大淵毅とシャンブレーシャツ。“それぞれのシャツにそれならではの魅力がたっぷりと詰まっている”。

デビューシーズンに作ったシャンブレーシャツがパリのエミスフェール、すなわちピエール・フルニエにもバイイングされたという「ポストオーバーオールズ」大淵さんの秘蔵品はどんなもの?

たいしたものじゃない。そこにある奥行きも堪能。

「ポストオーバーオールズ」大淵 毅さん|1962年、東京生まれ。25歳で渡米。93年にポストオーバーオールズを始動し、NYで活動。19年から東京に拠点を移している

「いかに生地をケチって、速く縫うか……。それしか考えてないような、まるで〝ジャンクフードの洋服版〟みたいなシャンブレーシャツにも、それならではのアジがあるんですよね(笑)」

ラルフ・ローレンの創造物にも、海軍や消防署の支給品にも、ジャンクフードの洋服版にも……。大淵さんは、あらゆるシャンブレーシャツに奥行きを見出し、着倒し、自身のブランドでも1993年の設立時からリリースしてきた。

「いいものを着ているからといって、格好よく見えるわけではないと思っています。自分のなかで価値を見つけることが大事でしょう。僕の場合は、〝たいしたものじゃない〟と言えるようなシャンブレーシャツが特に好きです。たとえるなら、佳作と呼べるようなもの。そういうものほど、着た時のゆるさがそこはかとなくいいんです」

気取っていない、良すぎない、最優秀作ではない佳作の世界線。そうした次元に身を投じ、自由に着てみる。他にはない享楽が、シャンブレーシャツにはあるのだ。

大淵さんが愛用するシャンブレーシャツより厳選して紹介。

「作業着か囚人服のイメージしかなかったシャンブレーシャツをファッションにした最初の人がラルフ・ローレンだと思います」70年代のポロ。

「少し縦に長いポケットの形が好き」30年代のUSネイビー。

「綿ポリのシャンブレー。どうでもいい作り方ですが、着た感じはいい」70~80年代初めのビッグヤンク。

「ホームスパンのような味わいのあるシャンブレーですね」10~20年代のブレイブマンシャツ。

「ワンポケットだと着た時に張り切った感じがしない。それが好きでよく着ていた」40年代のUSVA=米国退役軍人省。

(出典/「2nd 2023年2月号 Vol.191」)

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