「HIGH-LIGHT」Owner・菊池裕平さん
1993年にヴィンテージショップ「HIGH LIGHT」を東京・高円寺にオープン。インダストリアル家具の買い付けから始まり、内装や空間プロデュースなどを主に生業とする。
ニューヨークの家具屋から影響を受け今のスタイルに。
菊池氏がHIGH LIGHTの屋号を掲げたのは今から30年前。東京・高円寺で良質な古着を扱うヴィンテージショップを営んでいたのはよく知られた話。しかし時の経過とともに内装や空間を手掛ける巨匠として知られるようになり、セレクトショップや飲食店の内装も多く手掛けてきた。
「きっかけはニューヨーク。それまで古着の買い付けはアメリカの西側中心で、行ったとしても中央まで。当時、たまに入ったアメリカ東部では欧州ものも結構入っていて、もちろん都会だからパリだの、ロンドンだのといったテイストで家具屋をやっているのが新鮮で、古着屋なんだけど、家具も一緒にやっているお店が、すでに20年以上も前からあって、それがすごくカッコよかった」
現在、都内の店舗は一時的のクローズし、新たな店舗を計画中。もちろん空間はすべて菊地氏が手掛ける。現在、拠点としているアトリエは改装した古民家。「和」の空間にインダストリアル、アメリカ、ヴィンテージの融合は容易には想像できなかったが、彼のアトリエを訪れると気持ちの良い空間に仕上がっていた。菊池氏曰くこの家は和洋折衷がテーマ。彼の作品ではあまり見かけない新たな側面をみることができた。
和洋折衷な空間に馴染む、菊池氏のコレクション。
1920~1930年代のスポーツジャケット。左腕、背面にワッペンカスタムが施してあるコットン製のジャケットはヴィンテージならではの佇まいが良し。
コーデュロイにムートン、ボアを使用した1930年代頃に作られたクラシカルなダブルブレストのコート。素材のコンディションが抜群で、大切にしている1着。
昔、バイクショップの企画でアメリカで作ったもの。最近、再びスタジャンが着たいと思っていたこともあり、クローゼットから出していた1着。背面には「Little Wing」の刺繍が入れられている。
左は旧いボーイスカウトのベルト。バックルの留め具が蛇を象っている。右は知人が手がけるシルバーブランドのもので蜘蛛をあしらって作ってもらったもの。
年代物のオモチャのピストルは貰い物。可愛らしい文字の刻印が施されているがおそらくハンドメイドされたもので、空間のインテリアとしてさりげなく置いてある。
蛇腹の洋服掛けにヴィンテージハンガーを使用し、吊り下げられているのは、Leeのストームライダーと101J。いずれも1950年代の赤タグを装備し、インディゴも7割以上残されたグッドコンディションのジャケット。
(出典/「CLUTCH2023年4月号 Vol.90」)
Photo by Masahiro Nagata 永田雅裕 Text by Tamaki Itakura 板倉環