制式採用された栄誉ある時計。海軍に支給されたミリタリーウォッチの魅力とは?

  • 2023.02.03

ヴィンテージウォッチの分野でも極めてマニアックなミリタリーウォッチ。国内随一の品揃えを誇る名店キュリオスキュリオの萩原秀樹氏への取材を交え、海軍に支給されたモデルの魅力について解説する。

王道のダイバーズから幻のモデルまで見つかる。

「HIDEKI HAGIWARA」萩原秀樹さん|ミリタリーウォッチに特化したヴィンテージ専門店として内外で定評があるキュリオスキュリオのオーナー。確かな知識と豊富な経験に多くの時計コレクターが信頼を寄せている

ヴィンテージウォッチの世界において、海軍が使用していたミリタリーウォッチとは、どのような特徴や魅力があるのか。このジャンルの第一人者であるキュリオスキュリオの萩原秀樹さんは、次のような見解を述べた。

「海軍の腕時計となると、やはり王道はアメリカ軍でしょうか。この1年間で、BENRUSのタイプⅠとタイプⅡが二倍近い価格で取引されるようになりました。人気の理由は、ブランドロゴすら入らない文字盤、マットな質感に仕上げたケースなどに見られる、軍用モデルらしいストイックなデザインにあります。ワンピース構造のケース設計なども面白いのですが、スペック云々よりも見た目に惹かれる人が多いと思います。それなりに数があるので、根気よく探せば見つかるはずです」

その一方で、萩原さんが最近手に入れたというIWCのダイバーズウォッチは、これらと一線を画す魅力を放っている。

こちらのクロノグラフ3本はすべて萩原氏の私物。いずれのモデルも希少性がずば抜けて高いコレクターズアイテムであり、入手は極めて困難であると言わざるを得ない。右から順に、LEMANIA シリーズ3(1960年代製造、オーストラリア海軍)、LEMANIA シリーズ2(1960年代製造、イギリス海軍潜水艦乗務員用)、HANHART タキテレ(1940年代製造、ドイツ海軍砲撃部隊)

「ポルシェデザインが手掛けたオーシャン 2000の軍用バージョンは全部で7種類あり、ベゼルが黒で分針が赤であることが主な特徴です。こちらのRef.3519は、西ドイツ海軍のマインダイバーのために作られた世界で50本しか存在しない超レアモデルで、文字盤にはトリチウムを意味する3Hのマークが入ります。2000mまで潜水できる完璧な防水性能に加え、チタンケースなので軽やかな付け心地で使いやすいですね」

ダイバーズウォッチ以外にもクロノグラフなどの選択肢があることも海軍の腕時計の魅力であり、奥行きだと言える。

「クロノグラフも面白いモデルが見つかります。パーツやディテールにはすべて意味があって、夜光付きの黒文字盤はパイロット用、潜水艦乗務員用ならコントラストを効かせた夜光なしの白文字盤と、用途に応じて分けられています。ダイヤルの表記やケースバックの刻印も同じようなことが言え、どこの軍隊なのかを識別できるようになっています。

ヴィンテージに該当する時代の腕時計については、エリート部隊に支給されていたことから、特殊な仕様や製造本数が少ないモデルが存在します。あまりも希少であることから、実機を見ることさえ難しいモデルも少なくありません。僕自身、何十年も探し続けて、ようやく手に入れた時計が何本かあります」

ミルスペックについて記載されたBENRUS タイプⅠとタイプⅡに関する説明書。こちらはオリジナルではなくコピーだが、それでも入手が難しいと言われている

制式採用された栄誉ある時計がこちら!

【1960s】BENRUS TypeI Class A(右)

アメリカ海軍をはじめ、幅広い部隊に支給されていたBEN RUS タイプⅠ。まるで鉄の塊のようなケースと超シンプルな文字盤の組み合わせが人気。1979年製造、自動巻き(Cal.KG1D2)、ステンレススチールケース、径39㎜、¥980,000

【1960s】BENRUS TypeII Class A(中)

BENRUS タイプⅠと同時期にアメリカ海軍に支給されていたダイバーズウォッチで文字盤の仕様に違いがあるが、防水性能を含め、スペックはほぼ同レベル。1973年製造、自動巻き(Cal.GS1D2)、ステンレススチールケース、径39㎜、¥780,000

【1960s】PORSCHE DESIGN by IWC OCEAN 2000(左)

1980年代から1990年代にかけて製造されたオーシャン2000。その中で最も希少性が高いのが、50本しか存在しない西ドイツ海軍のマインダイバー用モデル。Ref.3519、1988年製造、自動巻き(Cal. 3755AM)、チタンケース、径4 2㎜、スタッフ私物

【DATA】
Curious Curio
東京都港区南青山4-26-7 +8ビル 302
TEL03-6712-6933
https://curious-curio.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2023年2月号 Vol.89」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部