早々にヘコたれないタフなシューズ。
1800年代中期から末期にアメリカ西部で起きたゴールドラッシュ期のホーボースタイルを意識して製作したというホースシングル。ライニングなしの1枚革を採用し、先芯なし、ノーメンテでこの風合いとなった。
「作ったのは10年ほど前。実際に履いていたのは5年前後かと思います。この靴で雨の日も風の日もどんな時も毎日履いていましたね。メインテナンスは全くしていません。雨に濡れて、乾いて、また濡れて乾いてのループ。湿気と乾燥を繰り返さないとこの風合いは出ないですね」
マテリアルにはホースバットと呼ばれる馬の尻の革を採用。アンライニングの靴であるため、3.2ミリという通常よりも厚めの革ではあるが、ライニングをつけた革とあまり大差はないという。
「素材で見ると厚めで馴染みにくく、履きづらいのいでは? と思うかもしれませんが、一枚革なので想像以上に足への馴染みは良いんです。この靴のテーマはヘコたれない靴でしたから、結果として成功ですかね。かなりハードに履き続けて、こんな風合いになりましたがヘコたれていませんからね」
10年ほど前に作ったモデルでホースバットと呼ばれる馬尻の革を1枚仕立てで製作したオックスフォードシューズ。革は通常よりも厚めの3.2㎜を採用しているが、アンライニングである分、足馴染みが良いシューズとして長く愛用している。現在も継続して製作。
(出典/「CLUTCH2024年5月号 Vol.95」)
Photo by Nanako Hidaka 日高菜々子 Text by Tamaki Itakura 板倉環