若かりし彼を刺激した米英の2ブランド。
映画『サタデーナイトフィーバー』で主演を務めたジョン・トラボルタ。彼がスクリーンの中でビットローファーを履き躍動する姿に、横瀬さんは衝撃を受けたという。
「驚きましたね。革靴を履いてダンスを踊るなんて。そして視線はもう革靴に釘付け。素敵だな〜と思いました」
程なくして業界の門をくぐり、多くの靴と触れ合う中でアメリカ靴への憧れを強めることに。中でも刺激的だったのが今はなきネトルトンだ。
「アメリカのメーカーですがイタリア的モノ作りをされていた。とても印象的でした」
そして、ネトルトンに匹敵するほど影響を受けたのがトリッカーズである。
「マーガレットハウエルのお店で初めて見てすごい靴だと思いましたね。当時でも値段は高く、20歳そこそこの若僧が買える代物ではありませんでした。それが今や仕事を一緒にしているのですから人生とは面白いものです」
そんなトリッカーズとの思い出深い仕事がある。
「卸先の方にメリージェーンのメンズ版を作りたいと相談され、私がデザインを提案しました。今でもよく受けてくれたなと思いますよ」
【横瀬流革靴スタイル】革靴に足を通すことで得られる品格。
「革靴に対して構えて欲しくはありませんが、ただ、履くこと自体が自身のクラス感を高める手立てになる。僕らはそれを伝えていく義務があると思っています」と横瀬さん。確かに、品や大人っぽさをスタイルに求めるなら、スニーカーを選択肢に入れることは考えにくい。となればやはり選ぶべきは革靴。横瀬さんのスタイルがそれを静かに教えてくれる。
【ON】モダンを秘めた紺ジャケを優しく見守る老舗の名モデル。
一見、アメトラの王道的合わせですが、ジャケットは祐真朋樹氏がディレクターを務めるランバンコレクションの一着。トラッドの中にモードな一面を見せる異色をウォークブラウンのトリッカーズが優しく受け止めます。
【革靴コレクション②】トリッカーズ
バートンに匹敵する名盤、ウッドストック。「トリッカーズといえばオレンジがかった革が特徴ですが、こちらはウォークブラウンと呼ばれ、ほんのりエレガントな表情を醸し出します。その存在感は別格ですね」
【OFF】モノトーンコーデに添えたコンビレザーの遊びココロ。
着用したのはコム デ ギャルソンのジャケットにJプレスのシャツ。「モノトーンの配色によるシャープな合わせですが、足元に配色をひろったコンビレザーのローファーを入れたことでさりげなく遊びココロを加えています」
【革靴コレクション③】パラブーツ
「革靴といえば公の場ではく由緒正しき履き物ですが、1880年頃、アメリカではリゾートシーンを想定したこんなコンビ靴が流行りました。そんな背景もイメージしながら、ビームスさんと作った別注モデルです」
まだまだあります革靴コレクション! 欧米のクロスオーバーが痛快なラインナップ。
「若い頃はヨーロッパかぶれのアメリカ靴が好きでしたが、様々アイテムを見ていく中で、今度はアメリカかぶれしたヨーロッパものが好きになりました」。それがトリッカーズであり、パラブーツであり、アフルレッドサージェント。あらゆる国のあらゆる革靴を目の当たりにし、足を通してきた横瀬さんならではの、バリエーションに富んだ革靴コレクション。誌面で紹介したものから厳選して紹介!
【革靴コレクション④】G ロッドソン
「‘96年に手にれたグラントというモデル。アメリカで活躍した名優、ケーリー・グラントがはいていたような靴をイメージして作られています。そんなエピソードもグッときます」
【革靴コレクション⑤】ジャランスリウァヤ
「元ネタはチューブの斎藤久夫さんからのリクエストで、’50年代にアメリカではかれていたチャッカブーツ。ただ、フラットバックルを使い現代的な一面ものぞかせています」
【革靴コレクション⑥】パラブーツ
「ホーウィン社のコードバンを使ったパラブーツでは珍しいビジネス用のキャップトゥ。ゴム底のブランドながら革底で、こちらを購入した’96年はこんなドレス靴が結構ありました」
【革靴コレクション⑦】ウォークオーバー
「’86年に購入。ブリックソールはもともと、ウィンブルドンの赤土がついても目立たないようにと考案されたもの。いわばこれはテニスコートの清掃員のための靴だったんですね」
(出典/「断然革靴派 2nd 2022年4月号増刊」)
Photo/Yuta Kono , Hisanori Suzuki Text&Edit/Ryo Kikuchi
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