数々の名店を手掛けてきた「ハイライト」菊池氏の古民家をリノベしたアトリエ。

インダストリアルファニチャーを使用したショップやアトリエなどの空間作りにおいて、ここ日本でパイオニアとして知られるHIGH-LIGHTの菊池裕平氏。数々の名店を手掛け、空間のレジェンドとして知られる彼が、現在拠点としている古民家をリノベートしたアトリエを見せてもらった。

「HIGH-LIGHT」Owner・菊池裕平さん

1993年にヴィンテージショップ「HIGH LIGHT」を東京・高円寺にオープン。インダストリアル家具の買い付けから始まり、内装や空間プロデュースなどを主に生業とする。

ニューヨークの家具屋から影響を受け今のスタイルに。

デスクワークを行う書斎。高い天井を利用した大きなタペストリーや家具の配置。

菊池氏がHIGH LIGHTの屋号を掲げたのは今から30年前。東京・高円寺で良質な古着を扱うヴィンテージショップを営んでいたのはよく知られた話。しかし時の経過とともに内装や空間を手掛ける巨匠として知られるようになり、セレクトショップや飲食店の内装も多く手掛けてきた。

「きっかけはニューヨーク。それまで古着の買い付けはアメリカの西側中心で、行ったとしても中央まで。当時、たまに入ったアメリカ東部では欧州ものも結構入っていて、もちろん都会だからパリだの、ロンドンだのといったテイストで家具屋をやっているのが新鮮で、古着屋なんだけど、家具も一緒にやっているお店が、すでに20年以上も前からあって、それがすごくカッコよかった」

キッチンにはグラスを収納可能な照明を吊り下げ、どの部屋も彼が落ち着く空間となっている

現在、都内の店舗は一時的のクローズし、新たな店舗を計画中。もちろん空間はすべて菊地氏が手掛ける。現在、拠点としているアトリエは改装した古民家。「和」の空間にインダストリアル、アメリカ、ヴィンテージの融合は容易には想像できなかったが、彼のアトリエを訪れると気持ちの良い空間に仕上がっていた。菊池氏曰くこの家は和洋折衷がテーマ。彼の作品ではあまり見かけない新たな側面をみることができた。

適度にアンティーク小物やアートが差し込まれ、観葉植物やドライフラワーなどがアクセントとなっている
部屋を照らす照明器具のほとんどは、柔らかな光を放つ電球色にインダストリアル家具で揃えられている
古民家の日本的な造りとインダストリアル、アメリカ、ヨーロッパヴィンテージなど、部屋には多国籍なヴィンテージプロダクツが置かれる。テーブルには日本古来の木製人形、こけしも空間に馴染んでいる

和洋折衷な空間に馴染む、菊池氏のコレクション。

1920~1930年代のスポーツジャケット。左腕、背面にワッペンカスタムが施してあるコットン製のジャケットはヴィンテージならではの佇まいが良し。

コーデュロイにムートン、ボアを使用した1930年代頃に作られたクラシカルなダブルブレストのコート。素材のコンディションが抜群で、大切にしている1着。

昔、バイクショップの企画でアメリカで作ったもの。最近、再びスタジャンが着たいと思っていたこともあり、クローゼットから出していた1着。背面には「Little Wing」の刺繍が入れられている。

左は旧いボーイスカウトのベルト。バックルの留め具が蛇を象っている。右は知人が手がけるシルバーブランドのもので蜘蛛をあしらって作ってもらったもの。

年代物のオモチャのピストルは貰い物。可愛らしい文字の刻印が施されているがおそらくハンドメイドされたもので、空間のインテリアとしてさりげなく置いてある。

蛇腹の洋服掛けにヴィンテージハンガーを使用し、吊り下げられているのは、Leeのストームライダーと101J。いずれも1950年代の赤タグを装備し、インディゴも7割以上残されたグッドコンディションのジャケット。

(出典/「CLUTCH2023年4月号 Vol.90」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「BILTBUCK」の2025年は新素材によって既存モデルを再解釈した革ジャンに注目だ!

