【原宿ランチクルーズ】村上春樹も愛した「BLAKES(GHEE)」のカレー

 

「チェーン店ばかり」「グルメのイメージがない」原宿の食についてよく耳にするネガティブな印象。けれど表通りの向こう側、原宿の路地裏にはローカルのみが知るすばらしいお店があるのです。
今回はあの世界的な小説家も愛した原宿のカレーレストラン、〈BLAKES〉をご紹介します。

原宿は神宮前「GHEE」という伝説的カレー店がルーツ。

BLAKESの店主である赤出川治さんはカレーを作り続けて41年。1980年代には原宿の「GHEE」というカレーレストランで腕を振るい、その味は日本各地にフォロワー店を生み出し、日本のカレー文化発展に影響を残すシェフです。

「アメリカに住んでいると、ときどき神宮前の〈ギー〉の辛いカレーが食べたくなる」

『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』(新潮文庫)より引用

赤出川シェフのカレーに対する思いをそう綴ったのは小説家、村上春樹氏。同じくGHEEの常連であったイラストレーター、安西水丸氏との共著による『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』には、当時アメリカ在住だった氏が赤出川シェフのカレーを懐かしむ心情がGHEEの名前とともにはっきりと残されています。他にも若き日に赤出川シェフの下でアルバイトをしていたNIGO氏は、後年この味を再現したカレーレストランをオープン。赤出川シェフのカレーは文化人たちの創作の栄養となって、さまざまなカルチャーを生み出してきました。

伝説の名店は閉店。しかし奇跡の復活を遂げる。それが「BLAKES」。

2004年、GHEEは惜しまれながら閉店を迎えますが、赤出川シェフは2016年にBLAKESをオープン。伝説となっていた味を復活させたのです。

BLAKESを訪れる楽しさはコンビネーション選び。ビーフ、キーマ、バターチキン、野菜、ミルクなどいくつものカレーがいつも提供されていて気分に合わせてコンビを楽しめます。スパイスカレーブームなどもあって一般的となったカレーの盛り合わせですが、ライスを境にしたこの提供方法のルーツも赤出川シェフにあるのです。

オススメは「辛いカレー」。口でもお腹でもスパイスが弾けます。

BLAKESに行ったらぜひ食べてほしいのは「辛いカレー」、ビーフカレー。メニューにも「激辛」とある通り、とてもとても辛い。辛さを感じるのは痛覚というから、辛いのは身体からのアラートなのだろうか。それでもBLAKESのカレーがこんなにおいしいのはなぜだろう。

赤出川シェフに味の秘訣を聞くと、「レシピに化学調味料は何も入れていない」「さしすせそ」「カレーは煮物」といった言葉が。自然が育んだ食材、歴史が培った知恵、人の手の丁寧な仕込み。そういう本質的なものに心は反応するから、Blakesのカレーは今日も辛くておいしい。

こっくりと煮込まれた牛すじを食べるのもいつも楽しみ。刺激的な辛さの中で感じる脂の甘みは中毒になります。

聞くとスパイスの隠し味には日本の漢方も使われているよう。流す汗が心地よいのはきっとそのせいだ。気がついたらビールまではじめてしまう。はじまってしまいました。この組み合わせ、アブサン(*)のように魔性。食べ終えるころ、みぞおちに感じるのは香辛料のぱちぱちとしたきらめき。そんな余韻までBLAKESの魅力です。

*編集注:ヨーロッパで生産されて19世紀ごろからパリを中心に各地で愛飲されたが、相次いだ中毒者や向精神作用の疑いから禁止とされた薬草酒。ランボーやワイルドといった詩人、ゴッホやロートレックをはじめとする数々の芸術家を虜にした。

原宿から食と文化を生み出すBLAKES、原宿に来た際にはぜひお立ち寄りを!

 

[INFORMATION]

BLAKES(GHEE)
東京都渋谷区神宮前2丁目20-13 TNビル2F(原宿駅 徒歩約15分)
TEL 03-6721-0468
Lunch 12:00〜15:30 Dinner 18:00〜21:30
日曜・祝日定休

P.S.シェフの選曲にも耳を澄ますのが通の作法。

店内では70年代初頭の洋楽を愛聴する赤出川シェフの選曲による音楽が流れることも。その選曲がすばらしく、ぜひBGMにも耳を傾けてみてください。

この記事を書いた人
glamb テリー
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glamb テリー

「glamb」プレスマネージャー。早大在学中に身につけた音楽や文学の知識を見込まれ、glambに入社、原宿歴15年弱。洋服とロックと原宿生活をライフワークとするアパレル界きってのロック通。
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