明確なテーマを設定しあえて5ナンバーを維持。
エンジンスワップに代表されるアップデート系カスタムは、スワップドナーの幅も広がり、その手法も多くの選択肢から選べるようになってきた。そんな状況だからこそ、しっかりとテーマをもって製作することで、クルマの個性は際立ってくる。ここで紹介するのは、プロデュース初期からしっかりとしたテーマを設定し、製作された好例といえるロッキーオートのZだ。
渡辺代表にそのテーマを聞いてみると、「テーマは現代的にアレンジしたZ432です。だからあえてオーバーフェンダーの備わらないナローボディで、エンジンもRBターボとすることで、公認後もナンバーを維持できるように製作しました」
ベースとなったのは’73年式の北米輸出仕様。つまり左ハンドルの240Zだ。5ナンバー枠で登録するために、あえてオーバーフェンダーは装着しないナローボディ仕様とし、合わせてロッキーオートが所有していた右ハンドルのダッシュに交換して右ハンドル化している。
そんなボディに搭載されるエンジンは、RB用の6連スロットルとサージタンクを流用したRB DETだ。燃料制御はF–con V Proを使用し、2リッターながら約250馬力を発生するパワフルなユニットだ。6連スロットルを装着した2リッターのツインカムエンジンというスタイルは、渡辺代表の言葉どおり、Z432をオマージュした結果なのはいうまでもないだろう。これに同じR33用の5速マニュアルミッションを搭載。5ナンバーながら、快適に故障を気にせずドライブを堪能できる一台が完成したのだ。
もちろんアップデートされたのはエンジンだけではない。エンジンのスワップに伴って、オートエアコンはもちろん、パワステも完備。またフロントにはタイプMの対向4ポットキャリパーを装着し、ストッピングパワーも強化している。
「当社で行なっているエンジンスワップとしては、RB20は決してパワフルなパワーソースではありませんが、やはり5ナンバー枠に収まるというのは大きな魅力です。ナローボディを公道で目一杯楽しむには、このくらいのパワーがちょうどいいのではないでしょうか」と渡辺代表。
明確なテーマとそれを実現する技術力によって、絶対的なパワーだけではない魅力をもったこのオレンジZ。いざ路上に出れば2リッターとは思えないほどのパワフルなRB20ターボが目を覚まし、ナローボディのZをキビキビと走らせる。全体的にバランスのとれた、乗って楽しい5ナンバーのZだ。
1973 DATSUN240Z with RB20TURBO|踏んでも、怖くない。だからスポーツ走行が楽しめる。
エンジンはR33のRB20ターボで、6連スロットルやサージタンクはRB26用を流用。F-con V Proで制御することで、約250馬力を発生する。
6連スロットルとサージタンクはGT-RのRB26ユニットから流用したもの。中低速のレスポンスがアップするため、RB20との相性は非常によいそうだ。
レザーで表皮を張り替えられた右ハンドル用ダッシュを使用して、元々左ハンドルだった車両を右ハンドルに。違和感なく仕上がっている。
RB用5速マニュアルのシフトレバーは純正とほぼ変わらない位置に。その前にはハザードとリアデフォッガーのスイッチを配置している。
ステアリングはコラムを含めて全てドナーであるR33スカイライン用を使用。当然ながらパワステ化されており、軽快な操作が可能。
3連メーターの華氏表記、ボンド表記に北米仕様の名残がある。
センターコンソールにはオートエアコンの操作パネルを配置。夏場も快適クルーズが可能だ。
シートも社外品を装着する例が多いが、Z432 をモチーフにしたこの車両は、あえてオリジナルシートをキープ。シートの状態もいい。
バッテリーはラゲッジスペースに移設。専用のアルミケースでマウントされる。
【SPEC】
●エンジン:RB20DET型改 ●排気量:2000cc ●トランスミッション:5速マニュアル ●サスペンション:フルタップ車高調 ●ホイール:ワタナベ8スポーク ●タイヤ:(F&R)205/55-15
【DATA】
ロッキーオート
〒444-0003 愛知県岡崎市小美町字殿街道153
TEL0564-66-5488(商談予約・問い合わせ)
営業時間:10:00~19:00
※情報は取材当時のものです。
(出典/別冊Lightning Vol.231「VINTAGE AUTO 快適旧車のススメ。」)
Photo & Text / D.Katsumura 勝村大輔
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