトラウザーズを軸に作る「シン・トラッドスタイル」

  • 2025.09.19

ジャパニーズアイビーのボトムスは、太ももから裾まで太さが一定のパイプドステムが主流であった。対してタック入りのトラウザーズは、1920年代に登場したといわれる、よりクラシックなボトムス。そんな旧きよきトラウザーズを軸に、いつものトラッドスタイルを刷新してみてはいかがだろうか。 【右】トラウザーズ2万...

東洋エンタープライズがこれまでに培ったノウハウや知見の集大成「モダクト」と「タフナッツ」

  • 2025.09.19

「シュガーケーン」や「バズリクソンズ」など、ヴィンテージをベースとした生地やディテールの圧倒的な作り込みで知られる東洋エンタープライズ。そんな同社が手がけるブランド、「モダクト」と「タフナッツ」は、これまでに培ったノウハウや知見の集大成でありながらどんな日常のシーンでも使いやすい実用性を備える。映画...

レザーラバー必見! 革ジャン用に作られた薄手のスウェットをゲットせよ!

  • 2025.09.30

革ジャン専用のTシャツをリリースし、レザーラバーから絶大な支持を受けるブランド「ハイウェイナイン」。ライトニング別注の「Lightning Leather Lover Tシャツ」のボディにも使われているので、愛用している方も多いのでは? そんなハイウェイナインが、レザーラバーのために新たなアイテムを...

Wranglerの走破性は本物か? オフロード体験会で徹底検証

  • 2025.10.03

筑波山の麓で開催されたジープのオフロード体験イベントは、ジープオーナーはもちろん、新規顧客にとってもジープの魅力を存分に感じられる特別な一日となった。専用のオフロードでラングラーならではの走破性を体感でき、オーナー同士の交流も見られた。今回は現地取材を通して、その模様と参加者のリアルな声をお届け。 ...