  • 2025.11.03

伝統と革新を往来しながら、レザーの魅力を追求するビルトバック。2025年のコレクションは、オリジナルレシピで仕立てた渾身の新素材によって既存モデルを再解釈。質感と経年変化、レザーの本質的な美学を磨き上げ、洒脱な大人たち〈Hep Cats & High Rollers〉へ贈る、進化であり深化の...

“黒のコロンビア”って知ってる? オンオフ自在に着回せる、アップデートされたコロンビアの名品を紹介!

  • 2025.10.21

電車や車といった快適な空間から、暑さや寒さにさらされる屋外へ。都市生活は日々、急激な気温差や天候の変化に直面している。実はその環境こそ、自然で磨かれた「コロンビア」の技術が生きる場だ。撥水性や通気性といったアウトドア由来の機能を街に最適化し「コロンビア ブラックレーベル」は、都市生活者の毎日を快適に...

渋谷、銀座に続き、ブーツの聖地「スタンプタウン」が東北初の仙台にオープン!

  • 2025.10.30

時代を超えて銘品として愛されてきた堅牢なアメリカンワークブーツが一堂に会するブーツ専門店、スタンプタウンが宮城県仙台市に2025年9月20日オープン! 東北初となる仙台店は北のワークブーツ好きたちにとって待望の出店となった。 珠玉の銘品たちがココに揃う。 ブーツファンが待ち焦がれた東北エリア初となる...

進化したSchottの定番、冬のレザースタイルはこれで決まり!

  • 2025.10.30

アメリカンライダースの象徴であるSchottが、原点回帰とも言える姿勢で“本気”を見せた。伝統のディテールに、現代的な技術と素材を融合。武骨でありながらも軽快、クラシカルでありながらも新しい。進化したSchottの定番が、冬のレザースタイルを再定義する。 668US SPECIAL HORSEHID...

【J.PRESS×2nd別注】こんなイラスト、二度と出会えない。 著名イラストレーターとのコラボスウェット。

  • 2025.10.21

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【J.PRESS×2nd】プリントスウェットシャツ【AaronChang】 アメリカにある優秀な8つの大学を総称して...

Pick Up おすすめ記事

【J.PRESS×2nd別注】こんなイラスト、二度と出会えない。 著名イラストレーターとのコラボスウェット。

  • 2025.10.21

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【J.PRESS×2nd】プリントスウェットシャツ【AaronChang】 アメリカにある優秀な8つの大学を総称して...

革ジャン職人が手掛ける、経年変化するレザーハット気にならない?

  • 2025.10.31

気鋭のレザーブランド「KLOOTCH」のレザーハットラインとしてスタートした「Brunel & Co.」独学のレザージャケット作りで磨いた革の感覚を、“帽子”という舞台で表現する──。自らの手仕事で理想の革を探求する職人が辿り着いた、新たなレザークラフトの到達点。 革ジャン職人の手が導く、生...

“黒のコロンビア”って知ってる? オンオフ自在に着回せる、アップデートされたコロンビアの名品を紹介!

  • 2025.10.21

電車や車といった快適な空間から、暑さや寒さにさらされる屋外へ。都市生活は日々、急激な気温差や天候の変化に直面している。実はその環境こそ、自然で磨かれた「コロンビア」の技術が生きる場だ。撥水性や通気性といったアウトドア由来の機能を街に最適化し「コロンビア ブラックレーベル」は、都市生活者の毎日を快適に...

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

革ジャンの新機軸がここに。アメリカンでありながら細身でスタイリッシュな「FountainHead Leather」

  • 2025.10.31

群雄割拠の革ジャン業界において、カルト的な人気を誇り、独自のスタイルを貫くファウンテンヘッドレザー。アメリカンヘリテージをベースとしながらも、細身でスタイリッシュ、現代的な佇まいを見せる彼らのレザージャケットは、どこのカテゴリーにも属さない、まさに“唯我独尊”の存在感を放っている。 XI|シンプルな...