【クルマ専門店ガイド】空冷フォルクスワーゲンの老舗専門店。フラットフォー|神奈川県横浜市

  • 2023.02.21  2023.02.17

クルマの専門店をクルマとともに紹介していく好評連載『プロショップ・カーガイド』。今回訪れたのは、空冷フォルクスワーゲンの専門店として創業46 年の歴史を誇る老舗、フラット4。これまで長らく東京の目黒通り沿いに店舗を構えていたが、昨年末に横浜本牧へと移転してリニューアルを果たした。ショップには余裕のあるカスタマーパーキングが併設。2階は広いショールーム、1階にはフラット4 が所有するコレクションカーが展示され、販売車両も数多くストックされている。これから空冷VW に入門したい人にもお勧めのショップだ。

老舗フォルクスワーゲン専門店が、広いショールームやパーキングを備えた店舗に移転リニューアル。

店内には数多くのパーツがディスプレイされているほか、貴重なコレクションカーの展示も行われている。またショールーム一角にはレストアされたヴィンテージジュークボックスが展示販売される

創業から長きにわたって東京の世田谷や目黒で店舗を構えてきたフラット4だが、昨年末に横浜本牧に移転。駐車場を併設した広いショールームとなった。

パームツリーがそびえる店舗には、アメリカンなオールディーズが流れ、ジュークボックスやネオンサインが並ぶ居心地のいい空間になっている。店舗は本牧通り沿いにあり、ムーンアイズエリアワンからも程近くアクセスも良好。今回はリニューアルしたフラット4で、おすすめの2台を紹介してもらった。

車両を紹介してくれたのは、フラット4で広報業務などを担当するスタッフの川崎さん。自らもキャルルックにカスタムしたビートルに乗るVW愛好家だ

近年、ザ・ビートルやニュービートルといった『ビートル』の名を冠した新車が発売されたが、そのオリジナルともいえるのが1938年にドイツで生産が開始された空冷エンジン搭載の『タイプⅠ』。

その後、輸出先のアメリカで西海岸を中心にキャルルック(California Look の略)と呼ばれる空冷VWのカスタムカルチャーが生まれる。これはホットロッドと同様にドラッグレースに出場するストリートレーサーから派生したスタイルだ。

1967 VOLKSWAGEN TYPE-1 “CAL-LOOK”

この車両は北米に輸出された’67年式のビートルをベースにフロントの車高を下げ、北米仕様はダブルバンパーとなるところを、あえてシンプルなシングルバンパーにコンバート。すっきりとした見た目にするのもキャルルックの定番ともいえる手法のひとつ。

フロントの車高を下げたシンプルかつスポーティなスタイルと、ドラッグレースで培ったチューニングエンジンがキャルルックの基本。リアからチラリと見えるマフラーもハイパフォーマンスを連想させる

この時代のエンジンは1300ccや1500ccとなるが、この車両はクランクやピストンを交換し、エンジンの排気量を2007ccまで拡大。これにツインキャブを装着することで、純正の倍近いパワーを手に入れている。

エンジンはロングストローククランクやボアアップピストンを使用して組まれた2007ccのチューニングエンジン。ツインキャブを装着することで驚くほどパワフルに走ることができる

ちなみにリアフード上部が浮いているのは、エンジンルーム内の熱を効率よく排出するため。リアバンパー下にチラリと見えるマフラーと共に、スポーティな見た目にもひと役買っている。

専用のブラケットを使用してリアフード上部を浮かせるのは、エンジンルームの排熱を目的としたもので、スポーティな見た目にも貢献している
ホイールは、FLAT4とENKEIがコラボレーションしたFLAT4/ENKEI 5スポークをチョイス。フロントの車高を下げ、ひとまわり小さなタイヤを装着
ステアリングは’60年代にアメリカでポピュラーだったEMPI社製をFLAT4でリプロダクションしたもの。シフトレバーはショートストロークのアメリカGENE BERG社製
シートは純正と同じブラックのレザレットで張り替えられ、フロアにも新品のカーペットを貼りなおすことで、まるで新車同様の状態

フォルクスワーゲン社はビートル(タイプⅠ)の成功を追い風に、派生モデルを続々登場させる。まずは’50年にワンボックス型ボディを持つトランスポーター(タイプⅡ)を、そして’61年により現代的な3ボックスデザインのボディを持つVW1500(タイプⅢ)を発売する。

1967 VOLKSWAGEN TYPE-1 “CAL-LOOK”
全長:4079mm
全幅:1539mm
全高:1501mm
ホイールベース:2400mm
エンジン:空冷水平対向4気筒
排気量:2007cc
燃料供給方式:ツインキャブ
駆動方式:RR
乗車定員:5名
価格:518万円

1969 VOLKSWAGEN TYPE-3 NOTCHBACK AUTOMATIC

デビュー当時ビートルには1200ccのエンジンが搭載されていたため、タイプⅢは排気量の大きなエンジンを搭載した高級車だったのだ。ちなみにエンジンはビートルと同じ水平対向4気筒となるが、補器類のレイアウトを変更することで、エンジンをトランク下に配置。これによってフロントとリアにトランクを持ち、ビートルと比べて格段に荷物も収納できるようになった。

エンジンはビートルとは異なり背の低い補器類を使用し、リアトランクスペースの床下に収まっている。そのためビートルとは異なりリアにも荷物を収納可能。排気量は1600ccで、ツインキャブを装着する

タイプⅢは最初にデビューした3ボックスのノッチバックに加えて、後部がステーションワゴンの形状となったスクエアバックとスポーティなファストバックがラインナップに追加される。ビートル同様大きな形状変更をすることなく進化を続けるが、’74年にビートルよりもひと足先に販売を終了してしまう。

丸みを帯びたボディのビートルとは異なり、一般的な3ボックスセダンデザインとなったタイプ3。ホイールは純正のスティールホイールで、アルミ製のトリムリングでドレスアップされている

今回紹介するのは、’69年式のノッチバックで、この前年に登場したオートマッチック仕様という貴重なモデルだ。ただでさえビートルと比べて現存台数が少ないタイプⅢで、これほどのコンディションをキープした車両は非常に希少な存在だ。

内装もシートカバーが備わるが、その下にはオリジナルのブルーファクリックのシートが残る。またオプションのスライディングルーフを装備し、開放感のある車両となっている。

シートにはブラウンチェックのシートカバーが装着されているが、この下にはオリジナルのブルーファブリックのシートが新車当時のまま残る
このクルマは非常に珍しいファクトリーオプションのスライディングルーフを装着。開放感が高く人気のオプションだ
ビートルとは異なり、立体的なダッシュには3 連のメーターが配置される。中央のスピードメーターは160km/hフルスケールとなる

1969 VOLKSWAGEN TYPE-3 NOTCHBACK AUTOMATIC
全長:4225mm
全幅:1605mm
全高:1475mm
ホイールベース:2400mm
エンジン:空冷水平対向4気筒
排気量:1584cc
燃料供給方式:ツインキャブ
駆動方式:RR
乗車定員:5名
価格:386万円

【DATA】
FLAT4
神奈川県横浜市中区本牧和田12-4
TEL045-305-6900
営業/10:00〜18:00(土日祝は19 時まで)
休み/無休(GW、夏季休暇、年末年始を除く)
https://www.flat4.co.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年1月号 Vol.345」)

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