ヴィンテージミリタリーウエアのリプロダクションを手掛けることで世界的評価の高いBUZZ RICKSON’S。長年、ディレクターを務める亀屋康弘氏が選ぶとっておきのヴィンテージは、銘品として名高いA-2だ。最初に手に入れたヴィンテージは検証のために解体してしまったという、亀屋さんとA-2とのエピソードを聞いた。
初めて買ったA-2は、検証のために解体。
リプロダクションを手掛ける上で、個体そのものの検証は必要不可欠。BUZZRICKSON’Sのクオリティの高さは、幾度となく、そして膨大な数のヴィンテージを検証してきた何よりの証明と言える。長年、作り手として携わってきたディレクターの亀屋氏だが、当然、フライトジャケットをこよなく愛する絶対的ファンでもある。
レザーフライトジャケットの魅力に惹かれ、憧れた学生時代。現在、作り手として活躍していることは、当時の彼にとって、思いもしなかったはずだ。社会人になって初めて手にしたヴィンテージのA-2は、すでに検証のためにバラバラになってしまったという。

「縫製やパターンの検証として分解するのはもちろん、メインマテリアルの革がどう鞣されているかを知るには革を燃やし、その燃え残りで判断します。特にラフウエア社が製造していたA-2は5回の納入があり、同じミルスペックでありながらも作りの微差が重要なディテール。
5度の納入モデルは、すべてコンプリートこそしているものの、検証するのに限度はないので、いまでも国内外問わず探しています。なかでもコンディションの良いとっておきです」
同コントラクターでも納入期により生じる微差が興味深い。
1942 U.S. ARMY AIR FORCES TYPE A-2 ROUGH WEAR CLOTHING CO.
「ラフウエア社がA-2を納入したのは合計5回。すべての納入モデルはコンプリートはしていますが、見比べると革の色、襟の大きさ、リブなどに微差が見られるのが、A-2ファンにとって心をくすぐるポイント。購入したのは20年ほど前ですが、後にも先にもこれほどまでにコンディションの良い状態を保ったヴィンテージの個体は、なかなか見つかることはありません」
(出典/「CLUTCH2023年6月号 Vol.91」)
- MEDIA :
- CLUTCH Magazine
- CREDIT :
- Photo by Sadato Ishizuka 石塚定人 Text by Tamaki Itakura 板倉環