ライトニングを発行する枻出版社の社屋は、東京・用賀の環状八号線沿いにある。東名高速の東京インターが近いせいか、若者たちがヒッチハイク待ちしている光景をよく見かける。
段ボールに行き先を書き、ガードレールから身を乗り出す若者たち……あいつらに言いたい。「もっとカッコつけろよ」。別に、ドライバーに気を使っておしゃれをしろというのではない。せっかくヒッチハイクをするなら、気分を盛り上げるためにバッグやブーツ、アウターなど、「俺、いまから旅に出ます」感を高めるべきなのだ。
俺のアタマの中では、さすらいの旅人が使うバッグはダッフルと決まっている。ランボーや矢吹ジョーなど、さすらいの主人公は、みなダッフルバッグで登場した。このVASCOレザーダッフルバッグは、革好きの俺にぴったりの旅バッグ。サイドにジッパーが装備され、使い勝手は向上してはいるが、外にポケットもなく、バックパックなどに比べると、使いにくさは否めない。
VASCOレザーダッフルバッグ

でも俺はそんな小さいことは気にしない。こいつに必要最小限の荷物を詰め込み、ロードサイドに立つのだ。「名古屋」などと行き先を書いた段ボールを掲げるなど、無粋の極み。行き先なんかどこでもいい。俺は親指を立て、クールに待つ。すると1台のピックアップが止まる。「どこまで?」「行けるとこまで」。
俺はVASCOのレザーダッフルを無造作にピックアップの荷台に放り込み、助手席に乗り込む(本当は荷台に乗りたいところだが、捕まっちゃうからね)。あてのない旅を続けるほどに、革は馴染み、風合いを増し、まさに俺の“相棒”と化していく……以上、旅に出られないおっさんの妄想でした。


【問い合わせ】
VASCO
http://vasco-tokyo.com/
※掲載情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2019年7月号」)